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「こんばんは、坂本龍一です。11月です、番組に復帰してもう2ヶ月が経ったんですけども。……と、思ったら今年もあと2ヶ月で終わりですか、ついこの間、今年になったと思ったんですけど(笑) もう終わりですか。早いなあ……、皆さんはお元気でしたか。さて僕はね、いまニューヨークに帰ってきたばかりで、長くね、家を空けてたんですよね、うーん……疲れました。やっぱり旅をしていると生活奪われますよね、こう、日常がないというか(笑)。やっと帰ってきたので、生活を、日常を取り戻すんだ、という今その気持ちなんですけども。というのは先日まで、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥね、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で、今年アカデミー賞、4部門をさらっていきました、いま世界の映画監督の中で一番ノッているのではないかという、そのイニャリトゥ監督の新しい映画ですね、『レヴェナント:蘇えりし者』と言いますけど、その音楽をやってたんですね。」




<ちゃんと全国区の音楽を作らねば。映画『母と暮せば』>

「日本でね。来月、12月12日(土) に全国ロードショーされる、山田洋次監督の83作目……すごいなあ。となる、最新作『母と暮せば』。この作品の音楽を坂本が担当することになりました。僕の復帰後、第一作となります。もちろんね、山田洋次監督とは初の仕事で、まさかね、自分があの寅さんの山田監督と仕事するとは、もうほんとに夢にも思わなかったけど。寅さんシリーズはね、もうほんとに年取ればとるほど、なんか味わい深く良くなるんですよねぇ。まあ、昭和が毎年まいとし遠くなっていく、という事があるんですけど、帰ってこないあの昭和の日本の風景……とかもちろん人情とかね、地方都市の感じとかね、いいですよねぇ。もちろんその吉永小百合さんをはじめとするマドンナの女優さんたちもほんとに綺麗だし素晴らしいと思うんですけど。いやあ、ほんとにすごいな。寅さんは永遠だ、ふふっ(笑)」

「山田監督と吉永小百合さんがふたりして、コンサートの楽屋の方にいらした時は、緊張しましたね、それは(笑)。でもほんとに、その……去年、演っていたオーケストラの公演が終わった直後で、まだ汗を拭いてるような状態に見えて、大緊張で。汗が引くような感じで(笑)。その時がほんとに初耳だったので、やってくれますか、みたいな感じで。はいって言わざるをえないじゃないですか(笑)、断れないですよね。もちろん光栄の極みというか、なんですけど。僕でいんだろうかっていう方が先に来ましたかねぇ。なんか合わないんじゃなかっていう。山田監督って言えば、超……超が付くほど、全国区じゃないですか(笑)。僕は、ほんと、ローカルな小さいところでやっているミュージシャンですから、通用しないんじゃないかっていうね。そっちの方が大きかったですね、うーん。でも引き受けたからには、ちゃんと全国区の音楽を作らねば、というね。身を引き締めて……で、病気になっちゃったんですけど、その後(笑)。僕にとっても記念すべき、仕事になったわけなんですけども。オリジナルサウンドトラックの発売が決まっています。ぜひチェックしてみてください。」

■坂本龍一『オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」』

http://shop.mu-mo.net/mitem/RZCM-59990?jsiteid=CMM

<山田洋次監督からメッセージが届きました。>

「J-WAVE レディオサカモトをお聴きの皆さん、坂本龍一さん、こんばんは。山田洋次です。9月に復帰されたと聴いてます。坂本さんもきっとね、休んでる間、とても心配してらしゃったでしょう。どんなにかほっとしていらっしゃるかと思います。ともあれ、おめでとうございます。まあこの『母と暮せば』……これを映画にしようと決めた、その時に、この映画の主演は吉永小百合さんだ、小百合さん以外に考えられない。と思って小百合さんにお話をして、そして快諾を得て……で、その次ですよ。音楽は絶対、坂本龍一さんだなあと。で、とにかく坂本さんに、前々から僕は坂本さんと仕事したいなと思っていたんだけども、今度こそ、その機会が来たと思ってね。で、小百合さんに相談したんですよね(笑)。それで(去年の4月のコンサート直後に)、楽屋にふたりで伺って、で、書いたものもまもまだ何もないのだけれども、こんな映画を作りたいんです。と言って、それが始まりでしたね。」

