「坂本龍一です。皆さん、お元気でしたか。もう、お正月気分は……抜けちゃったかな。2017年になってもう1週間経ちましたけど、今年最初のレディオ・サカモトは、この六本木J-WAVEスタジオからお届けします。今回はもう恒例ですけどもね、『新春放談』です。一組目は、エコロジーオンライン上岡 裕さん。昨年のね、後半からこの番組でエコレポートというコーナーを担当してくれていますけども、今夜は、まぁもう少しね、ざっくばらんにいろんな、お互いが感じている問題点を話してみようかな、と思います。その次はですね、一気に5組のゲスト、ASA-CHANG、コーネリアスこと小山田圭吾くん、蓮沼執太くん、そしてこの番組の準レギュラーのお二人……U-zhaanと長嶋りかこさんをお呼びして、まぁ、特に決まったテーマもなく、新春放談ということで、感じとしては、僕の家に皆に来てもらって、正月気分でお屠蘇でも飲みながら、適当にまったり話すと、そういう気分でやりたいと思います。」
<2017年 新春放談>
U-zhaan「U-zhaanです。」
坂本「はっはっはっはっは(爆笑)」
U-zhaan「ふふふっ(笑) なんで笑……坂本龍一さんがお届けしているレディオ・サカモト。ここからは新春放談のコーナーになります。5組のゲストを一気にスタジオにお招きして、みんなで話をしようかと。話ながら、音楽でも聴こうかという企画です。えー、坂本龍一さんのほかに、こんな方たちがいらっしゃってます。」
小山田「あ、小山田圭吾ですー。」
ASA-CHANG「えー、ASA-CHANGと申します。」
蓮沼「蓮沼執太です。」
長嶋「長嶋りかこです。」
U-zhaan「そして僕はU-zhaanです。えー、この6人で……」
ASA-CHANG「ちょっと待って、みんな滑舌悪いなー。」
U-zhaan「(笑) いや、十分ですよ。」
ASA-CHANG「ラジオだから。もう一回……」
坂本「一番悪いよ、俺(笑)……あ、坂本龍一です。」
U-zhaan「ASA-CHANGと長嶋さんは初対面?」
長嶋「え(笑)、初対面です、もちろん。」
U-zhaan「健康音楽って、去年の4月にやったフェス(commmons10 健康音楽)にASA-CHANGも出てて、ASA-CHANG、ラジオ体操の音頭を取ってたりしたのを……」
長嶋「あ、そうなんですね。」
ASA-CHANG「うん。教授のピアノと共にラジオ体操の読み上げっていうのをね、やらしていただいたりとか。普段は、その読み上げでなくて音楽を作ったりとか。」
長嶋「うっふっふ(笑)」
坂本「読み上げをやってる人。」
ASA-CHANG「読み上げの率は多いかもしんないですけど。」
坂本「はっはっは(笑)」
ASA-CHANG「U-zhaanといっしょにバンドやってた。」
U-zhaan「かつて、ASA-CHANG&巡礼というユニットに所属させていただいて。」
坂本「U-zhaanが "巡礼" だったの?」
U-zhaan「僕……ともう一人いたんで、でも「巡礼さんですか?」って言われることありましたね。」
坂本「でしょ。」
U-zhaan「巡礼どころか「ジュンペイさんですか?」って言われたことある。」
坂本「ASA-CHANG&ジュンペイ(笑)」
ASA-CHANG「CHAGE and なんだっけっていうときもありました。」
坂本「どこにも共通点ないじゃない(笑)」
U-zhaan「でも字面がややこしいんですよね。ASUKAの中に、ASとAが入って……」
ASA-CHANG「CHANGもね……ひとりチャゲアス(笑)」
U-zhaan「えーと、ASA-CHANGは、ASA-CHANG&巡礼というユニットで……」
ASA-CHANG「はい。あなたね、杓子定規そんな……ずっといたじゃんいっしょに。」
U-zhaan「え、まあ(笑) ……そうですよね。」
坂本「他人行儀じゃん(笑)」
