RADIO SAKAMOTO

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ARCHIVE:090510


<ピアノツアー振返り>

今回のRADIO SAKAMOTOは、ツアーの居残り (!?) 東京の J-WAVEのスタジオからお届けしました。まずは教授のピアノ・ソロ・ツアーをふり返ります。4年ぶりのツアーということで、最初はお相撲さんの巡業気分で演っていったのだとか━━━

「ツアー前はね、ほんとに終われるのか。24公演あることだけを考えてて気が遠くなりそうだったんでけど、終わりましたね。時間とは残酷だなと、確実に過ぎていくなと (笑) 。もうね、最初の頃、どういう心境でステージに臨んでいたかという自分の気持ちも忘れてしまっているんですね。何だろうな・・・いろんな改善点とかね、そういうのをひとつひとつやっていくうちに、もう過去の自分が分からなくなっちゃうくらい、自分の中でのバージョンアップしていったと言うのかな。もちろん、弾き方もあるし、アレンジも毎日変えていったし・・・リチューンをね。24公演ありましたからね、だんだん良くなっていきますよねぇ (笑) 。なので最初の方は、別ものとして僕がよしとしてしまいますが、もしかしたら最初の初々しい感じがいいのかもしれないです。実はニューヨークに帰って、じっくり客観的な厳しい耳で聴いて、"自己ベスト" っていうのを作ってみようと思います。リスナーの皆さんにも選んでもらう企画もやろうと思っています」

今回のツアーには番組スタッフが同行、 各会場でのインタビューを行ないました。


■ 09/03/18 (WED) 18:15 - 東京国際フォーラム -

「今回のツアーは演ってみないとわかんないっすね。ま、ピアノ2台でひとりで、っていうのは4年前と同じなんですが、自分の気持ちとか、社会とか、世界の雰囲気・・・も違ってきているので、音はだいぶ違いますね。僕個人のことを言うと『out of noise』を作ったというのがやっぱりすごく大きいから、むかしの曲を演っても、『out of noise』っぽい、響きを重視した・・・ラストエンペラーとか、響き重視の戦メリとかになりますね (笑) 。一晩にだいたい20曲くらい弾く見当なんです。iTunesの配信もあるしね。弾く候補が50曲くらいあるんで (最終的には70曲以上に!) その日によって、その場の流れで決めようと思ってるんで、いつも定番で弾く曲も出てこない可能性もあって。だけどそれだと照明とか映像の人はね、次に何がくるのか分からないので、かわいそうなんですけどね、ほんとはね。」


■ 09/04/11 (SAT) 17:04 - まつもと市民芸術館 -

「ツアーは残り1/3を残すところで、松本です。いろいろありますねー。完璧なものってできないですね、それがライブなのかもしれないけど。いろいろな要因で、自分の調子もあるんだけど。あそうそう、ピアノの鍵盤のすぐそばにあるフタをね、取ってみたんですよ。3回くらい前から (笑) 。随分と音が変わって、音の存在感は増してますけどね。知り合いの音楽評論家と話してて、"完璧な演奏はできないのに飽きちゃう" と、毎晩のように演ってればね。"ですよね、結局はそれとの戦いじゃないですか?" と言ってたんだけど・・・まぁ、そうなんだろうねぇ (笑) 。」


■ 09/04/29 (WED) 15:55 - 昭和女子大学 人見記念講堂 -

「うーん・・・とうとうここまで。長かったかなぁ。なんかその、弾く時のさ、気持ちの入り方とか気持ちの状態?・・・どんどん変わっていくんですよ、もっと安定して集中できる状態を求めていくうちにね。今はもう、浅田真央ちゃんの心境ですよ ━━ "ノーミスで!今日はノーミスでやりました〜!" みたいな (笑) 。あれ、ニュースでひとごとだと思って観てるときは、何だよノーミスって、なんて思うんだけど (笑) 、演りだすとアスリートと同じね。昨日とか、ほぼノーミスで演れたんだけど、なかなかノーミス出せなくて。"ノーミス出せる" っていうアスリートな言い方んなっちゃってますけど (笑) 。普段は自分のこと、作曲家っていうか音楽作る人だと思ってるから、このツアーは演奏家になってしまいましたね。」

お相撲さんから浅田真央ちゃんへ (笑) 。
自分の心境の変化を聞きながら笑みを浮かべる教授。
24公演、ほんとうにお疲れさまでした!


■ 全公演をiTunes Storeで配信中!

坂本龍一 ピアノ・ソロ・ツアー "Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009" その全公演のライブ音源がiTunes Storeで配信中です。全公演の同じ曲だけを聞き比べるもよし、会場の音像の違いを比べるもよし、あなただけのベスト盤を作るもよし、さまざまな可能性を持った試みです。


<ゲスト・コーナー … mi-gu>

CORNELIUS、salyu、Polaris、くるり、杏子、スガシカオ等を始めとした多くのアーティストのレコーディング・セッションやライブに参加しているドラマー、あらきゆうこさんのソロ・プロジェクト "mi-gu" 。5月6日にサード・アルバム『pulling from above』をリリース。ちなみに教授とあらきさんの関係は、ニューヨークで、食事の後に日本のドラマをいっしょに観る "ドラマ仲間" なのだそう (笑) 。今回は、ベーシストであり、エンジニアでありプロデューサーであり、夫でもある、清水ひろたかさんもスタジオに来てくださいました。

