「今回も前回に引き続き、ニューヨークの自宅からです。すっかり秋ですね。先週くらいから気温がワンディジット…4度とか、けっこう寒いんですよね。そう言えば、カリフォルニアの山火事は100万人が非難したそうですが。放火だとしたら、いたずらにもホドがある」
<念願の六ヶ所村に行きました。>
「ソトコトで連載している、中沢新一さんとの『縄文聖地巡礼』で、念願の青森県に二泊しました。やはりね、東と言いますか北の“縄文の中心地”ですからね。遺跡も多くて、発掘品も非常にクオリティの高い物があって。小型のバスで西も東も廻って。その中で、とうとう。六ヶ所村…ここに行きましたね。向かってた日がね、実はもの凄い嵐で危険な状態だったみたいで(後で知りました。そういえば、道も洪水のようになっていました・苦笑)、「坂本は再処理工場に反対してるから、誰かが来させないようにしてる」…なんて冗談も言ってたんですが(笑)」
「前から写真などでは見ていましたけども、とても奇麗な美しいところ。森や水が豊富でいいですね、その再処理工場がなかったら(微笑)。もちろんね、村の人は農業も漁業も出来なくなってしまっていますから、いまは再処理工場関係の仕事をしてるからね、現地の人の声は尊重しますけど。しかし、非常に放射能の危険がある訳ですから。そういうものに現代文明が頼るというのは、如何なものかという気がしますけど。ま、実際に見て、僕はね、不気味な気がしましたし。ところが、すぐ隣に別の会社が、広大な土地に、たくさんの風車を立てていましてね。原子力と風車と。対照的な物が並んでいましてね。こっちの未来の方がいいんじゃないかなと思いましたけどね」
<近況です。>
「HASYMOで、映画『EX MACHINA』のサントラに参加しまして。番組でも聞いてもらった「WEATHER」、これはどんな感じで作ったんだっけなぁ。細野(晴臣)さんのプライベート・スタジオに3人が集まって、ほんと“勝手に”というか、気が向いた人がですね、割と黙々と音を出して、(高橋)幸宏が終わったんで、こんどは僕が音を出してみたりして。「じゃあ細野さん、あとはお願いね」とか言って帰って来ちゃったんで、その後、細野さんが随分と作業されたんじゃないかと思って。ちゃんとした曲になってたんでビックリしたんですが(笑)」
「12月12日にサントラが2つリリースになります。ひとつは、日本では来年公開予定の映画『シルク』ですね。日本、カナダ、イタリアの合作。原作は有名なイタリアの小説ですが、フランスの片田舎の青年がですね、日本まで蚕の卵を取りに、二度三度と行くんですけどね。江戸時代末期の設定なので、非常に危険な旅路。情報も少ない、鎖国した日本、未知の冒険。そこで美しい人に出会ったり…というストーリーです。冒険映画というよりは、恋愛映画なんですけどね。若い奥さん役を、キーラ・ナイトレイがやってて非常に美しい。主人公のマイケル・ピットは、わたしの師匠というか…お父さんみたいな(ベルナルド・)ベルトルッチの、映画『THE DREAMERS』にも出でいたので知っていますが。…それと同時に、以前に僕がやった、映画『トニー滝谷』のサントラも発売になります。前はダウンロードだけだったんですが、CD化希望の声がありましたので、同時に出しちゃおうと(笑)。ご存知の方も多いと思いますが、村上春樹さん原作の、監督が市川準さん。イッセー尾形さん、宮沢りえさんが出演。こちらの映画、サントラは、非常に孤独な…人間の孤独とか、風がテーマかなと」
「9月15日から11月4日まで開催された、新宿のICC(NTTインターコミュニケーション・センター)というね、メディア・アートの美術館ですけど、『LIFE - fluid, invisible, inaudible ...』というインスタレーションの準備もしていましたね。高谷史郎さん(ダムタイプのディレクターというんでしょうか)と、僕のインスタレーションなんですが。タイトルからも分かる通り、1999年にやったオペラ『LIFE』を換骨奪胎、脱構築しましてね。元々は、山口県のYCAM(ワイカム・山口情報芸術センターですね)、そこで制作したものを東京のICCに持って来て、若干ファイン・チューニングしてですね。展示していました。今後、ドイツなどにも持っていくという話もちらほら…」
