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PROGRAM

ARCHIVE:190901

「坂本龍一です。ここからは、2ヶ月に一度お届けしているレディオサカモト。皆さんお元気でしたか。僕はこの2ヶ月、8月あたまから3週間あまり日本におりまして、more treesの活動や東北ユースオーケストラの取材などもあり、北海道、東北、大阪、東京などをまわっていました。河口湖も行きましたね。今は戻ってきまして、ニューヨークで次の映画番組の制作に励んでいるところです。今夜の放送なんですけども、僕が長く日本にいたことと、U-zhaanがあいちトリエンナーレでタブラの修行を毎日公開しているのとで、残念ながらデモテープオーディションをする時間がありませんでした。作品を送ってくれた方には大変申し訳ないですが、今夜は夏休みということで優秀作発表はお休みとさせてください。次回は11月です。時間がありますのでまた送ってください。そのかわりではありませんが、U-zhaanの修行の現地レポートをお届けするのと、そもそも、あいちトリエンナーレ2019の芸術監督、津田大介さんには2年前にこの番組に来て頂いて、その時に現代芸術のことや、どのようなコンセプトで芸術祭をやるか、けっこう詳しく聞いたんですね。それもあって、今回大変話題になっていますので、津田くんの話をたっぷり聞いてもらおうと思っています。
その他、ここ2ヶ月の近況報告、僕が普段聞いている音楽のプレイリストの紹介、エコロジーオンライン・上岡裕さんによるエコ・レポートもあります。U-zhaanが監修した本『ベンガル料理はおいしい』も3名にプレゼントします。」

■『ベンガル料理はおいしい』を3名の方にプレゼント!

今回は、U-zhaanが監修した本『ベンガル料理はおいしい』を3名の方にプレゼントします。

番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください(教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます)。
当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。

<北海道、陸前高田、河口湖、東京、高松 − 近況報告>

「さて、ここからは僕の近況報告です。前回7月の放送を終えてから、イタリアの若い映画監督、フェルディナンド・チト・フィロマリノの映画の音楽制作をしていましたが、それを中断して日本に来ていました。まずは北海道。釧路湿原くらいまでは行ったことがありますが、それよりもっと上、美幌町。そのあたりでは流氷も見れるはずですね。一生に一度は見てみたいですね。その美幌町で行われる『more treesシンポジウム〜多様性のある森づくり〜』に出演しました。僕たちmore treesは、北海道から九州まで日本の11の森と提携しています。その提携している森の当事者に集まって頂き、お互いの森の活動報告の共有、具体的に言えば、お酒や焼酎、ご飯を食べての交流ですね。more treesトリエンナーレを3年に一回やっています。今回が3回目ですね。森林を支援してくれている企業の方も参加してくれました。とても美しい北海道の風景を見たんですが、今回、一番驚いたのは、今も日本は暑いと思いますが、北海道の一番北の美幌町で東京と同じくらい暑いんですよ。34℃とか。今ここに来て、一番世界中のメディアで話題になっているのがアマゾンの森林火災ですが、アマゾンだけでなく、アフリカ、インドネシア、シベリア、アラスカでもすごい数の森林火災が起きていて、当然、森林が減少するとCO2の吸収が減りますから温暖化が加速する、温暖化が加速すると水害も起きる、雨が降る部分と乾く部分との差が激しくなる、乾けば森林火災が起きやすくなる、そういったフィードバックが悪い方に加速していく、と科学者が予言していましたが、そういったことが世界中で起きていまして、僕は戦慄しています。人類や他の生物が生き残るためには、立ち向かっていかないといけません。とても国同士で対立したり戦争をしたりする時間はありませんね。
その後、今度は岩手県の陸前高田に行きました。陸前高田には7年ぶりですかね。最初に行ったのは311の災害があった2011年の7月ころでしたね。その翌年の12月にも訪ねて、街の復興の様子を見たり、町の体育館でピアノトリオの形式でコンサートを行ったりして、たくさんの人に来て頂きました。今回は三陸復興記念行事のクロージングのセレモニーだったんですかね。東北ユースオーケストラの団員の中から4人のメンバーと僕のピアノで、ピアノ五重奏という形で何曲か演奏しました。見事な演奏を本番でやってくれて嬉しかったですね。で、陸前高田の後は東京にとんぼ返り、そのあとは河口湖で二泊三日の東北ユースオーケストラの夏合宿。メンバーの半分以上、50人強くらい来てくれました。全員泊まり込みで同じ釜のご飯を食べて合宿ですね。来年の3月に5回目の定期公演をするんですが、その曲の練習ですね。で、番組の後半で、東北ユースOGの野木青依さん、木戸口夏海さんが詳しく話してくれますので、聴いてください。その後は東京に戻ってインタビューや取打ち合わせをこなして、高松市美術館を日帰りで訪問。そこに行ったのは、友人の宮永愛子さんが大きな個展をやっていたからです。実は、2015年に札幌国際芸術際の監督をやった時に彼女が出展してくれて。そのあと僕は病気になってしまったので、監督なのに札幌の現場に立ち会えませんでした。驚いたことに、芸術祭が終わった後、作品の一部をニューヨークにサプライズで持ってきてくださって、そのような縁で高松市美術館を訪れました。
ここで、1曲聴いてみましょう。先月24日から、佐古忠彦さん監督の映画『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』の第二弾が公開されました。前作に引き続き僕がテーマ曲を描き下ろしました。変なタイトルなんですが、「Gui」という曲です。」


