「こんばんは、坂本龍一です。2ヶ月に一度お届けしている、レディオ・サカモトです。あっという間の2ヶ月でしたけども。皆さんはお元気でしたでしょうか。ついこないだね、2017年になったと思ったのに、もう3月ですもんねえ。ほんとにあっという間ですよね。もう今年も終わったな。だけど、ここアメリカではね、トランプが大統領に就任して以降、就任する前からですけど、毎日と言っていいほど騒動がありますよね。もう既に就任1ヶ月足らずで、一人辞任していますけども。今はなんと司法長官がロシアとの関係で辞任に追い込まれそうな雰囲気になっていますけども。どうなるのでしょうか。果たして4年間持つんでしょうかね。」
<ソロアルバム、3月29日発売>
「今月29日がね、いよいよ僕のソロアルバムも出ます。8年ぶりです。同時にアーカイヴ・シリーズの "Year Book" ……これも第3弾『Year Book 1980 -1984』が出ますので、こちらもよろしくお願いします。なかなか、おもしろい内容だと思います。自分でもね、こんなことやってたんだーっていうような感じで、改めて、時間が経ってみるとおもしろいものですね。」
<近況報告>
「間もなくね、3.11ですね。3月11日……もう6年が経ちますけども。これはね……本当はみんな、やりたくないんですよ。こんなことをやらなくてもいいような日が早く来ないかな、という気持ちでやっている「NO NUKES 2017」です、今年も。今回は3月17日(金)・18日(土)ですね。場所は、豊洲PITですね。僕は前回はね、騙されてというか乗せられてというか、本当にぶっつけ本番で弾いてしまったんですけど、今回は、まぁそろそろと言うことで、なんとUAさんと僕と二人だけでやります。これは金曜日の方ですね。今回初めて出てくれる若いアーティストもいたりしてですね、とても僕も楽しみにしていますけども。そして、3月25日(土)・26日(日)ですけども、東京オペラシティ コンサートホールと、福島・郡山市民文化センターで「東北ユースオーケストラ演奏会 2017」があります。これはですね、去年やはり3月に東京だけで、東北ユースオーケストラのお披露目第1回のコンサートをやったんですけど、ありがたい事にたくさん応援してくれる方がいらっしゃって、2年目もお披露目が出来るということでね、子どもたちももうすぐですから頑張っています。えーと、本番前の3日間くらいかな、また去年もそうだったんですけど、泊まり込みで合宿してですね、小学生もいるので家が恋しくなってホームシックになって泣いちゃう子もいるんですけど、まぁ大体はね、上は大学生のお兄さんお姉さんまでいますのでね、とても和やかに、だけど、どうも朝まで枕投げとか、いろいろやってるみたいで、昼間は眠そうですけども(笑)頑張ってやっていますね。えー、去年に引き続きですね、吉永小百合さんが朗読で参加してくれます。んーと、そうですね、本当に改めて6年も経ってしまって、未だにね避難生活をしている、あるいはもう福島ではですね、故郷に帰れない人もいる訳で。で、つい1ヶ月ぐらい前ですか、福島第一原発の二号機の燃料と思われるところにロボットが近づいていって、線量計で測ったら650シーベルトということで、これはその場に人間がいたら十数秒で死ぬレベルですね。だけど、これ6年経って650なんで、直後はですね、こんなもんじゃないですよ、桁が違いますね。で、そういうものが、何年経っても放置されているというのも非常に問題……もちろん日本だけの問題ではなくて世界的な大問題なので、一会社とか、一つの国だけで解決しようというのが、土台無理なんじゃないかと、当初から僕はそう思っていたけど。なぜ、そう進めないんでしょうかね。またねあの、なんですか。子供がお金の恐喝されて、福島から避難してきた。それがいじめと認定しないとかするとかね、ひどい問題がありますけど。子供が150万円も取られて、いじめじゃないってのは、どういう神経なんですかねえ、もう本当に理解不能な、事が世の中にたくさんありますねえ、本当に困ったものだ。えーとね、3月と言えば29日に僕の8年ぶりのソロアルバムが出ます。