ASA-CHANG「(この番組の)MCやってたって他人行儀になんなくっていいんだよ。「ASA-CHANGはあれですよね、去年はフジロックに7年ぶり」とかいう、そんなスイッチは要らないんじゃないの。滑舌だけでしょ、そんなの。」
坂本「怒ってる(笑)、スイッチ入っちゃってる。」
U-zhaan「7年ぶりにアルバム出したんだよね、おめでと!(笑)」
ASA-CHANG「ありがとう、うん。あなたがいなくなってから7年かかったんだよ、作るの(笑)」
坂本「傷は癒えたらしいよ、もう。いいアルバムなんだよ、聴いた?」
ASA-CHANG「傷ね、傷は開きっぱなし。」
U-zhaan「聴きました、もちろん。」
坂本「傷ひらいてるって、まだ。ふふっ(笑)」
ASA-CHANG「開きっぱなし(笑)。湯沢さんの脱退したときにやりましたね、(新メンバーの)公開オーディション。」
U-zhaan「あー、今度、オーディションするときは、僕も行ってみたい(笑)……入れてくれるかな。」
坂本「傷が広がるから(笑)。」
ASA-CHANG「ノーコメントでいいですかぁ(笑)」
坂本「あのさ、ASA-CHANG&巡礼のさ、僕がもうほんとに関心した曲……「エンディング」」
ASA-CHANG「ありがとうございます。『合葬』という映画の。褒めていたいてるのは、教授ぐらいなもので(笑)」
坂本「そう?驚愕したよ、おれは。」
小山田「(曲を聴きながら)声、ASA-CHANG?」
ASA-CHANG「うん。」
坂本「これさあ、ジャンルからいったらね、もちろんジャズでもないし、ポップス……なのか何なのか、民謡ではないし。でもポップスでしか、今の時代に出てこない……歌だなと思うんですよ。ポップスであればこそ、こういうものが可能だっていう、逆にね。」
ASA-CHANG「あー、はい。そうですね。」
U-zhaan「教授が選んだ、日本歌謡曲史のCDのいちばん最後にこの曲入ってましたもんね。だからもう歌謡曲とみなしてるんですね、これを。」
坂本「そうなの。」
(坂本龍一による "音楽の学校"『commmons: schola』。シリーズ第16巻のテーマは、『日本の歌謡曲・ポップス/Japanese Pop Music』。)
ASA-CHANG「あのでも、SUGAR BABEからのその何年間かこう……教授は敢えてチョイスしてないですよね。」
坂本「ね、ちょっとあいてるよね、そこね。」
ASA-CHANG「かなりあいてる(笑)。そこがすごいなと思ったんです。本人に聴きたかったと思ったんですけど、ご本人に。」
坂本「ああ、その話?」
ASA-CHANG「いいですその話(即答)、後で。」
一同「(笑)」
今回はゲストの皆さんに、新年に聴きたい音楽を選曲していただいています。
まずはASA-CHANG。
- 「告白(Cornelius ver.)」ASA-CHANG&巡礼
ASA-CHANG「手前味噌なんですけど、自分で作った曲なんですけど、小山田圭吾さんに……コーネリアスにトラックを作ってもらったものがありまして「告白(Cornelius ver.)」です。小山田くんにトラックを作っていただいて、なんかこう……もうひとつのカタルシスが出てきて。うん、泣きました、初めて聴いたときにもう、嬉しくて。」
坂本「U-zhaanは、去年はほとんどLIVE活動はしなかったんだよね。」
U-zhaan「それ超読んでますね、台本。棒読みでしたね(笑) ……LIVEしてなかったですね。」
坂本「恋愛してた?」
U-zhaan「恋愛……恋愛じゃなかったんですけど、1月から3月と、あと5月から11月まで休んでて、LIVEは全部やってなかったです。」
坂本「インド行ってたの?」
U-zhaan「いや、日本に居たんですけど、タブラの練習をしようかなと思って。」
ASA-CHANG「なにその……プロなのに。あるまじき……」