■映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』公式サイト
http://kamejiro2.ayapro.ne.jp

■一般社団法人more trees
https://www.more-trees.org

<あいちトリエンナーレ2019レポート U-zhaan>

「今夜のデモテープオーディションは夏休みのため休止ということなんですけど、僕は今、あいちトリエンナーレ2019の音楽プログラムに出演中です。開幕とともに、ここ名古屋で毎日10時間練習し続けるというインスタレーションをやって、その様子を一般公開しています。あいちトリエンナーレは芸術監督を津田大介さんが努めていますが、彼とは教授が2015年に病気でお休みしていた期間に、お正月の放送に出て頂いて百人一首を二人でやった思い出がありますね。非常に弱かったですね。その津田さんが芸術際の期間中、ずっとどこかで音楽が流れているトリエンナーレにしたいということで、でもなかなかむずかしいということで。じゃあ、僕が一人でやろうかな、と始めた企画です。
チッラというのは40日という期間にわたり何らかのことに集中して修行するという、伝統的なもののようです。チッラには不透明な部分も多く、詳しくはわかっていません。食事も制限されていて食事も誰かに与えてもらうんですが、人にもあってはいけない、山ごもりな状況らしいです。ただ、それではインスタレーションにはなりにくいので、誰にでも見てもらえる修行として提案しました。人が見ていれば、一人の時より練習するのではないか。やってみた結果、思ったより15倍シンドイですね。練習しているところを見てもらおうと思っていたんですが、明らかに何かを期待している人達の前で、普段家でやっているような練習、筋トレのようなものはできないなと。本来、練習ってできないところを繰り返しするものですが、それを人に見せるのは苦痛なんだなということがわかって、いろんな葛藤とともにやっています。普通のパフォーマンスにならないよう自分のサービス精神との戦い。非常に大変です。
多くの人に聴いてもらえるよう、なるべく大きな音で練習していたんですが、初日だけで両手を負傷してしまって翌日に病院に行きました。ですので、今はマイク(PAシステム)を設置してなるべく手に負担がかからないようにして練習しています。わたしはガンバっています。ぜひ、見に来てくださったらうれしいです。」


■Chilla: 40 Days Drumming
https://aichitriennale.jp/artist/u-zhaan.html

会場:四間道・円頓寺
公演日:8月1日(木)〜9月9日(月)
※8月5日、19日、26日、9月2日、9日は非公開時間
10:00〜20:00(公開は12:00〜20:00)料金:無料

■U-zhaan監修 『ベンガル料理はおいしい』
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909242051

■U-zhaan オフィシャルサイト
http://u-zhaan.com

<あいちトリエンナーレ2019レポート 教授の返信>

「U-zhaanでした。ありがとう。大変ですねぇ。チッラですか。練習を公開していると。僕には無理ですねぇ。しかもタブラ、手を使って叩くんで負傷したというのはさもありなん、というか。僕はそんなに練習したことないもん。津田くん百人一首が下手なんですね、笑いました。」


■表現の不自由展・その後 | あいちトリエンナーレ2019

https://aichitriennale.jp/artist/after-freedom-of-expression.html

<坂本龍一 「この2ヶ月で聴いた曲から紹介」プレイリスト>

「ここからは、僕が普段聴いている音楽のプレイリストを紹介しましょうかね。僕が普段、毎日のように聴いているいろいろな、雑多な、ランダムな音楽の紹介です。何からいこうかな。今回も忙しい間にも、いろいろな音楽は聴いていまして、ふとしたことで今回何気なく聴いてみたのは、僕のasyncというアルバムのリミックス集。その中で僕の友達、アルヴァ・ノトがリモデルしてくれた曲。」

  • disintegration - Alva Noto Remodel / Alva Noto(ASYNC - REMODELS)

「次ですけども、これまた全然違って、僕がジャズミュージシャンの中で十代の時から一番好きな、ジョン・コルトレーン。なんと50年ぶり、未発表作品が出てきましたね。」

  • Blue World / John Coltrane(Blue World)

「次ですけども、アルヴァ・ノトとも親しい、僕とも2枚コラボレーション出してますが、クリスチャン・フェネスの『Venice』という大好きなアルバム、その中から。久々に聴いたら、すごく良い、僕大好きなんですよね。」

  • Rivers of Sand / Fennesz(Venice)

