3月11日 <寄り添って、忘れずにいけたらと思います>
「こんばんは、坂本龍一です。2ヶ月に一度、お送りしているRADIO SAKAMOTOですが、今回は奇しくも、3月11日の夜となりました。1年が経つわけですけども、皆さんもそうかもしれませんけど、長かった。という感じと、あっという間だった。という感じと、ありますね。……あの被災地の状況を見ても、復興してる部分と、まだ遅々として進まない部分と、また、いろいろ解決しなければいけない問題が、ほんとに山積みになっていると思うのですけど、何か、うーん、歯がゆい思いをして、じぶんたちも、そんなに力になれないことも、ほんとに歯がゆいんですけどね。でも、まあ、復興は長くかかると、こう覚悟してですね、僕たちも、それに寄り添ってですね、……まあ、僕は元気を与えるとかね、そう言う言葉が嫌いなので、ほんとに、寄り添って、忘れずにいけたらいいなと思いますけど。」
<311東日本大震災 市民のつどい『Peace On Earth』>
2012年、3月11日。東京・日比谷公園で行なわれた、311東日本大震災 市民のつどい『Peace On Earth』のなかで行なわれた、トークイベントようすをお伝えしました。
(坂本龍一)「もちろん、災害っていうのも大きいんですけど、3月11日が起きたことによって、それまで隠されていたというか、あまり露呈していなかった、いろいろな日本社会が抱える問題が姿を現したというか、より、見えるようになったという面がありますよね。911でもそれは思ったんですけど、アメリカが世界のいろんなところでやってきたことが明るみに出てしまった。世界中のひとが知ってしまった、っていうのがあるけども、この311も、そういう面があるなあと思います。」
(岩井俊二)「いままで通り、映画を作りたいんですけど、日本の中で映画を作る分には、いまのテレビドラマもそうですけど、普通に作れば、見てくれるひとがいる。これをひとたび、海外のひとに見てもらおうと考えると、海外から見て日本っていうのは、チェルノブイリと同じで放射能に汚染された国で、まあ、そういう目でみんな見てる訳ですよね。だから、例えばチェルノブイリから来たラブ・ストーリーがあって……っていうと、みんな普通に "どこで放射能の話題が出てくるんだろう" って思うじゃないですか。最後まで出てこないと、多分、あれ、この作者って、あんまり気にしてないのかな。っていう風にしか思わないですよね。なんか、外の目から見ると、そういう段階に入ってしまってるというのが、非常に息苦しいというか……なんかそのことを考えると、ほんとに日本て傷ついたんだなって、僕の立場から言うと、思っちゃうんですけどね。これから、日本でいったいどういうものを作ったらいいのか……特に映画の場合、物語が必要なので、そこから、ある種、逃れられないだろうし、非常に難しい段階に入ったなあと思うんですけどね。海外にいると、それを強く感じる。ただ、どっちも正しい偏見なんだと思うんですよね。」
(後藤正文)「1年、あっという間に過ぎたんですけども、うーん、まだまだね、解決しない問題だらけで、心が痛いっていうかね。そんな中でも、出来ることはないかなと、考えてます。(黙祷の瞬間について) まずは、亡くなった方に対して、哀悼の意というか、気持ちで、ただ、沈黙する時間をつくりましたけど、なにも考えずに祈るっていうか。あとはやっぱり、坂本さんとトークしながらも、このいま、トークしていた時間帯にこう、津波がね、来ていたこととかを想像したりして……うーん、……まあ、ぜんぜん予言者でも何でもないから、あれなんですけど。逃げろ逃げろって、言えたら良かったのになっていう、そういう気持ちありますけどね、ちょっとね。」
(中沢新一)「この1年、日本人の意識は、根本的に変わっていると思います。いまのエネルギーの状況は良くない。そしてそれを取り囲んでいる政府も、官僚も、そして産業界も、全体の構造が良くないということは、多くの日本人が、もう知り始めています。ですから、日本人の心は転換している。ところがそれが見えない……今日はこうやって、それを見えるものにする力が現れてきた。だけどほんとは、もっとたくさんの日本人の心の中で起こってる変化が、見えないんです。これを見えるようなものにしていかないと、日本は作り変わることができないと思います。311で人生が変わったっていうのは、まったく僕も同じで、学者やってれば良かったんですけれども、すっかりこれで人生、別の方向に入っていかざるを得なくなりましたけども。それは "グリーンアクティブ" っていうのを作って、日本人の中で、変化した心を、外に見えるものにして、そして日本をほんとに変えていくものに、運動に、していきたいと思います。皆さんもぜひとも、この運動に参加してください。よろしくお願いします。」
<対談:坂本龍一×岩井俊二>
