<今回はイタリア、ローマからお届けします>
「先週、Yellow Magic Orchestraとして、イギリスのロンドンと、スペインの北西のヒホン(Gijón)という街で、2回だけの公演をやりました。ロンドンで最後に演ったのは1980年なんで、およそ30年振りですね。一応というか、成功裏に終わりました。今回はサポーティング・メンバーに、いつもの通り、高田漣くんは入っていんですけど、前やっていたCORNELIUSは自分のツアーで参加できなかったので、僕の友だちのChristian Fenneszをね…YMOにぶつけてみたらどうかと、やってみたんですが。結果的にとても良くてね。大人なYMOって感じでね(って、もうとっくに大人なんですけど・笑)、ぐっと深みが増した感じで良かったです。スペインのヒホンは、古いヨーロッパらしい街並みでね。ホテルに到着してすぐに「帰りたい!」と言っていた細野(晴臣)さんが、タクシーで5分くらいですかね。街に出てみたら、いっぺんで惚れてしまいまして(笑)。「ここに住む」と、不動産屋さんをまわってですね…(高橋)幸宏とここに住もうと、そんな話になってるみたいです(笑)」
<the city of light / tokyo town pages - 制作エピソード>
「去年の12月に、3人でスタジオに入りまして。とにかく今回は、生(楽器)だけでやろうと、何も決めずに、僕は普通のピアノ、高橋くんが生ドラム、細野さんは電気ベース(さすがにウッドベースではない・笑)。それでセッション、即興ですね。2時間40分くらい演ってましたね。それでそこから、ここは曲になるかな、という部分を切り出てきて。僕が編集をしてですね、メールなどで「ここにメロディを入れてくれよ」とか「こういう風にベースを弾いてください」と指示しまして。そうやって作った2曲なんですけどね。ほんとにインターネットがあるから、こういう事ができるんですが。だから、まだ使える部分がたくさんあるですけど、2時間40分ありますからね。そこから使うかは未定です。また演ればいいし」
the city of light / tokyo town pages
<WORLD HAPPINESS - 8月10日>
「HASYMO は、8月10日に夢の島公園陸上競技場で行なわれる「WORLD HAPPINESS」という野外イベントに参加します。夢の島って、森になりつつあるんですって? ゴミでできた埋め立ての島なわけだから、毒物もあるけど(笑)、栄養価が高いんじゃないですかね。きっと、いい森・栄養の行き届いた森になるんじゃないですかね(笑)。高橋幸宏さん、アート・ディレクターの信藤三雄さんが中心となったイベントで、家族で参加できる気楽な夏フェスという感じで。高橋幸宏のバンド、pupa(ピューパ)も出演するんですが、YMOが取りだということで。何だか申し訳ないです」
<オーディション総評>
「今回は、バンドっぽい傾向が見られました。あと、弾き語りとね。アマチュアならではという突飛な、プロは絶対作れないだろうというようなね(笑)、そういうのが少なかったですね。そんな中で、すごく変なボサノヴァ、4D Mondulation Studio。これはちょっと極めてみる価値があるんじゃないかなぁ。」
オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに! |
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RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。 |
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番組のオーディション・コーナーでもお馴染みのコトリンゴ、そして今年は小山絵里奈さんも出演する、教授プロデュース公演「ロハスクラシック・コンサート」。今年も開催されます。
<坂本龍一 × Christian Fennesz>
「ようこそ、私たちのローマのスタジオへ」
「ありがとうございます(笑)」
そんなジョークから始まった、今回のYMOのライブでギタリストとしてサポートしたフェネス氏と教授による対談。ローマのスタジオ=ホテルの一室にて行われました。
「YMOのライブに参加してもらいましたが、どうでしたか」
「とても楽しかったです。最初、自分なりの空間を図るのが難しくて、慣れるまでに少し時間がかかりましたが、その後はとても楽しかったです」
「その難しさっていうのは、YMOの音楽の本質によるもの、それとも…」
「いいえ。…でも、そうなのかもしれませんね。YMOの音楽はある意味、とても複雑かつ、まとまりがあり、完成されているので、いかに自分の空間を作ればいいのかを模索しなければなりませんでした。最初、それがちょっと難しいんじゃないかと心配していたんです。完成された音楽に何かを付け加えるというのは、常に正しいというわけじゃないですから。付け加えても意味を成さない、という時もあります。でも、まとまっている音楽に沿う何かを付け加えながら、反対の要素を加えてもいいんじゃないか…とも思ったんです」
