RADIO SAKAMOTO

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ARCHIVE:110904

「今回は、東京で滞在中のホテルの一室からお届けします。窓からは東京の夜景が見えますけどね。6月のYMOでの北米ツアーを演り終えて、僕はニューヨークに一度帰って、一息ついて、7月中旬に日本に来ました。それから怒濤の毎日を……1ヶ月半。長かった(笑) ……宮崎県 (東臼杵郡) 諸塚村、岩手県 (気仙郡) 住田町、陸前高田市、新潟県のFUJI ROCK、東京に戻ってきてWORLD HAPPINESS。こんどは京都に行きまして、京都造形大学で (ステファヌ・) マラルメのイベントをやって、翌日に京都から福島でいきなり本番というね。忙しい……。これだけ日本のあちこちを旅したのも珍しいんじゃないですかね。」


<YELLOW MAGIC ORCHESTRA 2011年の夏フェス。>

「今年の夏、最初はYMOのLIVEから始まった訳ですけど、6月26日がL.A. ……6月だったんですね、もう随分前のことのようですけど。そして、6月27日がサンフランシスコでした。全米からマニアックなYMOのファンが来てくれて、日本の第一世代とほとんど同じような感じで、40代のひとが多かったですね。それで、バンバン、客席からリクエストがかかるんですよ。僕らはリクエストに応えるようなバンドではないのですけども (笑) ……そのね、リクエストが、ものすごいマニアックな曲で、当然、YMOの歴史の中でも一度もLIVEで演ったがないような曲をリクエストしてくるんですよ。こんな曲知ってるの、っていうね。日本のマニアックなファンもリクエストしないような曲でね (灰色の段階とかね) びっくりしましたけど。」

「FUJI ROCK (FESTIVAL '11) は、客層が随分違いますね。20代前後くらいで、ものすごく若い。YMOって知らなかったと思うんですよ、彼ら。ポッキーのおじさんだと思ってる。っていう感じの子たちがたくさん居たんですけど、ものすごく盛上がった、モッシュなんかもあって。とても新鮮でした。」

「"アトミック・カフェ in FUJI ROCK FESTIVAL" というトーク・イベントのステージにも参加しました。今年の3.11の原発事故を受けてですね、加藤登紀子さんや斉藤和義さんが出演して、そのあとに、YMOの三人でステージに出て行ってですね。あの温厚な (高橋) 幸宏くんや、仙人のような細野 (晴臣) さんまで、"脱原発" 宣言をなさってですね。細野さんなどは、311の後、わりと早い段階で購入したという、中国製の線量計まで出されて。入場制限かけたくらい、ずいぶんと熱い感じで盛上がりました。石投げられるんじゃないかと思って、心の準備はしていたのですけど、大丈夫でした。」

「それから、WORLD HAPPINESS 2011に出演しました。今年は14,000人ですか、お客さん。すごいですね。今年は、YMO以外にも、fennesz+sakamoto としても出演しました。基本的に、ふたりとも即興的なものなので (トラックはあるんですけどね) 打合せもなく、一応、この日の朝に、フェネスにメールで演る曲をメールしたんですけど、ぜんぜん用意されてなく、ステージで「つぎ、○○ね〜」って怒鳴ったり(笑) もちろん英語でですけどね。野外で演ると、生ピアノっていうのが大変でね。晴れてても風が吹くと、マイクが拾っちゃう。でも生ピアノじゃないと成立しない音楽なので、まあ、野外でやるのは厳しい面もあるんですが、同時に、風が吹いてきたり鳥が鳴いたりね、そういう、偶然起こることと、まあ、この音楽がけっこうマッチしてね。気持ちいい感じなんですよ。野外フェスなのに、ビートのない音楽なので、たくさんのひとがシーンと聴いていたという、まったくのらない、シュールな光景なんですけど "野外フェスでお客を黙らせた、固まらせた音楽だ" って、幸宏が言ってましたけど。いいんじゃないでしょうか。」

