RADIO SAKAMOTO

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ARCHIVE:200906

「坂本龍一です。2ヶ月に1度お届けしている、レディオサカモト。皆さん、ご無事でしょうか。コロナ禍になって、もう半年……ですかね。コロナ禍以前の世界がね、社会が、なんかもう遥か昔のことというか。だけどあの4月5月くらいの、なんていうのかな……世界中が篭もっていた状況っていうのも、また特別であれはあれで懐かしくて、随分、状況が酷かったイタリアとかフランスも、もうだいぶ戻ってしまったようですけどもね。まぁ第二波、第三波が怖いですけど。アメリカでいうとニューヨークは本当に沈静化していて、ニューヨークから始まった波のまだ第一波がテキサスとか中西部の方に、今、行っている……まぁフロリダもそうですかね、行ってる感じですかね。広いので伝播が遅いのかもしれませんけども。」

「えー、もう皆さんもご存知かもしれませんけれども、高橋幸宏が病気になりまして、手術をしました。無事、手術は成功しまして、今、その事後の治療に励んでいるところです。皆さんの応援が本当に大きな力になるので、どうかたくさん応援してあげてください。本当にね、びっくりしました。」

「僕はといえば、相変わらずスタジオに篭もって音楽制作の日々なんですけども、最近のいろいろなニュース、もう本当にあちこちできな臭い……あ、文字通りきな臭いといえば、レバノンでの大爆発ね。あれだけの爆発物をその、港とはいえ都心に置いといていいんですかね。日本はどうなんでしょう、ねぇ。世界中の都市がそれを見直すべきですよね。本当に悲劇ですね。いろんな陰謀論が飛び交ってるようでもありますけども、僕は知らないんですけど。まぁ、事故なんでしょうね。」

<最近「Blokus」というボードゲームにハマってます。>

「近況報告とは言ってもね、あの本当に、毎回いつも相変わらずなんですけど(笑)、毎日まぁスタジオに降りてきて、作業してるという感じで、あんまり日常変わんないんですよね。もうね、この半年ぐらいね(笑)。まぁ、あのリモートでのね取材とか打ち合わせっていうのも結構ありますし。まぁそれでも……みんなもそうかな、リモートでやってると、プライベートな時間も結構増えて、いろんな……普段できないことが出来たりしてるんじゃないかと思うんですけど。よく聞くのは、自炊する人が多くなったりとかね。で、それで余計に外食産業が落ち込んでるとか、そういう話もありますけども。んとね、実は今ね僕、『Blokus』というボードゲームですね、にハマってまして(2人用のBlokus DUO)、ほぼ毎晩の日課のようになっていますけども。ボードゲームにハマったことってまず、あんまり記憶にないんですよね。もちろんやったことはありますけども。トランプもそんなにやったことないし、そんなにゲーム自体にそんなにハマったことないですね。ハマった記憶があるのは、ものすごく昔。まだ20代前半の時に、麻雀ですね。麻雀にハマりまして、で、面子が揃わないと三人だと、その大貫(妙子)さんと僕と、それで山下達郎くんなんですよね(笑)。で、もしいればそこに、伊藤銀次くんていうギタリストも呼んだりして……三日三晩ぐらいやってんですよ。で、もう本当に倒れるまでやって(笑)。で、もう倒れちゃって、それでやっとごそごそ起きて、みんなで駅前の何かを食べに行ったりとかして、もうねめちゃくちゃだったですね。それ……それ以来ってこともないけども(笑)、それ以来ぐらいなのかなぁ。ハマったきっかけっていうのも、たまたま知り合いがやっているのを見て、面白そうだなぁと思ってやりだしただけなんですけど、意外と深くて。あんまり僕ね、戦略的な思考とか全然できない人なので(笑)、難しいですねぇ。こういうの得意な人いるんだろうなぁと思って。」