「この映画の最後はね、テノールが欲しいんだと。まあそれは、主人公の小百合さんの息子、浩二(二宮和也)……まあ言わば、彼の叫びみたいな。で、テノールが欲しい。そのテノールがやがてコーラスに変わっていく。テノールの歌詞は、原民喜の「鎮魂歌」という詩からとって、最後はそれがこう、長崎市民の大合唱になっていく……っていう、考えたら随分、具体的なことを僕はね(笑)、随分あつかましく注文したんだなと思いますけど、で坂本さんもそういう、歌い上げる形で音楽ってのはねえ、僕は苦手なんですって笑ってらっしゃったけどもね、とっても誠実に僕の注文をちゃんとこなしてくだすってね。で、この映画のエンディングはほんと素晴らしいですよ。」

「息子を戦争で奪われたお母さんの悲しみについて物語る、これは映画ですね。だから、メインタイトルの『母と暮せば』の母の文字の中に点々とあるけれども、これはお母さんの涙ですよね。だから息子を愛するっていうことは、こんなにもお母さんにとっては切ないことなんだ、こんなに喜ばしいことであり、その息子が居なくなると、こんなに悲しいことなんだと、この映画を通して、描いたつもり。その背景に長崎で7万人の命を奪った原爆というのを、観客の皆さんに考えていただけたらいいなと思って作りました。ほんとに、皆さん……この小百合さんと二宮くんと、二宮くんの恋人になる黒木華くん……三人だけの芝居と言ってもいいんですけどね。みんなとってもよくやってくれたと思ってます。」


<吉永小百合さんからメッセージが届きました。>

「吉永小百合です。リスナーの皆さんも、待ちに待っていたことと思いますけれども、お声を聴けるということは、私にとっても、とても嬉しいことなので、これからまた続けていただきたいと思います。初めて、『母と暮せば』のラストの音楽を聴かせていただいたときには、なんかもう胸がこう熱くなって、……オペラをいろいろ観たり聴いたりするんですけれども、ヴェルディよりもずっとずっと素晴らしいと、私は感動しました。」

「もう、二宮和也さん、嵐の。初めてご一緒したんですけれども、私が母親で二宮さんが息子なんですけど、もう最初に顔合わせのときからなんか、あ、可愛い私の息子。っていう感情が生まれて、で、芝居してもとても軽やかでリズミカルで素敵なお芝居をされたので、もうあの……見とれて、ましたね。それくらい、とても可愛い息子……でしたし、ふたりのシーンっていうのが、息子なんですけど、ときには恋人のような感じに(笑)、あの皆さん、見ていただけるかしらと思ってます。」

「山田監督、吉永小百合さん、ありがとうございます。そしてですね、もうひとつ。この映画『母と暮せば』が、大人の絵本。大人用の……ま、もちろん、子どもが見てもいいんですけど、になります。で、文は山田洋次監督がお書きになって、絵は森本千絵さんが担当してます。いいんですよ、この絵が。すごく。映画とはまたちょっと違う、でも、映画を観て、この絵本をみるとまた味わい深いというかね。とてもいい絵本です。」