で、その発売前日の28日に、記念のと言うか、うーん……まあね、前日ですからその話も出ると思うんですけども。あるイベントに出演します。「d SCHOOL わかりやすい音楽」と言う、勉強会なんですね。で、「D&DEPARTMENT」「D&D」と言っていますけど、というのは、ナガオカケンメイさんと言う、もともとデザイナー……今でもデザインはするか、の、方の会社ですね。全国にあると思うんですけど。そこで、こういう勉強会をやっているそうです。その先生役で登場と。ナガオカさんとお話をします。ま、音楽の話ですね。スコラとか、いろいろですね。「D&D」の哲学と言うか、やっているコンセプトと僕たちcommmonsがやっている、まあ、僕がやっているコンセプト、割りと近しいところがあって、短期的にバーッと売るものではなくて、長く、寿命長く、生きていける音楽であったり商品であったり、物であったり。というものを普及させようと言う。とても似ているんですよ、もともと。一度、僕は会った事があるかな。あのー、ちゃんと深く話すの、この3月28日が初めてで、だから調子を合わせた訳ではなくて、もともと別なとこにいたけど、同じような考えでやってきた方なので、とても楽しみなんですね。えーと、人数が限られているので、もう締切みたいなんですけども、興味のある方はぜひ、番組のホームページからチェックしてみてください。参加費の3,000円の他、お好きなcommmons schola一冊を持参してください、ということなんですね。」
<RADIO kotringo>
「坂本龍一がお届けしているレディオ・サカモト。ここからは、"レディオ・コトリンゴ" ……久々に私、コトリンゴがお話させて頂きます。映画『この世界の片隅に』が、去年の11月から公開になっております。音楽を担当しているのですが、おかげ様で15週トップ10入りになって、ロングランをしているようなんですが、最近はまた、次のお仕事がどんどんミルフィーユ状に重なってきて、すごい疲れてますが頑張っております。えーっと『この世界の片隅に』の音楽なんですが、6年前にカバーした「悲しくてやりきれない」という曲がきっかけになって、監督さんにまずは特報で使って頂いて、でそこから、クラウドファンディングのお知らせを始めて、で……目標額に達してですね、そこからあれよあれよと言う間に制作に入って。で、劇中の音楽も担当させて頂いたんですけど、戦争が背景にある物語なので、後半の方はどんどん、主人公のすずさんが追い詰められてきて、私も一緒に締切が迫ってきて追い詰められてきて、なかなか大変な制作だったんですけど。自分的には目標をちょっと定めておりまして、今までで一番大きな編成の曲を2曲、歌の曲をアレンジしております。またそれも、歌ありとインストだったら、ちょっと違ったのかなぁと思いながら、書きながら、悩みながら、やって、あとは懐かしいビッグバンドのアレンジも、教科書を引っ張り出してやっております。で、監督の片渕須直さんとのやりとりで、私はすごく「あ、こういうつくり手さんは、すごく尊敬するなあ。」って思ったことがたくさんあるんですけど、まず監督さんは、前作の『マイマイ新子と千年の魔法』から、あのー、自分の足でロケハンをして、いろんな時代考証を重ねて、膨大な資料のもとに今回も作られているので、広島の街がすごく色鮮やかに再現されているだけじゃなくて、そこに住む街の人たちの様子とか、実際に住んだ人の話も聞いたり、で、原爆で行方不明になってしまったご家族の事も登場させたりしていてですね、これはみんな、本当に嬉しかっただろうなと思って、逆にそれが街が一瞬でなくなってしまったっていうことも思い出したりして、辛くなったりしてですね。で、どんどんどんどん監督さんに「これはどういうことなんですか?」ってお話を聞くと、どんどんどんどんお話が出てくるので、それもすごく楽しかったです。で、あのー、今回、この映画の作品の魔法に私も乗っからせてもらっている感じで、いくつか賞を頂いたんですけど、なんか賞を頂いて、自分の技術力が3ぐらいアップしたらいいんですけど、そんな訳にもいかないので、また日々、練習をサボらず、やっていかないとなあと思ってます。」