「その他、ここ2ヶ月の仕事といえば、某アニメシリーズの音楽ですね。まぁこれまだ言えないんですけど。それが結構なボリュームがありまして、その他に短編映画の音楽制作とか、ある企業のキャンペーンソングをやったりとか、あとはですね、BSプレミアムで8月24日に放送された、戦後75年特集番組ですね。「戦争童画集 〜75年目のショートストーリー〜」用の楽曲を作ったり。これあの吉永小百合さんが、ご出演なさるので、まぁその縁でというか、頼まれて、わりと短い曲を作ったんですけども、とても自分でも気に入っている曲です。えーと、で残念ながら、9月に予定されていた香港公演は、やはり延期になってですね、まぁ……随分先の長い話だけど、来年の12月に延期になりまして。もともとは今年の4月だったんです、それが9月に延期って、それも延期になってという形です。あとは、これは新曲じゃないですけども、7月9日から全世界配信された、Netflixのオリジナルアニメシリーズ「日本沈没」の主題歌に、大貫さんと坂本で作った「a life」ね。これ、アルバム『UTAU』からですけども。「UTAU」をレコーディングした時に、これ新曲として作ったんですね。えー、これがなぜか使われているんで、えーとテレビなどで耳にした方もいるかもしれませんけども。」


■NHK 戦後75年特集「戦争童画集 〜75年目のショートストーリー〜」
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=24564

■Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』公式サイト
https://japansinks2020.com/

■大貫妙子&坂本龍一「a life」
https://commmons.lnk.to/alifeTW

<「D2021」2021.3.13, 14 – HIBUYA PARK >

「はい、えーと、それからですね、この数ヶ月は、日曜日定例の "Dのミーティング" というのをやってるわけですけども、まぁあの、DのTalk……鼎談ていうのかな、が始まりまして、前回……都合2回やったのかな。2回とも同じメンバーで、えーとですね、歴史学者の藤原辰史さん。そして、えー、経済学者の斎藤幸平さん、そしてGotchが中心になって、あとはDのメンバーが司会などをしていますけども、大変に内容が濃いというか面白いトークでした、2時間ぐらいかな。で、1回目がですね、「ごみと資本主義」ですね……身近なところから資本主義。そしてポスト資本主義です、資本主義のその後ですね、を考えるという、そういうトークなんですけども。この番組では、前回は後藤正文さんと僕との対談を聞いてもらいましたけども、今回はある方からメッセージが届いてます、聴いてみましょう。」


<永井玲衣さんからのメッセージ>

「坂本さん、レディオ・サカモトをお聴きの皆様、こんばんは。坂本さん、いつもお世話になっております。「D2021」運営の永井玲衣です。私は哲学を研究しつつ、哲学対話という、あるひとつの対話活動みたいなことをしてるんですけれども、「D2021」に関わったきっかけとしては、友人に誘ってもらって入ったんですけれども、まぁそもそも「D2021」とは何かっていうことですが、坂本龍一さんとGotchさんが中心となって、震災(Disaster)から10年(Decade)という節目に、様々な "D" をテーマとして、2021年3月13日・14日、日比谷公園にて開催するイベントです。具体的にどんなものなのかっていうのは全然決まっていなかったんですね。で、その決まっていなさっていうのがすごく面白いなぁというふうに思いまして、決まっていないっていうのは、まぁ本当に決まってもなかったんですけど(笑)……こう一緒に考えていきたい、一緒に育てていきたいっていうような話だったんですね。で、私は、あの先程も言ったように、対話活動って人々といろいろ考えるというような活動をしてるんですけれども、まぁそういった場にできれば……まだ決まってないけどしていきたいねっていう話がどんどんと固まっていって、で、出来ればですね、主催者、参加者、アーティスト、観客っていうような垣根を越えて、どんどん繋がれるようなこと、そしてそれは観客、主催者っていうことだけじゃなくってですね、私は研究者とかですけれども、研究者とアーティストとか、詩人とか、いろいろと垣根を越えてですね、いろんな領域の人がわいわい集まって、Dってなんだろう。震災からの10年って、どんな10年だったんだろう。そしてこれからの10年ってどんな10年なんだろうっていうことを考えていきたいなと、思っています。というのもやっぱり、音楽イベントって何かこう主催者が、こうですよ!って、こういうコンセプトですよ、だから皆さん、ついてきてね!っていうものが多いと思うんですけど、むしろそうではなくてですね、いろいろと私たち、こう悩みながら、まだこれ決まってない!とか、「D2021」のDは実は「どうしよう」のDなんじゃないか(笑)……みたいな話もよく皆とするんですけど、まぁそうやって、どうしようどうしようって迷いながら、こう開いていって、皆と考えいくっていうような場になっていったらと思っています。まぁ簡単に言ってしまえば、「D2021」は音楽フェスなんですけれども、単に音楽だけではなくってですね、ダンスのDや、対話……DialogueのDを通じて、社会の分断、これもDivision、Dなんですけれども、を乗り越えることを目指すようなものです。えーなのでですね、ぜひ皆様、この「D2021」、参加していただけたらと思います。これも単にですね、音楽フェスに来ていただく、もしくは聴いていただくというのではなくですね、ぜひこのDialogue=Dに参加していただきたいなと思います。私たちもいろいろとですね、コンテンツを発信していますので、なるべく相互的にですね、やりとりができたりですとか、こんなことしてみたいとか、こんなこと考えてるとかありましたら、どんどんコメントを寄せていただいて、一緒に作っていくような、そんなものとしていきたいと思っています。「D」というふうに言ってもですね、敢えてこう「得体の知れないD」というですね、ちょっとぼやかした存在……未だ定義されていない漠然としたものなので、多様な価値や意味を包摂するシンボルとして皆さんに開かれていますので、そういった意味でも皆さんに参加していただけたらと思います。」