■THE ATOMIC CAFE
http://acf.main.jp/index.html

出演者のみなさんから、教授へメッセージをいただきました。
それぞれ、教授がコメントしています。

salyu × salyu です。今回はじめて (WORLD HAPPINESSに) 参加させていただいて、音楽を愛するオーディエンスの方たちが集まるイベントなんだなあっていうのをステージで感じつつですね、すごく私たちも、バンド全員で思いきり、この時間を楽しませていただきました。他の出演者さんも観たいアーチストさんばかりで、いい意味で、とても忙しいというか、久しぶりに楽しい時間でした。これからも、さらにパワフルな音楽の力を届けられるように頑張りたいと思います。」

(坂本)
「いやー……驚いたのは、あのCORNELIUSプロデュースの作品をLIVEで演ろうっていうのは、普通は考えないですけど、演ってました。10月くらいからリハーサルしてた、とか言ってましたよ。「毎週末、泊まり込みで寝ないで練習してました、練習が趣味なんです」 なんて言って。すごいですねえ……ちゃんと完璧なピッチで歌ってたんで、見事でした。」

サカナクション、ボーカルの山口一郎です。やはりステージの上は最高に楽しくて、楽屋は緊張します (笑) もうすぐそこで、細野晴臣さんが椅子に座ってたり、いろんな方がたくさん居て。今年は1曲目に「東風」のカバーを演らせていただいたりして、あのー……ほんとに恐縮です、すいませんでした (笑) 」

(坂本)
「サカナクションの女性のベース (草刈愛美さん)、めちゃくちゃカッコいいですよね。今年、彼女を観たFenneszが 「彼女と結婚したい!」 って言ってたくらいで (フェネスも相当、酔ってたとは思いますが・笑) 僕も、去年観たとき、ほんと衝撃で "サカナクションは彼女がいるからかっこいい。絶対に手放すな"……みたいな失礼なことを言ってしまったんですけど、あの子もかっこいいんですけど、いいバンドですね。この1年で、ずいぶん変わってるよね、進化してる。音楽性が深くなってきているんで、若いから楽しみですね。」

(神聖かまってちゃん・の子) ……あ、これ、もう入ってんですか。入ってるなら入ってるって言えよ!坂本龍一さんの番組、あ、おれのダチの友だちか!ダチの友だちの、あの坂本のことか!こんど飲みに行こうぜ!あとは、まー……あのー、捨てアドでいいんで、教えてください。とりあえず……まあ、ハグ……アホアホマン……あ……すいません坂本さん、ぼくまだ、配信中なんですよ。さっきの大人の続きは、帰ったあと、しましょう。今度は坂本さん家で配信しましょう。」

(坂本)
「わかんないんですよね、イタいなー。イタいバンド、イタいヤツ、イタい配信、イタ生みたいな感じですけどもね、あのー……(笑) 空中飛んでましたよ、このひと。ジャンプ土下座とか言ってね。いや、すごい失礼なこと言うじゃないですか。呼び捨てだし、人のこと。それで、終わると超謝るんですよ。それでもう「すいません、ジャンプ土下座します」とか言って、ほんとにこう、飛んで土下座していたんですよね。痛いだろうにあれ。傷だらけの人生 (笑) でも、彼らの音楽、聴くのは初めてだったんですけど、単にイタいだけの音楽じゃないんですね。これから注目してみます。」

<moreTrees (LIFE311)>

「311から改めてね、復興……と言いますけども、なかなかこう、端緒についてないような気がするんですよね。っていうのは、7月に、日本に来たその足で、岩手県の陸前高田市に行ったんですね。(岩手県気仙郡) 住田町と協力して、木造の仮設住宅を建てまして、被災された家族の方たちに入っていただいてるんですけど。その関係で伺ったんですが、いろいろ難しいというか。……映像で見ていたときは、陸前高田市の壊滅状態の街のなかには、いくつかのビルが建っていたので、助かったんだなと思っていたんですが、実際にそこに行ってみると中はめちゃくちゃで、とても使い物にならないんですよね。まず解体しないと、整地や造成もできない。陸前高田市だけでも、解体するのに17〜18億円かかるそうなんですが、そのお金はどこからも出ない。市庁舎自体もいまは仮設ですし、市の80%くらいは被災している。復興の計画を立てても、税金も取れない、でもビルは解体しないと、整地もできない。僕が見た、陸前高田市だけでも、そのような大変な問題を抱えてるので、被災した広範囲の地域のことが、これからどう進んでいくのか、解らない状態ですね。たいへんです、いろいろとね。皆さんも、もしよかったら、寄付してください。」