「今回、映画が出来上がってから、ぜひ坂本さんに観て頂きたいなあと思いながら、でもお忙しいかなあと思って、あの、控えめに過ごしていたんですが、ご覧くださったときにメールでメッセージをくださって、そこでちょっとプチ反省会を(笑)、「こういうこと、できていましたか?」って言うメールも頂いたので、ちょっと反省会を自分でして、反省文を一方的に、その返事で送ってしまいました(笑)。といういことで、この後はデモテープオーディションなのですが、今日はどんな作品が来ているのでしょうか。私もどんどんおもしろい作品を作っていけたらなあと思っております。私も、レディオ・サカモト卒業生ということなので、頑張りたいと思います。再び、坂本龍一さんが登場です。U-zhaanさん、長嶋りかこさん、よろしくお願いします。では、最後にコトリンゴで「たんぽぽ」を聴いてください。この曲は、「この世界の片隅に」の制作が終盤になっている時に、「エンディングで流す曲を、何かお願いします!」って言われて、わーって書いた曲なんですが、その曲に最後、監督さんがエンドロールで絵を付けてくださって、でまた、主人公のすずさんの未来の姿が描かれているので、私はいちばん最初観た時に、本編は何度も観ていたので堪えられたんですけど、最後、すずさんの未来で、もう結構堪えるのに必死で泣いてしまいました。という感じです。コトリンゴでした。」
<RADIO HASUNUMA>
「坂本龍一さんがお届けしているレディオ・サカモト。ここからは "レディオ・ハスヌマ" ということで、ちょっと恐れ多いタイトルですけど、僕、蓮沼執太が届けします。なんと、横にU-zhaanがいますね、こんばんは。」
「こんばんは。」
「うん。先月、僕とU-zhaanの2人で『2 Tone』……リリースしましたね。」
「はい、新しいアルバム『2 Tone』を。」
「J-WAVEでは、この前2人で生放送でダブルDJしましたね。」
「DJっていうか、ナビゲーターをやりました。」
「なんと、今夜もありがたいことにですね、坂本さんからプロモーション枠を頂いてしまいましたよ。」
「プロモーション枠……この時間を使って、宣伝していいっていうことだ、嬉しいですね。」
「坂本さん、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!いつも。何のお返しも出来ないまま……」
「そうだね(笑)」
「借りばかりが積もっていく感じの。」
「大変な借りになっちゃってるね。じゃあ、お話でもしていきましょうか。」
「はい。」
「改めて、アルバム制作のきっかけとか、から話していきます?」
「まぁ、アルバム制作のきっかけはあれだよね。何しろこの番組がきっかけ。」
「本当そうなんだよね。」
「この番組で、教授が療養中に僕が留守番ナビゲーターをしてたんですけど、そのゲストで執太が来た時に、2人で話をしてもしょうがないだろうと思って、スタジオセッションをしようという事になったんですけど、スタジオにセッション出来る場所なんかないぞということになって……」
「タブラをいっぱい並べられないねってことだね。」
「他のレコーディング・スタジオで、まあそれもセッションだったんですけど、録ったのがきっかけですよね。」
「うん。これまで、人の曲とかね、僕が作った曲とかを一緒にやるっていうのはあったけど、結構即興セッションだったんだよね。「Radio S」」
「あ、そうそう!その曲に「Radio S」っていうタイトルをつけて、このアルバムにも入ってる。その時はあれだったけ、3曲分、別のセッションをしたんだよね。」
「そうそう。まあそのー、インプロビゼーションで自由に演ったものを、いいところをピックアップして、放送して。」
「あの時は、そんで曲タイトルついてなかったから、その場で曲タイトルをつけるみたいな……」
「そうでしたね(笑)、そんなことしてましたね。」
「なんか、雨っぽい音するよね、もう…… "美雨" でいいんじゃないかと言いながら(笑)」