■「D2021」2021.3.13, 14 – HIBUYA PARK
https://d20xx.com/

■YouTube : 8月22日 #D2021 企画 Dialogue vol.2 食と民主主義を考える
https://youtu.be/18lHOv2QWgs

<デモテープオーディション>

「毎回恒例となっていますデモテープ・オーディションの優秀作の発表なんですけど、今回は、僕(坂本龍一)は、 "オフグリッド" って言って、もう全部ネットとかも断ち切って、8月の後半夏休みを取ったので、U-zhaanと長嶋りかこさん、そしてスペシャルゲスト、蓮沼執太くんに託します。みなさん、よろしく。」

U-zhaan「J-WAVE、レディオサカモト。ここからは僕U-zhaanと…」
長嶋「長嶋りかこ。そして…」
蓮沼「えー、蓮沼執太です。」
U-zhaan「この三人でお送りしていきます。」
長嶋「お願いしまーす。」
蓮沼「お願いしまーす。」
U-zhaan「執太はこの番組、過去2回出演してるんだよね。」
蓮沼「はい、そうです。2回出演させていただいています。」
U-zhaan「2015年の教授が休養中に、僕がなぜか番組進行をやらせていただいていた時に、スタジオセッションっていうのを、番組の中で執太と届けた記憶がありますね。」
蓮沼「そうですね。スタジオでセッションしましたね。」
U-zhaan「あと、2017年に『RADIO HASUNUMA』っていうのをお届けしたって、(台本には)書いてあるんだけど、そんなのやってたの?」
蓮沼「いや、俺覚えてないんだよね、それ。そんな名前だったっけ?」
U-zhaan「俺も全然覚えてないな、これ。『RADIO HASUNUMA』って、大きく出たね(笑)。』
蓮沼「もう、恐ろしいよ(笑)申し訳ないよ。」
U-zhaan「そうだったんだね。何やったんでしょうね、それね。」
蓮沼「『2 Tone』出した時だろうね。」
長嶋「うんうん。」
U-zhaan「『2 Tone』ていうのは、あの僕と蓮沼さんのコラボアルバムで、長嶋りかこさんにジャケット、アートワークを担当していただいたやつなんですけど、その時にも執太は出ているということで、これで3回目の出演になります。」
蓮沼「頑張ります。」
U-zhaan「ということで、蓮沼さんに代役をお願いします。早速デモテープ・オーディション優秀作の発表をしていきましょう。今夜もここ2ヶ月の間に送っていただいた作品から選考しています。今回も200作品以上の応募ということで、半数以上はYouTubeを経由した応募でした。」