「前回、この番組を放送してたときは、まだ安倍政権だったんですけど。あっと言う間に福田政権に変わってしまいまして、テロ特措法っていうんですか…大変ですよね。ぼくは10月1日から、名古屋方面で行われていた「すごい車内会議」というものに参加してましたけど。これはね、電車の中刷りってあるでしょ。あれって、けっこう長い時間見てますよね。あれを使って、活字を通して、僕らと乗ってらっしゃる皆さんと、“しゃない”で会議しようという。僕たちが意見をだして、それにリアクションをしていただくという。なかなか評判らしいので、毎年、続けていけるとおもしろいと思いますよ。名古屋だけでなくてね、東京などでもやってほしいですね」
「そうそう、郵政が民営化されちゃったんですよねぇ。この番組でも郵政問題を取り上げたこと、ありますけど。あっと言う間に気がついたら民営化、ですよ。民営化された訳ですから、いち企業として頑張って、サービスを落とさないように頑張っててほしいですけど。実はね、そのJPですね、日本郵便の『平成20年用年賀』キャンペーンのCMの音楽を担当し、出演もします。僕のバージョンのオンエアは、来年のお正月からです」
ということで今回は、坂本龍一さんから「年賀状」のプレゼント!
もちろんホンモノの年賀状&教授直筆メッセージ。2008年のお正月に、ご希望の場所にお送り致します!
ご応募は、コチラから。 |
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<今年は何度、フランクフルトに通ったことか。>
「11月16日にドイツのマンハイムという都市で施政400年を記念したイベントがあるんですが、その音楽をカールステン・ニコライと2人で頼まれまして。カールステンと「insen(インセン)」のヨーロッパ・ツアーをやったときに、それ見たマンハイムの方たちが、是非やってくれと。で、今年の2月くらいからずっと、飛び飛びにやっている、結構デカいプロジェクトです。内容はお任せなんですが、ひとつ条件がありまして、フランクフルトにベースを置いている、Ensemble Modernes(アンサンブル・モデルヌ)というね、主に現代音楽の室内楽のアンサンブルがあるんですが、そのメンバーといっしょに演奏します。insenのときは、カールステンのエレクトロニクスの部分と、僕の生ピアノのコンビネーションだったんですけども、今回は僕もエレクトロニクスの部分に参加、一部ピアノ。あとはアンサンブル・モデルヌの譜面を書いたりですね。曲はカールテンと作っているんですが、そういうミュージシャンの指揮をしたり、譜面を書いたり。ま、交通整理みたいなものですかね。エレクトロニカというか“音響的”なモノと、クラシックの楽器をつかった“生”ですね、どう融合させるか。72分の大作なんですけど(笑)」
<オーディション総評>
「今回もたくさんの応募ありがとう。音楽作品:2、マンガ&アニメ:1、映像作品2、でした。気になったのは、80's(エイティーズ)っぽいノリ…シンプルなシンセとか、エイトビートとかね。僕もいいなぁと思ったのと、みんなも新鮮に思っているのかなと。それに関係しているのか分からないですけど、おもしろかったのは、曲がどんどん短くなっているね。3分くらい。ちょっと前までは考えられなかった、普通のポップスは5分くらいが目安になっていて、短いのは手抜き…みたいな感じさえあったのにね(笑)。と、非常に長い(8分とか)作品もありまして。そういう流れがあるんですかね。おもしろい傾向だなと思っていますが」
オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに! |
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