「はっはっはっはっは(笑)」
「「Beautiful Rain」ていう曲だったりして」
「それをベンガル語で言ってみよう!とか(笑)」
「そうそう。『シンドル・ブリシティ』つって。そうだ!『シンドル・ブリシティ』だ!」
「そうだ!」
「で、今回はその3曲をまとめた曲を「Radio S」て言うタイトルにして。」
「もう直球タイトルですね。あと、そうですね、今回はCDバージョンは、ジャケットがおもしろいですね。」
「そうですね。長嶋りかこさんデザインの。もう本当、レディオ・サカモト スタッフで作られてたCDみたいになってますけど(笑)、長嶋りかこさん、いつもそのオーディションコーナーの審査と言うか、聴く役をしている。」
「僕もいつも楽しく聴いていますよ。」
「長嶋さんのデザインなんですけども。なかなか特殊な……一枚の紙を折りたたんで、風呂敷のようにして、その中にCDが入っているというデザインになっています。」
「U-zhaanがなんか、りかこさんにあれでしょ、「置きに行ったデザインにして欲しくない」って言ったんだよね。」
「まあ、なんだろ。おもしろいやつがいいじゃん。なんかおもしろいのにしてください、っていう期待に応えてくれたのがこれで。」
「そうだね。」
「本当に印刷も、紙質も、全部いいよね。」
「うんうん。まあ『2 Tone』と言う名前だけあって、オレンジとブルーのドットのグラデーションがあってね、素敵ですよ。」
「ぜひ、現物を見て頂きたいなと思っているんですけど。」
「CDを手に取ってもらいたいね。ここまで素敵なデザインだと、はい。」
「レディオ・ハスヌマていう名前でやってるんでしょ?」
「いやーほんと、ちょっと。なんでこんな名前になっちゃったんですかって……」
「レディオ・ハスヌマ感を出していってくださいよ。蓮沼さんの……蓮沼さんの思うアルバムの聴きどころとか。」
「聴きどころですか。そうですねー。なんかこう……全編、タブラの音が入っているし、全編まあ僕が作った音楽でもあって、そのコラボレーション具合がおもしろいなあって思ってるのよね、聴いていると。なんかこう、2人がやって、化学反応みたいなものが起こるというよりかは、割と素直に自分たちの要素が入っているっていう感じがするかな。」
「そんなに、もともと持っている音楽性が違う訳じゃないからね。その化学反応が起こりにくいというのも変だけど。いいね、って思ったものを、同じ風にいいねって思っちゃう方だからね。だから本当にコラボアルバムですよね。いっしょに作った楽しいアルバムなんですけど。じゃあ、坂本龍一さんとはどうやって「Lal」っていう曲を作ったんですか?」
「そうですね。えっと、僕が2年ぐらいに前に、ニューヨークに半年近く滞在してた時に、なんとなく、坂本さんと音のやりとりをしましょう、みたいな感じになって、特に何の目的もなしに……」
「ああ、何かリリースをする訳でもなく?」
「全然そういうのじゃなくて。お手紙みたいな感じで、音を交換したりして。」
「めっちゃ仲良しじゃないですか。」
「いや、すごいあのー。僕、なんか独学で音楽をやっているんですよ。U-zhaanみたいに師匠がいる訳でもないんで。でもなんか、坂本さんからメールきて『ここ、あーすると、もっとよくなるんじゃない?』みたいなアドバイスをしてくれるって……僕そういうのなかったんで、なんか本当に教授だな、っていう風に思いましたよ。」
「そんなやり取りをしてたんだ。」
「すごいいい経験でした。」
「で、その時やり取りをしていたものに……」
「そうそう。それでまあ、ある程度曲になって、いい感じだねって言う風になったんだけど、なんかちょっと、リズムが気になってたのよ、完成したとはいえ。で、U-zhaanのタブラの音をさ、僕が持ってたじゃない、録音したヤツを。」
「うんうん。」
「で、それを乗せてビート組んでみたらすごいよくて、これいいんじゃない?ってなって、坂本さんに、これ『2 Tone』に入れていいですかって言ったら、いいよ!って。」
「まあ、あれだけどね。それ、ちょっと記憶違いが起こってて、俺がスタジオでそれに合わせて叩いて録ったけどね。」