RADIO SAKAMOTOオーディションに、インターネットから作品を応募できるフォームができました。作品はファイルのアップロードのほか、YouTubeのURLを指定しての投稿も受け付けます。
詳しくは、エントリーフォーム内の応募要項をお読みください。

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RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。

<蓮沼執太フルフィル『フルフォニー|FULLPHONY』>

長嶋「いつもはここで、オーディションコーナーは終了ですが、今夜はU-zhaanのお友達の蓮沼執太さんが来ていますので、蓮沼さんのニューアルバム、蓮沼執太フルフィルの『フルフォニー | FULLPHONY』というアルバムをご紹介していきたと思います。」
蓮沼「恐縮です。」
U-zhaan「えーと、先月の26日に先行の配信があって、CDとかは来月出るんですよね?」
蓮沼「10月に、はい、リリース予定です。」
U-zhaan「はい。何しろ、驚きはアートワークが、横尾忠則さんという、どうやって頼むんですか、横尾さんに。どういう風にすると、お願い出来る……」
長嶋「う〜ん、すごーい(笑)。」
蓮沼「横尾さんに、あの、お手紙書いて。」
U-zhaan「そうなんですね。」
長嶋「すごいねぇ。」
蓮沼「ね、あのー……どこの馬の骨かも分からぬ若造が、お手紙書いて……。というのも、あの、横尾さんが70年代に描かれた、日本を旅行されて風景画を描いているシリーズがあって。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「で、それの、大沼……北海道の大沼と駒ヶ岳かな。のシリーズ、その絵画がすごい好きで、それを使用させていただいたんですけど。最初は、作品を貸してください、みたいな感覚でお願いしたんですけど、横尾さんが自らデザインもしてくれる……」
長嶋「あ、デザインもしてるんだ。すごいね。え、めっちゃ見たい。中もじゃあ全部やってくれてるんですか。」
蓮沼「表1と表4って言って、ジャケットに関わる部分だけやっていただいてて、実は裏面もあるんですよ、あれ。」
長嶋「どういうこと?」
蓮沼「えっと、今、配信だと表1しか出ないでしょ、配信なんで。」
長嶋「うん。」
蓮沼「あの、実は裏側もあって、裏側も面白いんですよ。」
長嶋「へー。これは買わないと分かんない的な。」
蓮沼「買わないと分かんない。」
長嶋「んふふ(笑)。え、見たい。」
U-zhaan「え、買わないと分かんないというか、あの……CDを、CD屋で裏っ返せば分かるってことじゃないですか?」
長嶋「あっはっはっは(笑)。え、違うよね、違うよね。」
蓮沼「いや、CD屋さんに行って、裏っ返せば分かる(笑)」
長嶋「(笑)やばい。」
U-zhaan「あれ、これ言わない方が良かったやつですか。」
長嶋「裏っ返しちゃおっかな。」
蓮沼「CD屋さん行って、裏返してみてください。」
U-zhaan「そうですよね。裏返せば大丈夫だと。」