「また、恐ろしく飛んでしまって。19世紀の作曲家、リヒャルト・ワーグナー。僕はそんなファンではないんですが、これは10代前半にたまたま聴いていて、ずっと今でも好きなのが、遺作ですね。とても長い曲です。」

  • Parsifal: Prelude / バイエルン放送交響楽団&オイゲン・ヨッフム(Great Wagner Conductors)

<J-WAVE × 渋谷のラジオ>

「渋谷、東北、日本全国、そして世界の皆さん、さらに、RADIO SAKAMOTOをお聴きの皆さん、こんばんは。ここからは渋谷の東北オーケストラの時間です。私は東北ユースオーケストラOG、現在はマリンバ奏者として活動しています野木青依です。そして、クラリネット奏者・木戸口夏海さんです。よろしくおねがいします。いつも私達は渋谷のラジオで、東北ユースオーケストラの活動を団員やOB・OGの生の声を通してお届けする番組『渋谷の東北ユースオーケストラ』を放送していますが、今夜は坂本龍一さんとJ-WAVEさんのご厚意でこのような機会を頂きました。教授ありがとうございます。」

〜野木さんと教授のインタビューを抜粋〜

野木「今回の夏合宿いかがですか?」
坂本「僕はこんな練習したことないんだけど、みなさん真面目。家でもこうなんでしょうか。猫かぶってるだけ?」
野木「みんな、はりきって、この期間で力をつけようという気持ちはありますね。」
坂本「年齢差や出身地の違いでギクシャクしてないし、良い雰囲気ですね、東北ユースの伝統かな。」
野木「本当に自由で、事務局の大人たちが恐怖政治をしない団体で(笑)。」
坂本「事務局の女性はしっかりしてるし、男はヘラヘラしてる(笑)。恐怖政治をできない大人たちの集まりです(笑)。」
野木「それに救われたんです。これまで所属していた学校の吹奏楽部が恐怖政治で。すごくトラウマがあって。ほんとにみんなが音楽を大好き、という気持ちを発散できる場所。東北ユースは。」
坂本「日本のほとんどの学校は体育会系で怖い先生、朝練も厳しい。笑いもなく。ほんと不思議で。音楽ってそういう風にやるもんじゃないだろうって。確かに結果的に上手な演奏はできるかもしれないけど。何の意味があるんだろうと思う。まず楽しんでやらなければ。アマチュアなんだから。プロでコンテストに出ようと思えば自分の中で厳しくやろうという気持ちが出てくる。3年しか付き合わないどこかの怖いおじさんにガミガミ言われてやることではない。」
野木「ほんとに人が決めるものではなく、自分の音楽の喜びは一人ひとりで表現できたらよい。そんな子達が集まっているので、朝も夜も真剣に笑いながら、音楽に取り組んでいるんだと思う。このオケはもともとは心の復興で始めてくださった活動。感謝しています。」


■東北ユースオーケストラの有志演奏会のサポーターを募っています
https://camp-fire.jp/projects/view/80240

<エコ・レポート>

「エコロジーオンライン、上岡裕がお届けします。
今日は横浜で開催されたアフリカ開発会議、TICAD7の会場に来ています。今回、RADIOSAKAMOTOで注目したいのは夏の暑さ。日本は8月が非常に暑かったわけですが、ヨーロッパは7月がすごい熱波でフランスでは45.9℃という史上最高温を記録。ドイツではアウトバーンが歪んでしまったということがおきました。この熱波、ヨーロッパだけでなく北半球全域を覆っていろんなことが起きました。グリーンランドでは大気温の高まりとともに、普通は一緒に高まることはないのですが、海水温も一緒に高まりグリーンランドの氷河がすごい溶けやすくなって。ある研究者グループは、グリーンランドの氷が溶けてしまうと海水面が7.5メートル上昇すると考えていて、海岸沿いに住んでいる人たちは引っ越しを考えた方が良い、そんなことを言い出しています。そして今一番懸念すべき異常気象は、人為的な部分も大きいのですが、アマゾンの森林火災。この背景にあるのが、当然、気候変動による乾燥、気温の上昇などもあるんですが、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ新大統領がブラジルのトランプとも言われているくらい、自国第一主義、経済優先、アマゾンの自然保護より経済優先。その後押しをうけた農民の方たちが焼き畑で農地に変えて、牛や大豆を育てるためなんですが、そういった形の焼き畑が横行してしまって今回のアマゾン森林火災を酷くしてしまっています。これについても先程のグリーンランドのように、もうアマゾンの森林も自然に元に戻らないのではないか、という科学者も出てきています。ポイントオブノーリターン。そこに地球に差し掛かるのではないか。私は懸念しています。」

■エコロジーオンライン
https://www.eco-online.org

RADIO SAKAMOTOオーディションに、インターネットから作品を応募できるフォームができました。作品はファイルのアップロードのほか、YouTubeのURLを指定しての投稿も受け付けます。
詳しくは、エントリーフォーム内の応募要項をお読みください。

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