■山田洋次監督作品 『︎母と暮せば』 公式サイト

http://hahatokuraseba.jp



さてここで、イニャリトゥ監督の映画『レヴェナント:蘇えりし者』……レオナルド・ディカプリオが主演ですね。あと、いま世界中で最も注目されている男性俳優のトム・ハーディという人がいますけども、最近ではマッドマックス(怒りのデス・ロード)に出てましたけども。で、LAはねぇ……大変でしたねぇ。作業も大変なんですけど、やっぱりその撮影とか、その後のいろいろな映画の作業っていうのは、ほんとに音楽の何倍ももう大変で、エピソードがたくさんあるんですけども、雪の風景のシーンが多いんですね。でこれ、すべて自然光で撮ってるんです。しかも、物語の映画のあたまから順番に撮ってるっていう……これは、まずあり得ないことなんですね。それだけでもちょっと驚くべきことで、なんですけども、撮影を担当したのは、アカデミー賞で2年連続、撮影賞を獲ったチボっていう……エマニュエル・ルベツキ、彼もイニャリトゥと同じくメキシコ人ですけども、が、今回も撮影を担当していて、もしかしたら3年連続、獲っちゃうかもしれないという(笑)。ほんとに過酷な中で撮影していて、役者さんも大変だし、クルーも大変だったんですけども、今年の2月頃にカナダの雪山の方で撮影してたんですけど、温暖化でね、雪がなくなっちゃって撮影中止になったっていう。それで南半球に冬が来るまで待って、8月に追加で撮影をしてたんですね、役者集めて。映画の最大の困難は温暖化だった、っていうね。音楽の方は、僕の盟友でありますカールステン・ニコライ……アルヴァ・ノトね。と、あと一部、ザ・ナショナルというバンド……僕よく知らないんですけど、アメリカではメジャーなバンドらしいんですけど……の、ブライス・デスナーというね。彼はザ・ナショナルっていうバンドもやっているんですけども、割とクラシカルな曲も書いてる、両方でやってる人で、今回はオーケストラを使ったクラシカルな曲で参加している。ま、3人でやったんですね。日本では来年4月、TOHOシネマズ、日劇ほか全国でロードショーするそうです。

「今年も脱原発をテーマにした音楽イベント、NO NUKES (2015)が開催されます。11月28日(土) 豊洲PITにて。4回目を迎える今回、僕は出演アーティストとしてではなくオーガナイザーとして参加します。今年(復帰後)はまだね、ライブを控えているということで、そういうことになっております。……でも、もしかして、ゴッチ(後藤正文さん)とかに誘われたら、なにか弾いちゃうかもしれませんけど(笑)。で、前日の27日(金)もAcoustic Nightと称して開催されるんですけども、辻雄貴+シャクジ能っていう……辻くんはお花ですね、華道をやっている方で、それと若手の能楽師の方。僕の若い友達なんですけども。あと僕すごいファンなんです、在日ファンク。いいっすよねぇ。「爆弾こわい」大好きなんですけども、この曲、当日も演ってほしいなあ。」

■NO NUKES 2015 (Acoustic Nightの開催も決定)

http://nonukes2015.jp

<古謝美佐子さんからメッセージが届きました。>

「はいたい、ちゅううがなびら、レディオ・サカモトをお聴きの皆さん、坂本龍一さん、古謝美佐子やいびん。今回の曲「弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled」は、沖縄、日本だけじゃなくて世界中に広がるようなものでありたいなと思いますので、皆さん可愛がってください。よろしくお願いします。この沖縄の言葉の歌詞なんですけどもやっぱり、言葉の重み、それから持って生まれ育ったところの自然の力強さみたいなのを坂本さんのこの曲にすごいぴったりなんで、綺麗な言葉を、残したい言葉をとり入れて歌詞にしました。それがまたレコーディングの時よりも、坂本さんがいろいろやってくれてからは、もっともっともっと、私たちの言葉をとても素敵な感じで包み込んでくれているので、私も聴きながら、なんか……ふわふわーっとなれるような気持ちになります。で、ふわふわーっと、世界の皆さんにも理解してもらって、環境の良い地球になればいいなと思っています。」

「古謝美佐子さんのメッセージでした。現在、この曲のプロモーションビデオをコモンズのYouTubeサイトで観ることができます。なかなかいんですよ。自分で作っといて変ですけどね、もう観るたびに……泣いちゃうっていうかねぇ。じーんときちゃってもう大変なんですけど(笑)」

■弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled
 / うないぐみ+坂本龍一
http://shop.mu-mo.net/mitem/RZCM-59982?jsiteid=CMM

プロモーションビデオ(YouTube コモンズチャンネル)
https://youtu.be/JUDG_LSSyZ8

<電子書籍版『commmons: schola(コモンズ・スコラ)』>

「僕が総合監修をしている音楽全集、コモンズの「スコラ」シリーズですが、なんと今日から、電子書籍版というのがリリースされました。まあ、あのー、今までなんで無かったんだろう。っていうね、これはまあいろんな事情が、大人の事情があって、随分遅くなってしまったんですけど。初回版はですね、CDブックの1巻目と2巻目、『J.S.バッハ』『ジャズ』ですね。これの電子書籍版がリリースされました。」