長嶋「(笑) いや、買いましょ。買いましょ。」
蓮沼「優しいなぁ、U-zhaanは。」
U-zhaan「じゃあ10月、10月28日に、みんなでこぞって、裏返しに行ってもらえれば。」
長嶋「(笑)」
U-zhaan「え〜、このアルバム……あれですよね。その、もともとあった蓮沼フィルにさらに人数が追加されて、オーディションで選んだメンバーがまた加わって、総勢26名で演奏しているということなんですけれども。」
蓮沼「2年前ですかねもう。2年前にあの、すみだトリフォニーホールっていう、コンサートホールで、『フルフォニー』という公演をして、U-zhaanも観に来てくれたんですけど。」
U-zhaan「長嶋さんも来てましたね。」
長嶋「うんうん。行きました、はーい。」
蓮沼「ありがとうございます。」
長嶋「いえいえ。」
蓮沼「そこで初演したんですけど、……なんか、すごい上手くいかないなぁと思って。失敗したなぁって思ったんですよ。まぁ、なんかこう、初めてやることだったんで。」
U-zhaan「はい。何が失敗したんですか?観てて、そんな失敗は分からなかったですけど。」
蓮沼「まぁ、演奏かな。」
U-zhaan「あぁ、演奏が失敗だったんですか。」
蓮沼「まあ、もうちょっと上手くできるな、とか。」
長嶋「へ〜。」
U-zhaan「ほう。」
蓮沼「なんか、伸びしろを感じまして。で、その1回だけじゃなくて、まぁもう少し長くこのプロジェクトをやってみようと思って、まぁちょっと続けて。去年もあの、日比谷の野音でやったんですけど。なんかこう……せっかくなんで、レコーディングしようってなって。……という流れですね。」
U-zhaan「日比谷の野音ってあれですよね。あの、みんないろんな人がゲスト参加してるのに、僕だけ、あの開演前のご来場者へのご注意みたいなののアナウンスをお願いされたやつですよね。」
長嶋「(笑)」
蓮沼「そうですね。あのー、アナウンスで参加していただいて。」
U-zhaan「『今より10分間の休憩に入りますので、ぜひ物販をご購入ください』みたいなやつを言わされたやつですよね。」
蓮沼「そうですね。あの、お陰様で、物販も繁盛して。」
U-zhaan「よかったです。」
蓮沼「嬉しいです。」
長嶋「(ずっと笑ってる)……え。じゃあ行ってもないって感じなんですか?」
U-zhaan「行ってもない。」
長嶋「あっはっは(笑)」
蓮沼「いや、正確にはU-zhaanはその時、あの、あいちトリエンナーレで、」
長嶋「あぁー、そっかそっか。」
蓮沼「タブラの。本当はね、もちろん一緒にやりたかったですけど。」
長嶋「うーん。」
U-zhaan「だといいなーと思っています。えー、このアルバムから、曲をかけられるということなんですけど、このかける曲……僕が選んでもいいですか。どうしよっかなぁ……だとしたら、そのトリフォニーホールで観た時にすごく良かった曲で、このアルバムでいうと、4曲目になるのかな。曲タイトルを蓮沼さん、じゃあ、お願いしてもいいですか。」
蓮沼「『フルフォニー |FULLPHONY』からですね、3楽章目の「Gush」というタイトルです。」