■moreTrees (LIFE311)
http://www.more-trees.org/
http://life311.more-trees.org/


<School Music Revival こどもの音楽再生基金>

「僕は音楽家ですので、この311の被災があったときに、すぐ音楽のことを考えました。そして楽器のことを考えました。被災した広い地域で、震度6以上だった学校は、なんと1,850校あまりになるんですね……大変な数で。津波で流されてしまった楽器などもあるんですが、まだ直せば使える楽器もあるんです。なので、地元の楽器屋さんに声をかけて、まずは、壊れた楽器について調査してもらって、修理も地元の楽器屋さんにお願いする。それで修理代も払う。少しでも地元にお金がいくように。そういうプランを3年計画で立てています。修理された暁にはですね、例えば、学校対抗などで競い合うようなこともできたら嬉しいなと思っています。じっくり時間をかけて、できることをやりたいと思います。」

「それから、宮崎県の諸塚村に行きました。人工は2,000人くらいなのですが、日本では林業でやっていけてる村は、とても少なくて (岩手県の住田町も林業が成功していますが)、ここも林業がうまくいっている村です。ここの森で、ひとつは普通のマイクで村の音をレコーディングして、もうひとつは、森の木に特殊なセンサーをセットしまして、樹木のわずかな電気ですね、電位差というものを記録して、これを何らかの音楽にしていけないか。という、"Forest Symphony" という企画も行なっています。単純に森からインスパイアされた音楽というだけではなくて、森自体が持っている、生き物としての一日の変化というか。そういうものをそのまま音楽にできないか、というような考えですね。これも、School Music Revival のチャリティーに生かそうと考えています。」

■こどもの音楽再生基金
http://www.schoolmusicrevival.org/

<諸塚村の音をレコーディングしている、サウンド・アーティストの川崎義博との対談。>

「昨日、ここに来て音を聴いていて、一番ぐっときたのは、背景音なんですよ。最初は、うるさい蝉とか鳥の声が気になるけども、実は面白いのは背景音で、ぼーというか、厚みのある、すごく周波数の複雑な、ほとんどホワイト・ノイズのような音がいいですね。あれをね、ちょっとオーケストラにしてみたいなっていう気になって (笑) あんな複雑な音が出せるか解らないけど。いい音ですね。川崎さん、前から聴きたいと思っていたんですけど、日本の街の音って、どう思われますか。」

「基本的に、ヨーロッパと比べると、圧倒的に音の数が多いのと、特に音楽が外に溢れ出したっていうのが日本の特徴ですね。車の音だけじゃないんですね。要するに、誰も聴かない、誰の耳に対しても聴かせない音楽が、これだけ街に溢れてしまって、果たして音楽なのかな。っていうことを考えてしまうんです。ところが逆に、アジアのマーケットなどに行くと、それが喧騒というか賑やかさ、賑わいですよね。そういうことにも慣れてしまって、気づかない。気づかないのが、一番まずいですね。」

「そうですよね。ところが耳には入ってくるんで、身体的には相当、耳は傷ついてると思います。それを一生懸命、脳が自己防御でフィルターを通して、意識に登らせないようにしてる。そうしないと、ものすごい情報量の、うるさい音が入ってきて、精神が撹乱させられちゃうというかね。」