「……え、そうだっけ。あれじゃなくて?トーンじゃなくて?」
「違う違う違う!」
「あー、けど、あれだよ。最後のとかはいろいろ使ってんだよね。」
「それは分かるけど、うんでも……」
「あ、録ったね、録ったね!どうしようか、これ(笑)」
2人「(爆笑)」
「めっちゃ録ったのに!(笑)」
「録りました、思い出しました。」
「録ったよー……。」
「ごめんね、うん。あ、一個、最後に聞いていい?「Lal」ってどういう意味ですか?」
「Lal はね、ベンガル語で "赤" ていう意味。僕、あの曲を聴いた瞬間に、うわ、真っ赤だなぁって思ったんだよね。」
「うんうん。色が見えたんだね。」
U-zhaan「そうそう。なんか物すごい真っ赤!っていう印象の「Lal」です。」
<デモテープ・オーディション総評>
U-zhaan「教授のアルバムももう、今月出ることになっていて、しかもまだ、未だに誰も全貌どころか、欠片すら分からない状態なんですけど。もちろん、長嶋さんも聴いてないですよね?」
長嶋りかこ「はい。ふふふ(笑)」
坂本龍一「予想を皆さんに頂いているんですけど、第一弾がU-zhaanでしたよね。」
U-zhaan「そうですね。僕と幸宏さんとか。」
坂本龍一「素晴らしい予想で、第一弾から。」
U-zhaan「すみませんでした。」
坂本龍一「実はその予想通りなんですよ。」
U-zhaan「僕の予想は、まだ教授何にもやってないで、実はスタジオで頭抱えているんじゃないかっていう予想だったんですけど(笑)」
坂本龍一「全く出来てないんで、誰もお聴かせ出来ないんです。」
長嶋りかこ「怖いです(笑)」
U-zhaan「一番、よくないパターンってどれだろうと思ったら、それだったんですよね(笑)」
坂本龍一「それってさ、風邪とかひいたときに見る悪い夢みたいだよね。世間は少しそれで盛り上がったりしてて。」
2人「(笑)」
U-zhaan「あの予想コーナー面白いですよね。teiさんとか、まりんさんとか、あの……羽鳥美保ちゃんとかすごい面白かったですねー。」
坂本龍一「美保ちゃんは、面白いねー。」
U-zhaan「なんかちょっとキャラと違いましたよね。すごい面白かったですよね。本当に、教授が絶対やらないだろ、ってことを (笑)」
坂本龍一「具体的にね。レゲエアルバムで何分何十何秒のところがすごくいいとかさ。」
2人「(笑)」
坂本龍一「皆がセンス問われるよね。」
長嶋りかこ「ASA-CHANGも面白かった。今日見ました。」
U-zhaan「ASA-CHANGと言えば前回のレディオ・サカモトで、ひとり喋り倒して帰って行った(笑)」
長嶋りかこ「(笑)」
坂本龍一「なんかもう、傷から血がダラダラ出てましたよ。可哀想!」
2人「(笑)」
坂本龍一「インドから帰ってきたばっかりだよね?」
U-zhaan「はい、僕インドから帰ってきたばっかりです。」
長嶋りかこ「来日……来日されたんですよね。」
U-zhaan「来日じゃないですよ、帰国です!変わらず、破天荒な国でした。」
坂本龍一「中華風カレーは食べましたか。」
U-zhaan「中華風カレーは食べなかったんですけど、今回あのー……イタリア料理が食べられるというか、カレーメニューの中にイタリアンがあるっていう店に行って、スパゲティ・ボロネーゼっての頼んだんですけど、完全にスパゲティ・キーマカレーみたいになってて(笑)」
長嶋りかこ「はっはっはっは(笑)」
U-zhaan「あれが結構、がっかりしましたね、はいやりましょう!」
U-zhaan「今回のデモテープ・オーディション、教授が一番気になった作品というか一押しはどれでしょうか。」
坂本龍一「そのー、『フジバカマの共生』を作った福島諭さん。ほとんど番外というか、プロの作曲家って感じですけど、他におもしろかったのは、偶然性を取り入れた3branches。2人は?」
長嶋りかこ「まあ……福島さん(笑)、福島さんすごいなぁと思って。」
坂本龍一「ちょっとファンになってるよね。」
長嶋りかこ「前回もそうなんですけど、譜面がすごい綺麗で、見たことないから面白くて。」