  • III. Gush / 蓮沼執太フルフィル

U-zhaan「お聴きいただいたのは、『フルフォニー |FULLPHONY』の第3楽章にあたるんですかね、「Gush」という曲でした。」
蓮沼「ありがとうございます。」
U-zhaan「これ良かったですよね。すごく。変わった曲だなというのもれですけど。3拍子なんですか、これ。」
蓮沼「そうだね、うん。」
U-zhaan「3拍子系の曲ですよね。他にも良い曲いっぱいあるんですけど、他で、歌が入っている曲とか、ラップが入ってる曲はいっぱい流れるだろうなぁと思ったので、執太らしいインストのトラックを聴いてもらいたいなと思って、これを選びました。」
蓮沼「ありがとうございます。」
U-zhaan「長嶋さんは、そのトリフォニーホールに行った時の印象とかってありますか。」
長嶋「いやー……あのー、ほら。あれ環(ROY)さん出てきたよね。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「はいはい。」
長嶋「なんか、環さんにすごいこう……あのドキドキした(笑)……ハラハラした。なんか、どういう動きをするんだろう次は、みたいな。どういう展開になるんだろう、っていうのが、なんか見通しが立たない良さ。あはっ(笑)。」
U-zhaan「環さんがですか?」
長嶋「はい。」
U-zhaan「環さん一番真ん中に座ってて、そのラップが入っていない時に、何もしていない瞬間ていうのがあるじゃないですか。」
長嶋「うんうん。」
U-zhaan「あれがなんかいいなぁと、僕、思ってて。その、まぁ、オーケストラの人とかも、後ろのシンバル奏者とかほとんど、ほとんどの場合は聴いているというか、待機している状態。で、その待機している状態を、センターでラッパーがやっているっていうのが、なんか、なんとなく妙に美しいなと思うんですよね、あれは。あんまり出たり入ったりしないで、あそこにいる姿は、いつも、確かにドキドキするところはありますね。」
長嶋「うん。」
蓮沼「ヴォーカリストもいるし、ま、ラッパーもいるんですけど、本当に、音をね、出すだけじゃなくて、聴いているというか、ステージ上で。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「それもなんか、立派なパフォーマンスですよね。」
長嶋「確かに。そうだよね。だから本来それを皆やってるけど、確かに環さんの存在が、なんか一番それがこう、可視化されてる感じがあったもんね。なんか気付かされた。今。」
U-zhaan「僕はあの、あそこ錦糸町だったんで、LIVEが終わった後に、錦糸町の美味しいベンガル料理屋にご飯を食べに行ったのが覚えてますね。」
蓮沼「いい店だね。」
U-zhaan「いや、いい店でしたね。」
蓮沼「うん。実は僕も行ったんです。」
U-zhaan「あ、そうなの。」
蓮沼「LIVEが終わった後……夜中に行ったのかな。」
U-zhaan「あ、夜中やってるよね。だってあそこ、夜8時から朝4時まで、みたいな変な店だから。」
蓮沼「あの、打ち上げ会場を、ちょっと中抜けして行きました。」
長嶋「ふふ。」
U-zhaan「打ち上げ中に、ちょっと俺、カレー食ってくるわ。って言って?」
長嶋「そんなに美味しいんだ、そこ。」
U-zhaan「美味しい美味しい。」
長嶋「えー。」
U-zhaan「この、蓮沼執太フルフィルの『フルフォニー |FULLPHONY』は、前半5曲が、そのフルフィルによる演奏で、後半5曲は、それを蓮沼執太さんの手によってリミックスしたものだっていうことなんですけれども、そのリミックスの中から1曲聴いてもいいですか。」
蓮沼「はい。」
U-zhaan「えーと、じゃあこの7曲目を選びたいんですけれども、曲紹介をお願いします。」
蓮沼「はい。えーでは、蓮沼執太フルフィルで、『FULLPHONY remixes』から1楽章目の「Creep」。