「そして、CDブックの方は、第15巻が12月16日に発売になります。テーマは、20世紀の音楽 - II と称して、1945年から現在までの音楽を扱ってます。イギリスに住んでいる現代音楽の作曲家、藤倉大さん。活躍がめざましいんですけども、彼に参加してもらってですね、最近の現代音楽……ミニマリズムとか以降の、できたてほやほやの物も含めた話、選曲などもいっしょにしてもらっているので、ぜひぜひ楽しみにしていてください。」

■教授が総合監修を担当する音楽全集『commmons: schola(コモンズ・スコラ)』の、電子書籍版がリリースになりました。

http://www.commmons.com/whatsnew/artists/sakamotoryuichi/201511011311.html
■CDブック版の最新版はこちら。

"commmons: schola vol.15 Ryuichi Sakamoto Selections: Music of the 20th century II"
http://shop.mu-mo.net/mitem/RZCM-45975?jsiteid=CMMl

<東北ユースオーケストラ情報>

僕が代表を務めている、東北ユースオーケストラというのがありまして。震災のあと、3年間にわたって、〈こどもの音楽再生基金 School Music Revival〉っていうのをやっていたんですけども、そこから発生したプロジェクトなんですね。岩手県、宮城県、福島県に住んでいて、当時、小学生・中学生・高校生・大学生だったら、誰でも入れるよ、という。そういう楽団なんですね。現在ね、100名以上の応募があって、規模が大きくなっちゃってるんですけど。月1回、合同練習をしているんですけども、毎回ね、なんと東京フィルハーモニーの交響楽団……プロのメンバーが4名が来て、指導してくださったりとかですね。応募して集まったばっかりのメンバーが、この8月17日に、夏合宿……初めての合宿を行いました。その時は、僕は行けなかったのですが、この壮大なプロジェクトを取りまとめているのが、事務局の田中宏和さんです。(今回は田中さんのレポートをオンエアしました)

■Tohoku Youth Orchestra: 一般社団法人 東北ユースオーケストラ

http://tohoku-youth-orchestra.org

<デモテープ・オーディション総評>

「今回も(このコーナーをナビゲートしてくれた)U-zhaan、長嶋りかこさん、ありがとう。ほんとにね、病気の療養中もね、ほんとに楽しみに(笑) これを待っていたというか。えっとね、U-zhaanが言った通り、今回はとても力作というかね、クオリティの高い作品が多かったですよね、いつも以上に。で、僕も「金木犀のあなた / 鈴木伸明」ものすごく変わってるな……狙ってるのかな、このところ変わったね、歌モノ……まあ長嶋さんが歌モノ好で、そういう投稿が来てますけども、これ狙ったのかな(笑)という。でも狙ってもね、こんなに変わった曲なかなか作れない……んで、面白いですね。あと全体に曲調がやさしい感じで、世の中がハードな時代になってるんで、やさしいものが逆に増えてるのかなっていうのと、歌モノがとても多い。プラスほんとに驚いたのは、アオバグミと銀河スープの……歌モノですけど、特に銀河スープは、まめに投稿してもらっていて、はっぴいえんど的なバンドサウンドだったのが路線変更ですかね。驚きましたね、これもう70年代初頭のかぐや姫な感じですよ。で、アオバグミの方は「若者たち」……な感じですよね。期せずして、こういのが世の中的にきてるのかなって思ったら、全然きてないそうですね。ここだけ(笑) 不思議な。ものすごい新鮮ですねえ。歌モノが面白い……でした。」

オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。

<『録音芸術』 "千のナイフ" 録音音源の聞き比べ>

サウンド&レコーディング・マガジン編集人の國崎晋さんと、早稲田大学(文学学術院)教授で、音楽・文芸批評家の小沼純一さんの対談もオンエアしました。テーマは『録音芸術』。教授の楽曲「千のナイフ」ピアノ・バージョンを、アルバム『/05』と、2011年1月9日@ソウルで行われたLIVE音源で聞き比べました。



■『おかえり教授!Tシャツ』を2名さまにプレゼント!

RADIO SAKAMOTOからのプレゼントです。
今回は、坂本龍一復帰記念グッズ『おかえり教授!Tシャツ』を2名さまにプレゼント。

http://www.commmons.com/commmonsmag/special/archive/rs2015.html

番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください(教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます)。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。