今回は、ゲストに映画監督の岩井俊二さんをお迎えしました。
<教授の還暦を記念した、トリビュート・アルバム>
えーと、まずは、高橋幸宏くんからコメントが届いています。
「えー……ラジオ・サカモトをお聴きの皆さん、教授、こんばんは。高橋幸宏です。教授、元気ですか。元気そうだけどね。教授の、赤いちゃんちゃんこ姿も見させていただきましたが(笑) びっくりしましたけど、僕も。まさかそこまでやるとは思わなかったんで(笑) しかも嬉しそうだったっていうのはね、ちょっとびっくりしましたけども。まあ、あと数ヶ月で追いついちゃうんで、僕ももう、アラ還というよりは、還ですね。不思議なもんで、これで、3人とも60代というわけで。そういえば、細野さんとかみんなでプレゼントした、トリビュート・アルバムというのがあるんですけど、これもうなんていうかな、教授のために、プライベートで作るもの、プライベートのプレゼントっていうことで、みんなで参加できるひとたちで、作ったアルバムなんですけど、僕も、そん中で1曲、演らしてもらってますが、敢えてここでは言いませんけども。」
「早いもんでね、例えば3.11から、もう、1年経ってしまうと……。なんか、もう月日がどんどん早いんでね、こっちも焦りますけどもね。まあ、そこんとこは、焦ってもしょうがないんで、あんまり駆け足でいかないように、ちょっとゆっくり行こうかなと、僕は今年1年、思ってるんですけども。少し長い目で見ないと、この3.11のことも、最近よく言われている日本の危機のことも含めて、ちゃんときちっと、じっくりやんなきゃいけないのかなと思ってます。ということで、教授は、もう過ぎちゃったけど、おめでとうございました。高橋幸宏でした。」
「あのー……ま、ご存知の方も多いかもしれませんけど、今年1月17日に、わたくし、還暦を迎えましてですね。それで、これはほんとに意外だったんですけども、幸宏くんや細野さんたち、他のミュージシャンのひとたちがですね、還暦祝いの、全く非売品のプライベートなアルバムを作ってくれまして。ちょっと感動してしまったんですけどもね。あまり感動しない、普段、僕なんですけど。ちょっと、熱くなってしまいました。細野(晴臣)さん、高野(寛)くん、高田(漣)くん、藤倉(大)くん、権藤(知彦)くん、それから……なんと、恥ずかしながら坂本美雨、シミー(清水ひろたか)、ユザーン、小山田(圭吾)くん、などが参加してくれまして。これはプライベートなものなのですけども、皆さんに了解をとったので、せっかくですから1曲、お聞かせしたいと思うんですけど、何がいいかな、……細野さんの「Birthday Song」いきましょうか。」
「はい。どうも、ほんとに、みんな、ありがとう。えー……(笑) 今年の6月6日には、高橋幸宏くんが還暦を迎えるので、何か、お返ししなければいけませんよね。」
「それから、実はもう1枚、今度は、もっと若い世代の人たちに、トリビュート盤をつくってもらいまして、これは一般に発売になっていますけども、RADIO SAKAMOTOのオーディション出身のバジュン・トベタくんがプロデュースしてですね、「トリビュート坂本龍一」というアルバムを作ってくれました。どれも、とても素晴らしいんですけど、僕がちょっと関心したのはですね、NGATARIさんの「美貌の青空」です。」
「もう1枚。これもプライベートでトリビュート・アルバムを作ってくれたグループが、いまして、これも番組オーディション出身というかね、たまたあ投稿してくれて、知り合ったわけですけど、Babiちゃんたちが呼びかけて作ってくれて、4D Modulation Studioさんとか、Saya Nishidaさんとか、RAKASUPROJECT.さんとか、皆さんが作ってくれました。これが良いのですよ。あのー、これもぜひ1曲かけましょう。Babiさんの「ゴリラがバナナをくれる日」を。」
「もう、一生に一度のことなんで、ほんとに頭が下がります。ほんとに皆さん、ありがとうございます。」
そして今月は、教授が出演するイベントがいくつかあります。
■対談イベント!坂本龍一×スタジオジブリ鈴木プロデューサー
『commmons: schola vol.10』Ryuichi Sakamoto Selections: Film Music が、5月30日に発売決定!シリーズ10巻の発売を記念して、坂本龍一 特別トークイベントを代官山 蔦屋書店(2号館 2階 Anjinフロア)にて開催されます。3月13日(火) 17:30〜19:00 ゲストは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー。参加方法は、代官山 蔦屋書店 3号館2階音楽フロアにて、対象商品をご予約いただいた方の先着順です。