  • Ⅰ. Creep / 蓮沼執太フルフィル

U-zhaan「この「Creep」という曲は、えーどの曲のリミックスなんですか。」
蓮沼「えーと、1楽章目の「Difference」というもののリミックスですね。」
U-zhaan「ほう。リミックス作業っていうのは、やっていて結構面白いものですか。」
蓮沼「あのー、そもそも……まぁ26人でレコーディングしてたのは、去年の春なんですよ。なので、1年以上前のレコーディングだったんですね。」
U-zhaan「うん。」
蓮沼「で、まぁその間ずっとミックス作業もしてたんですけど。で、コロナ禍になって。で、STAY HOMEの時期に、そのミックスをしたんです。リミックス作業をしたんですね。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「で、こう、アンサンブルって、まぁやっぱ1年前とかは、いつでも出来ると思ってた、……合奏って。呼べば。メンバーを呼べば。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「けどやっぱり、そういうこともコロナ以降なかなか難しくなっちゃって。……で、なんか合奏ってなんなんだろうって、やっぱ単純に思いまして。」
U-zhaan「うん。」
蓮沼「で、まぁ家にそのレコーディングされた波形と楽譜があって、少しずつ音も削っていく作業をして。」
長嶋「ふぅーん。」
蓮沼「で、自分の音を足したっていうのが、今回のリミックスの過程なんですけど。」
U-zhaan「はい。」
蓮沼「なんかやっぱり、ちょっとこう開いて、心が開いていこう、という感覚よりかは、なんか見つめ直す、みたいな思考が強かったんで。……こう、籠もってるような感じっていうか。」
長嶋「へぇ〜。じゃあ、皆でやってる時とはちょっと全然また違う視点で見てるってことですよね。」
蓮沼「そうですね。」
長嶋「音の聴こえ方も、きっと1こ1こちょっと違うっていういか。ここは取っていった方が、別の面白さがあるかな、みたいなこと?」
蓮沼「うん。あの、まぁやっぱり、基本的には2個のスピーカーで鳴らす音源で、やっぱ26人もいれば、音がたくさんあるので、聴こえる音、聴こえない音っていうのを意識しないと、聴き取れなかったりするんですね。で、わざとマイナスすることによって、曲に違う視点がこう作られる、という。」
長嶋「逆に立たせたりとか。」
蓮沼「そうそうそう。」
U-zhaan「ぜひその、元曲と聴き比べてみて欲しいなぁと思います。えー、蓮沼執太フルフィルの『フルフォニー |FULLPHONY』は、デジタル配信先行中で、来月10月28日にCDとアナログレコードも発売になります。ぜひ、CDショップで裏返してみてると、横尾忠則さんの表4のデザインも見れると思います。」
長嶋「ふふふ(笑)」
蓮沼「まぁ言ってしまうと、横尾さんも、自身の絵をマイナスしてるんですよ。」
長嶋「へぇーー。今回のアートワークの為に?へぇー、面白い!」
蓮沼「文字も全部抜いちゃったりしてて。」
長嶋「絵自体は?絵自体もちょっと変えてるの?」
蓮沼「絵に、動物だったり植物だったりがあるんですけど、そのマテリアルをどんどんと抜いていって、再構成されていって。」
長嶋「へぇー面白い。」
蓮沼「それがあの、今回、僕のやったリミックスの過程といっしょで。」
長嶋「それなんか、そういう対話があったんですか?そうじゃなくて?」
蓮沼「いや、全くなく。」
長嶋「マジ。すごい。」
蓮沼「そういうシンクロがあったのが、とても面白いなぁと。」
U-zhaan「あの、動物が減っていってるってことなんですか。もともといた動物が。あの白鳥がいたりトンボが飛んでたりとかいうの、もっといたんですね、あれ。」
蓮沼「あの、そう。裏はね、もう本当に動物がすごい少なくなってて。」
U-zhaan「うん。」
長嶋「ふ〜ん。」
蓮沼「なので、それを確認しにぜひCD屋さんで、裏っ返し、してみてください。まぁそのままレジ行ってくれると、更に嬉しいですけど。」
長嶋「えへへ(笑)。ぜひ。ぜひそうしていただきたい。」


■蓮沼執太フルフィル『フルフォニー|FULLPHONY』特設サイト
https://www.hasunumaphil.com/fullphony/

■蓮沼執太フィル
https://www.hasunumaphil.com/

<坂本龍一 「この2ヶ月で聴いた曲から紹介」プレイリスト>

「さて、ここからは僕、坂本龍一が普段聴いている音楽のプレイリストの紹介ですね。で、今回ちょっと形を変えて、もう音楽をずらーっと続けてかけていきます。で、プレイリストの紹介は……後でします。いいですかぁ(笑)、もう本当にだらっと聴いてください。」

  • Tierkreis, Work No. 41½: I. Aquarius / Karlheinz Stockhausen (The Contemporary Lute)
  • Dream (Arr. P. Soderberg) / John Cage (The Contemporary Lute)
  • Adagio en quintette pour quintette à cordes / Jehan Alain (Jehan Alain : Oeuvres instrumentales et vocales, vol. 2)
  • Xerrox Spark / Alva Noto (Xerrox, Vol. 3)
  • Valve (feat. Miyako Koda) / Visible Cloaks (Reassemblage)
  • Drones & Viola: Part I Material in D / Nico Muhly (Drones)
  • Rakka / Vladislav Delay (Rakka)