「それは深い部分での構成ですね」
「でももちろん、付け加え過ぎてはなりません。私はYMOが好きだし、尊敬もしています。意味をなさないようなただのノイズを加えたくありませんでしたから」
「西洋と日本の音楽には、実質的な違いがあると思いますか」
「構成が違うと思います」
「それは音楽理論として…、例えば、構成がより厳密だとか、そういうことですか」
「日本のアプローチ方法で、いいなと思う部分は、「全てが重要」という考え方です。1つの音声で演奏していても、それを話し合い、考える。それがとても重要だと考えているみたいだし、実際、重要であるべきですから」
「ヨーロッパや西洋の音楽の作り方は「即興的」ということですか」
「いいえ、より「コンセプト重視」ということです。これは極めて個人的な印象ですが、日本の音楽は、コンセプトもさることながら、ディテールに至ることも重要視するんだと思います」
「日本の古い庭園みたいだなぁ」
「ええ。私もそれ(古い日本庭園)を思い浮かべました」
「僕が今思い起こしているのは、京都の日本庭園…」
「その通りです。ビジョンや方向性があり、それをやるための方法があり、いかにそれをやるかという方法があります」
「よりディテールに至る、というのが重要なんですね。より日本的で…」
「ええ、私はそう思います。理にかなっています。たとえば私はこの方法であなたやYMOと仕事をして、多くを学んできました。このようなアプローチ方法は、常に存在していました」
「この違いって、すごく興味深いですねぇ。僕は、とても力強いコンセプトが全てを率いる、ということが非常に羨ましくて…それは例えば、職人芸に受け継がれているような、最初にコンセプトが来て、最後にまたコンセプトが来るようなもの。常にコンセプトありきなんですよね。とてもシンプルだけれども力強い、音楽もステージ・デザインも、全てがコンセプトに基づいて行われている、というような考え方は、僕からすれば、すごく西洋的ですね」
「そう見えるかもしれませんね。職人芸はそうかもしれません。でも常にそうかどうかはわかりませんが」
「でもフェネスの音楽は全然違う」
「ええ。でも、力強いコンセプトを持とうとしたのに、結局は自分の感じたことやしたいと思った演奏をする人たちもいます」
「なるほど…」
「ですので職人芸という考え方は、明確なのかもしれませんね。彼らはコンセプトを中心に物事を設計しているわけですから」
「それが全てを支配して」
「ええ。でも、時に、アイディア自体はほとんどなく、コンセプトがずっと後からついてくることもありますよね」
「ええ、もちろん。僕はそういう方法が好き。ともかくなんでもまず演奏してみるっていう」
「私もです。私も、そうやって育ちました」
「では話題を変えましょうか。昨夜のサルデーニャでのライブは、どうでしたか」
「(笑)ご存知のとおり、カリャリの町外れのホテルで困っていましたからね」
「ですねぇ。美しい町でしたね」
「あそこは美しい町です。そこから10〜15kmの何もないへんぴな場所で、ホテルは良くありませんでした。恐らく、リハーサルの場所があったからそこを予約したんだと思います」
「すごく素敵なピアノがありましたね。まだ「若い」ピアノが。年齢、1ヶ月のピアノ…」
「ええ。若過ぎましたかね」
「もしかすると今までに2回しか使われてないのかも(笑)」
「私もそう聞きました。でも古代のアンフィテアートゥロの町は本当に素晴らしかったです。素晴らしいアリーナでした。実は昨日、ちょっと上安だったんです。しばらく2人で一緒に演奏をしていませんでしたし、それまでには、ライブでは2、3度しか演奏をしたことがなかったから」
「3度くらいですかね」
「私たちは長い期間、一緒に仕事をし、常に連絡を取り合ってきましたが、それは実際に顔を合わすのではなく、バーチャルな方法でした。ですのでちょっと緊張しましたが、演奏の半ば以降はリラックスしました。良いショーが出来たと思います」
「とても良かったですよ。僕はすごく楽しみました」
「私もです。今後の演奏に対してさらに手応えを感じています」
「この後、イタリア3都市、そのあと7月はニューヨークに来てもらって…。楽しみにしています」
「私もです。イタリアからニューヨークへの変化も楽しみです」
「ええっと…、まだまだ色んな話が出来ますが…」
「いつでもどうぞ(笑)」
「クリスチャン・フェネスさんでした、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
■Yellow Magic OrchestraオリジナルTシャツを3名さまにプレゼント!
ロンドンのMeltdown出演記念に作られた「Yellow Magic OrchestraオリジナルTシャツ」を3名さまにプレゼントいたします。
ご応募は、番組のご感想、ご意見などもお書き添えのうえ、こちらから。
当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。
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