U-zhaan「もうあれだけで、すごい美術作品みたいですよね。僕はEsolagotoさんの『Ripple』ですね。」
坂本龍一「いいですね、欲しいですね。」
U-zhaan「欲しいですねあれ……あっ、僕持ってるんだ、だって、オーディションで送られてきた音源があるんだ(笑)」
オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。 |
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RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。 |
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<坂本龍一が最近聴いている曲を紹介するプレイリスト>
音楽をもっとたくさんオンエアしたい、紹介したいという教授からの提案でスタートした "プレイリスト" コーナー。
「僕がね、この2ヶ月ぐらい、もっとか。最近聴いている、耳にしてよかったな、と思う音楽を共有してみましょうかね。じゃあまず……Yves Tumorて、これ僕ね、ほとんどどういう人か知らないんですけど……「Limerence」?……アルバム名は『When Man Fails You』というアルバムなんですけど。」
「まぁ、このような感じで。あのー、若いブラックの人で。R&B、HIPHOP系、ビートのあるものあるんですけど、これはもう本当に、まあジャンルはいろいろな物が混じっていて、こういう非常にミニマルなものもあるというね。すごくおもしろい人だなあと思うんですけど。あと次はですね……お正月からかな、この2ヶ月くらい、よく聴いていたのが、このデュオなんですけども、一人がMasayoshi Fujitaさんと、多分ドイツ人なんで、Jan Jelinekと言う人の「Schaum」というデュオのアルバムで、まあその中どれでもいいんですけど、「Urub」という曲。」
- Urub / Jan Jelinek & Masayoshi Fujita
「うん。もしかしたら、前のYves Tumorのトラックと似ている……傾向が似ているかもしれないね。こういう気分なんだろうか。えーとね、次はどれにしようかな。この LAWRENCE ENGLISH て言う人ですね、と、これもやっぱりデュオなのかな……あ、何人かいるんだね。Werner Dafeldeckerと2人なんだ。のですね……『Shadow of the Monolith』ていうアルバムからですね「Moro Mute」」。
- Moro Mute / LAWRENCE ENGLISH & Werner Dafeldecker
「あの、なんていうのかな、フィールド・レコーディングっぽいですよね。この人は、まあそういうものもたくさんやってるし、もう少し音楽っぽいって言ったら変ですけど、両方いいですね、なかなかね。その傾向だともう一人……Francisco Lópezっていう人のね……長いんだ。これは、フィールド・レコーディングそのものだと思うんですけど、まあ意外にというか、かなり音楽的でもあるんですけどね。彼の『Anima Ardens』というアルバムから、まぁ、そのタイトル曲ですね。というか、まあ1曲なんですね……73分ありますけども。」
- Anima Ardens / Francisco López
「うーん。ま、いいですよね。で、もう少しまた音楽に戻ってくるとですね、これもこの2ヶ月ぐらい本当によく聴いていたのが、あの、William Basinskiという人なんですけども、長くブルックリンに住んでいて、今はどうもLAに引っ越しちゃったらしいんですけど、あのー……なんていうの……まあ聴いてみましょうか。じゃ。どれもいいんですけど、『Melancholia』っていうアルバムから「Melancholia VI」ですね。」
- Melancholia VI / William Basinski