「はい。今かけたのはですね、まず最初は、Karlheinz Stockhausen作曲の「Tierkreis, Work No. 41½: I. Aquarius」。これが『The Contemporary Lute』というアルバムです。えー、演奏しているのは、Peter Soderbergという人と、Sven Abergという人です。次も同じアルバム『The Contemporary Lute』で、John Cage作曲の「Dream」……これ、Peter Soderbergさんがアレンジしています。えーと次は、Jehan Alain。これはフランスの作曲家で、もうだいぶ前に亡くなったんですけど、えー、オルガンの名手ですね。で、オルガン曲をたくさん作って、まぁ教会でも弾いていたんですけども、第二次世界大戦中に戦場で亡くなりました。これは彼の、「Adagio en quintette pour quintette à cordes」です。はい、次。えっと、Alva Noto『Xerrox, Vol. 3』から、「Xerrox Spark」。それから、えーと、Visible Cloaksの『Reassemblage』というアルバムから、「Valve」ですね。これは、Visible CloaksとMiyako Kodaさんがやってます。次、Nico Muhly……これ、ニューヨークの比較的若い作曲家ですけど、僕も会ったことあるんですけど、Nico Muhly作曲の『Drones』というアルバムから。で、最後がこれも僕、知り合いなんですけど、Vladislav Delayというアーティストの『Rakka』というアルバムからタイトル曲で「Rakka」。」

「なんか昔からね、こういう訳わかんない音楽をだらーっとこう聴かせるような、FM……FMステーションに憧れていて、1回、レディオサカモトでも、全編この形でやりたいなぁと(笑)。で、曲紹介も全くなしで、ただぶっきらぼうに音楽かけて、まぁプレイリストはWEBに出すとか、そういうもう、2時間、DJ番組みたいなのやりたいすね。はい、どうでしたでしょうか。」


<エコ・レポート (more trees 水谷伸吉)>

「皆さん、こんばんは。more treesの水谷伸吉です。今日は日本の木材についてご紹介したいと思います。実は、「木の日」っていう記念日があるのは、ご存知でしょうか。10月8日が「木の日」になっているんですね。漢数字の「十」と「八」で「木」になるということから、10月8日が木の日に制定されています。一方で僕らのライフスタイルを紐解くと、もともと昔は、木に囲まれた生活をしてたわけですね。家だって家具だって、身の回りのものだって木だったわけですけど、この半世紀以上の間に、そういう素材がどんどんプラスチックとか鉄とかに変わってしまったわけですけど、やっぱり今一度、もっと身近に木のある生活を見直してみよう、というのが、まぁこの10月8日、木の日のいいきっかけになるんじゃないでしょうか。実は国もですね、林野庁の方で "ウッド・チェンジ" という言葉を掲げていて、もっともっと生活の中で、身近なものを木に変えていこう、住まいも木に変えていこう、というようなキャンペーンもしたりしています。ちなみになんですけれども、木を身近に取り入れると、結構、心も身体も良いことがあるらしいんですね。とある研究では、インフルエンザの対策にも効果があると言われています。ある教室は、従来型の教室。で一方、机とか内装も木にした教室。その2つの教室のどっちがインフルエンザにかかりづらかったか、っていう比較をした研究があるんですけれども、なんと、木の教室の方がインフルエンザにかからなかったと、いうようなデータもあるみたいなんですね。つまり、木のある暮らしっていうのは、心に癒やしをもらえるだけじゃなくて、実際に身体の健康にもプラスになるんじゃないかなということがいえると思います。まぁ最近、新型コロナウィルスの影響で、家にいる時間も増えていると思います。ぜひこのSTAY HOMEの中で、せっかくいるお家の空間、住環境をですね、もっと木のある暮らしにシフトしていくことで、心も身体も豊かになってみてはいかがでしょうか。ちなみに、僕たちmore treesも、木の中でも特に日本の木材……国産材を積極的に使っていこうという取り組みをしています。実は日本の国土の約7割が森林なんですね。つまり僕ら日本は、世界有数の森林資源を持つ国であるといわれています。なので、そういう日本の森林資源を積極的に持続可能に使っていこうと。そして、産地ですとか作り手の見える木を積極的に取り入れていこうということを取り組んでいます。ぜひ10月8日、木の日をきっかけにですね、ウッドチェンジ。身近に木のある生活、見つめ直してはいかがでしょうか。以上、エコ・レポート。水谷伸吉がお届けしました。」

■一般社団法人more trees
https://www.more-trees.org/