「どうしてドラムを始めたんですか」
「幼稚園の頃からエレクトーンを演ってたんですよ」
「なるほど〜」
「吹奏楽ではトロンボーンやってたんですけど」
「これですか (演奏するポーズ) 」
「はいそうです (笑) 」
「吹奏楽で試しにドラムを叩かせてもらったら、エレクトーンって神経分離してるじゃないですか」
「なるほど〜」
「けっこうスムーズにエイトビートが叩けて」
「CORNELIUSとはどれくらいやってるんですか」
「ちょうど10年くらいです」
「あれだけのガチガチのキツいものを叩いてたら、相当いい訓練になってますよね」
「最近はだいぶ、クリックとのお友達感がありますね」
「あんなにピッタリくるのは、日本では幸宏とあらきさんぐらいじゃないかな」
「嬉しい (笑) その言葉、サンプリングしたいです!」

■あらきゆうこさんのオフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/araki/

■mi-gu『pulling from above』

アルバム発売中。


<ゲスト・コーナー … ASA-CHANG&巡礼>

パーカッション兼バンド・マスターとして活動していた絶頂期の東京スカパラダイスオーケストラを1993年に脱退したASA-CHANGは、フリーのパーカショニストとして活躍しながら "ASA-CHANG&巡礼" を結成。2001年のセカンド・アルバム『花』に収録された「花」は、RADIO SAKAMOTOでも何度もオンエアしました。今年6月17日、レーベルをCommmonsに移し、ニュー・アルバム『影の無い人』をリリース予定。今回の番組でもオンエアした表題曲「影の無い人」では、教授に加え、脚本家や俳優として活動する宮藤官九郎さん、モデルの太田莉菜さんの声が "カットアップ" されています。

「"花" は、RADIO SAKAMOTO クラシックスですよ」
「ありがとうございます!」
「あのカットアップの手法っていうのは、どうやって?」
「何かを元にした訳でもないんですけどね」
「うんうんうんうん」
「ま、打楽器をすごく耳にしてるから・・・」
「パーカッシヴなアイデアから来てるんですかね」
「あと、日本語の流れていかない感じというか」
「そうですね、子音母音でひとつのユニットになってるから」
「そうですね」
「長唄とか浄瑠璃とか聞いてても、タタタタッていう。日本語の特徴ですからね」
「そうですね、日本語とハングルも」
「ハングルもそうですね。好きですか?」
「言葉として近いものを感じますよね、意味はわからないけど」
「ですよね」
「近くて、理解できそうなニアミスな感じ、あれがとても気持ちよくて」
「街自体もすごく似てるじゃないですか」
「はいはいはい」
「東京とソウルとか。ただ、ことばだけが違う」
「ええ」
「なんかバーチャルなSFの空間にいるような・・・」
「ちょっと軽くエラー起こすような感じありますけどね (笑) 」
「脳がちょっとエラーを起こしそうなね (笑) 」

■ASA-CHANG&巡礼『影の無いヒト』

アルバム6月17日リリース。

Yellow Magic Orchestra をはじめ今日のゲスト、mi-gu、ASA-CHANG&巡礼、そして、ムーンライダーズ、スチャダラパー 、Chara、LOVE PSYCHEDELICO、相対性理論などが出演する夏の野外イベント。

■J-WAVE 主催 "WORLD HAPPINESS"

日時 : 2009年8月9日(日曜日)、午後1時開演。
会場 : 東京・夢の島公園陸上競技場
チケットほか、詳細はWORLD HAPPINESSのオフィシャルサイトで。
http://www.world-happiness.com/


<オーディション総評>

前回のオンエアではオーディション・コーナーが発表できませんでしたので、今回は2回分をまとめてご紹介しました。各作品は、後ほど配信します番組ポッドキャストでじっくり聴いていただきたいと思いますが、最近の応募作品の傾向は、ギターなどひとつの楽器を、演奏するだけじゃなく叩いたりノイズを出したり、して作った音素材で構成されたものが多いかもしれません。簾内ケ蟲さんの作品「ペットボトルのための音楽」は、大小2本のペットボトルの音だけで作られた作品で、教授もお気に入りでした。

オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。

※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに!

RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。

■「にほんのうたコンサート」に、5組10名様をご招待!

今回は、今の音楽シーンをリードするアーティストが世代を超えて愛されてきた童謡と唱歌を、新たな解釈によって未来を担う子供たちに伝え残していくプロジェクト "にほんのうた" の第二回目となる「にほんのうたコンサート」に、5組10名様をご招待します。

出演は、bird、吉田美奈子、寄明人+真城めぐみ+木暮晋也

日時:5月16日 (土) 午後 4:30 開演
会場:玉川高島屋ショッピングセンター アレーナホール
ご希望の方は、コチラからメッセージを添えて、ご応募ください。 当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。





"清志郎くんを悼む気持ちでかけたいと思います"

「ちょっと前に、ほんとびっくりの、うーん…知らせが届きまして。ほとんど同じ学年じゃないのかな。実は、今回のツアー前に日本に来たときに、前からお見舞いに行こうと思ってたのがあったんでね。そしたら "復活してレコーディングやってる" って聞いて、それなら良かったと思ってたんだけど、そしたらこの知らせなので。まいったなぁ…ほんとに。きっとまぁ、天国で "明るく" 飛び回ってることでしょう。二人で作ったシングルのB面…思わず笑ってしまうという、泣き笑いですね」