「まぁあの、この人のはだいたい、いつもこういう調子で、延々……30分とか1時間とか長い曲が多いんですけど。あのー、僕はね、911のときに、彼……ブルックリン側に住んでたんで、そのビルの黒煙がブルックリン側にずっと棚引いて、何日も出ていましたけど、それをね、据え置きのビデオカメラで撮影していって、DVDにしたものがあって、そこにはもちろん音楽もついてるんですけど、ものすごくいいのね。で、だんだん日が暮れていくんですけども、素晴らしくてね、あの頃よく……よくでもないかな、見たり聴いたりしてましたけども。それからしばらく、あまり聴かなくなって、最近ですね、すごくいいなあと思ってよく聴いています。今年の頭はこんな気分でしょうか。こういう系統が僕は最近はよく聴いてるんですかね。」
<エコレポート:上岡裕>
「J-WAVE レディオ・サカモト。ここからかは坂本さんに代わって、エコロジーオンラインの上岡裕がお届けします。昨年夏、このレギュラーを始めてすぐに「にほんのうた」の実行委員会やワールドハピネスのみなさんと一緒に実施した熊本支援活動のご報告をしました。太陽の力でステージができるソーラーパワートラックに、くまモンのフラッグを掲げ、熊本に小さな自然エネルギー機器と、八代亜紀さんやビューティフルハミングバードのみなさんの自然エネルギーライブを届けました。その際に、くまモンがステージに参加してくれたのですが、このイベントに協力してくれた熊本のみなさんと一緒に「くまモンナノ発電所」というのをつくりました。アウトドアや、防災・減災に活用してもらえる小さな太陽光発電グッズですが、被災地支援から生まれた商品なので売り上げの一部を熊本や途上国支援に活用していこうと思っています。そして途上国支援として考えているのがマダガスカルです。アフリカの東側にある国で日本の1.6倍の面積を持つ島ですが、この国では1日2ドル以下で暮らしをしている人が9割をしめる。気候変動も影響して貧困が広がっていると問題になっています。この国の人たちは日本人以上にお米を食べるのですが、その料理のために薪や炭をつかいます。その薪や炭を調達するために貴重な森が切り開かれ、どんどん草地とか砂漠にかわっていきます。ところが、その大切な森を切り倒してつくった薪や炭を使って、たき火のような状態で料理をしてしまう。その結果、無駄にエネルギーが使われる。これではますます森が減ってしまう。都市に暮らす貧しい人たちは、森林資源の減少で薪や炭が高くなって暮らしが圧迫される。マダガスカルでは、森林破壊もひどくなるし、貧困もひどくなるという負のスパイラルが生じているのです。薪や炭を廃棄物から生まれた燃料に変え、燃料を効率的に燃やすことができれば、森も守り、貧困の解決につながるのではないか。そんな思いから、国際協力機構とともに調査事業を始めました。自分も3月の末にマダガスカルを訪問し、ゴミになるおがくずやもみ殻を固形燃料に変える事業と、それを効率的に燃やすロケットクッキングストーブの製造の可能性の調査をしてきます。その状況を見ながら、このくまモンナノ発電所からの寄付とクラウドファンディングをあわせて、マダガスカルの支援のために活用したいと思っています。もう一つ、音楽と健康をつなぐ事業が始まりました。ミュージシャンのかの香織さんたちと実施する事業ですが、音楽を聴いたときに脳にどのような影響があるかを調べて、認知症の治療に活用する取り組みです。大気汚染をもたらすPM2.5などの粒子状物質が認知症の発症に深く関わっているということもわかってきまして、環境保護の延長線上に認知症のケアについても視野にいれて動き始めました。実は、この活動は他人事ではなく、昨年末、母が認知症と診断されたことで、彼女の暮らしを見守るようになりました。そういう意味では、ぜひ手がけたい活動です。アメリカにはMusic & Memoryといって、キャロル・キングやエルビス・コステロなどのサポートを受けて、老人ホームに音楽を届ける活動もあります。そういうことも手がけられたらと思っています。」
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