<fennesz+sakamoto ニュー・アルバム『flumina』も発売中。>

「fennesz+sakamoto のアルバム『flumina』が8月に出ました。fennesz+sakamoto としてのLIVEを日本で演るのは、今回が初めてだったんですけども、WORLD HAPPINESS 2011 にも出演しましたし、栃木県の那須にあります "二期倶楽部" というところで、コンサートをしまして。1時間30分くらいかな、そのときの模様はUSTREAMで生中継したんですけども。とてもリラックスした雰囲気の中で、演奏時間も任されていましたし、中身も自由に演ったので、最初はたっぷり即興をしたんですけどね。」

■fennesz+sakamoto 『flumina』
commmonsmart

<映画『一命』のサインドトラックを担当させてもらいました。>

「三池崇史監督は、暴力的な描写が有名なんですけど、最近では「忍たま乱太郎」のようなエンターテイメントからホラーまで、幅広い仕事をされてます。三池監督からコメントをいただきました。」

「三池崇史です。私が監督を務めた、映画『一命』が10月15日に公開になります。この映画はですね、んー、なんだろ、……3Dなんですよね。飛び出す、海老蔵です。ほんとにこれは "奇跡の映画" だと思っています。出演者の、こういう組み合わせっていうのは、日本映画として何十年に一度、起こるかどうか、という組み合わせです。非常に静かな映画ですから、坂本さんの音楽も、雪が降ってくるように、心に積もっていく音楽です。じっくりと、楽しんでもらえるんじゃないかと思ってます。」

■映画『一命』
http://www.ichimei.jp/
■サウンドトラック10月12日発売。
commmonsmart

<8.15世界同時多発イベントFUKUSHIMA!>

8月15日に福島県 「四季の里」 で行なわれた、プロジェクト FUKUSHIMA! に出演した、教授。そのときのようすを聴いてみましょう。

「会場は福島駅から20分くらいの、緑豊かなところなんですけど、スコールのような雨が降ったりもしましたが、いまちょっと夕暮れになってきて、空がいい感じで、暮れているところです。比較的、低いとは言っても線量は、東京なんかに比べるとまだ高いので、このイベントは、大きな芝生をぜんぶ覆うような、大風呂敷を広げてですね。まず、風呂敷を敷くところから始めた訳ですね。少しでも線量を下げるよう、努力しているそうです。先日、惜しくも亡くなってしまった、rei harakami くんと、いつもいっしょにやっている U-zhaanくんも、本日、参加していますけど。なんと実はね、U-zhaanとハラカミくんで「テクノポリス」を演ろうとしていたそうで、今日は惜しくも、ハラカミくんが出来なかったので、大友 (良英) くんと僕たちで、ゆるいテクノポリスを演りました。……僕はピアニカで参加して、結構うけましたね。」

「NO MORE HIROSHIMA, NO MORE NAGASAKI, NO MORE FUKUSHIMA ではなく "福島から文化を発信したい" という、大友さんたちの熱意というか、気持ち。僕はとても共感できるし、これからも続いてくと思うんで、協力していきたいと思います。」



■kizunaworld.org
http://kizunaworld.org/

「ぜひ moreTrees (LIFE 311)、School Music Revival、kizunaworld への募金をお願いしたいので、サイトのチェックをよろしくお願いします。ね、大変ですけども、まあ、くじけてはいられませんよね、頑張りましょうね。次回のRADIO SAKAMOTOは、2ヶ月後、2011年11月6日の放送予定です、お楽しみに。それでは、おやすみなさい。坂本龍一でした。」


<オーディションコーナー>

今回オーディションの審査はお休みします。すいません。
次回はしっかりやりますので、どんどん送ってください。

オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。

※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに!

RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。

■「いまだから読みたい本ー3.11後の日本」出版記念Tシャツ&ポスターをプレゼント!

RADIO SAKAMOTO からのプレゼントです。
今回は、小学館から発売された「いまだから読みたい本ー3.11後の日本」の出版を記念したTシャツを、3名さまにプレゼント。サイン入りポスターを2名さまにプレゼント。番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください (教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます) 。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。