http://tsite.jp/daikanyama/event/000342.html
|
|
■即興対決!坂本龍一×大友良英
『BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2012』
3月21日(水)には、即興演奏で対戦するイベントに出演が決まっています。格闘技の聖地、後楽園ホールで行なわれるイベント。教授は大友良英さんと "対戦" します。他にも、いとうせいこうさんや、Shing02君、やくしまるえつこさんも出演されます。
http://www.vinylsoyuz.net/
|
|
<オーディション総評>
いつも、たくさんの応募ありがとうございます。次回より、オーディション・コーナーに新部門を設立します。ご存知の方も多いかもしれませんが、藤波心さんは昨年、ご自身のブログで、タイトル『批難覚悟で・・・・』という、原発の撤廃を訴えたエントリーが話題になった歌手・タレントの方です。『Peace On Earth』の会場でも披露された、藤波心さん&かなるさんが歌う「LOVE!ハイロ」という楽曲。こちらをリミックスする「LOVE!ハイロ部門」です。
「藤波心です、中学三年生の15歳です。いま、グリーンピース・ジャパンさんの企画で "Love!ハイロ" というキャンペーンをしていて、主にネットなんかで活動しているんですけど、それのキャンペーン・ソング 「LOVE!ハイロ」という歌を、きょうは歌わせていただきました。2011年3月11日の東日本大震災から、きょうで、ちょうど1年ということで、これをきっかけとして、1年経ちましたが、もう一度あの日のことを思い出して、いろいろ家族とか大切なひとと、もう一度、いろんなテーマで話し合ってほしいなと、改めて感じました。坂本龍一さんもボリューム2で出演されている、岩井俊二監督の『friends after 3.11』のボリューム1で、わたしは被災地の宮城県に行ってきたんですね。街中は、ほとんど津波の影響を受けてなくって、震災から半年後に行ったんですけど、もうほぼ普通に活動していて、ちょっと海側に行くと、もう、数キロに渡って家の土台だけになってしまったような景色が続いていたりっていう、すごいギャップがある状況が広がっていて、当時、そこに行ったときは、もう言葉もでなくて、ただ、涙しか出なかったんですけど、そのロケが終わって普通の生活に戻ったときに、"あ、この当り前の生活が、すごい有り難いんだ" ……具体的に、布団に入って寝られることとか、あたたかいお風呂に浸かれることとか、何不自由なくご飯を食べて家族みんなでいっしょに居られること、っていうのが、すごくありがたい、いちばんの宝物なんだな、っていうのを、わたしはこの1年間、改めて気付かされたので、そういうことを思いながら、当り前の日常を、ありがたいと感じながら、生活をしたいなといいうのは、最近、日々、思いますね。」
原発の廃炉と自然エネルギーへのシフトをめざす「Love!ハイロ」のキャンペーン・ソング、藤波心&かなる「LOVE!ハイロ」のREMIX素材を自由にエディットしてご応募ください。素材はコチラからダウンロードして下さい。
オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに! |
|
RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。 |
|
■『Live in San Francisco 2011』ポスター&ポストカードをプレゼント!
RADIO SAKAMOTOからのプレゼントです。
今回は、DVDの発売を記念して『Yellow Magic Orchestra Live in San Francisco 2011』のポスターとポストカードをセットにして3名の方にプレゼントします。
■教授のベルリン土産をプレゼント!
今回はさらに、特別プレゼントもあります!
2月に行なわれた、第62回ベルリン国際映画祭に出演した教授からのお土産です。サイン入りバッグ3点、マフラー1点。しかもこのマフラーは、映画祭に出演したひとにプレゼントされるというものだそう。
■教授オススメの本『最後に残るのは、身体だけーー自分を見つめなおす「整体の智恵」』をプレゼント!
そして、教授オススメの本『最後に残るのは、身体だけーー自分を見つめなおす「整体の智恵」』も3名の方にプレゼントします!
番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください(教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます)。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。
|
|
|