U-zhaan「プロにあるまじき行為(笑)。いや、アマチュアイズムが……練習したいなと思って。なんか、もっと自由に演奏できたらいいのになってずっと思ってる……のがなんか飽きたんで、ちょっと頑張って練習しようかなと思って。練習してました、去年は。」
坂本「ふうーん。上手くなった?」
U-zhaan「や、なかなかなんないですね、もう。やっぱり年齢的なものもあるんでしょうけど、微々たる事しか上手くなんないけど。」
長嶋「そうなんだ。何が変わったんですか。」
坂本「なんかあった?得たもの。」
U-zhaan「なんとなく気付きはありますけど、まだ……核心には行けてないって感じですね。」
坂本「気付き……深いね、タブラ道になっちゃった。」
ASA-CHANG「タブラ道みたいな。僕さ、そういう楽器道みたいなの、極められる素養みたいなの全くないかもしんなくてさー。だから、すごいなあと思って。10年ぐらい一緒にいたけどさ、偉いなあと思って。」
U-zhaan「ASA-CHANGも頑張ってたよ、俺ん家に合宿したりして。」
ASA-CHANG「頑張るってやじゃん、なんか疲れる……よくやるなあと思う。」
坂本「どうなの、ドラム道は?」
ASA-CHANG「ねぇ、なんか極……なんか辛い。」
一同「(笑)」
ASA-CHANG「そういう道が……そういう道が辛い。だって、なんかもうちょっとこう適、道具感覚になりたくてさあ、楽器をさあ。何とかなんないかなあと思って。」
坂本「すぐ道にしたがるじゃない。やだよね、あれね。」
ASA-CHANG「ねえ、U-zhaanとかも。」
U-zhaan「(笑)」
ASA-CHANG「ハマりそうな、ハマってよさげな楽器だからいいよ、あなた。」
U-zhaan「なんかね、別に、道にしたいわけじゃなくて、楽しいから練習してるだけなんだけど、ね。」
坂本「いま "道" って言ったのは僕だけどね。」
ASA-CHANG「僕も道を感じるんですよ、頑なな。湯沢くん。」
U-zhaan「でもゲームやってる感覚と同じですよ。タブラやってるって、ほんとに。楽しいから。」
ASA-CHANG「ちょっと攻略癖あるよね、そうやって。」
坂本「あ、攻略癖あるかもね。漢字とかすごく知ってそうだよね。」
U-zhaan「どんなイメージなんだろ(笑)。」
坂本「そういうイメージ(笑)。薔薇とか書けるんじゃない?」
U-zhaan「薔薇、書けますね。」
坂本「ほらー(笑)、醤油は?」
U-zhaan「醤油……は書けないですね、醤の方が書けないですね……」
ASA-CHANG「葡萄とかも書けんでしょ、葡萄。」
U-zhaan「葡萄……なんで漢字マスターみたいになってるんですか(笑)」
一同「(笑)」
坂本「年末は、蓮沼くんとアルバムを作っていたという、2月に発売?教授も参加?(棒読み)」
一同「(笑)」
U-zhaan「それをきちんと噛み砕いていくのが仕事ですよ、多分(笑)。」
坂本「……って書いてあるんで、そうですよね。えーっと……僕は蓮沼くんのインスタをフォローしているので、僕はもう日々、上がってるレコーディングのようすを見てましたけど、終わったんだよね?」
U-zhaan「レコーディング作業は終わりましたね。」
蓮沼「今は、お家で作業しています。」
U-zhaan「最後の詰めみたいな感じで。出来上がって皆に聴いてもらうのが楽しみですけど。」
坂本「聴いたけど、いいよ。いい感じ。」
ASA-CHANG「やっぱあれ……(前作同様に)スパイスとか付けるの?ビジュアルに。」
U-zhaan「ビジュアルは長嶋りかこが担当しています。」
坂本「じゃあ、カレーの匂いはしないの?」
長嶋「カレーはしないですね、ちょっと。U-zhaanから「普通のCDにすると、俺のファンから置きに行ったと思われるから普通にしないで」って言われて。ふっふ(笑)」
U-zhaan「そんな(笑)、そんな感じ悪い言い方してた俺?びっくりしちゃった。」
坂本「これは、蓮沼くんとU-zhaanのバンド名があるの?」
蓮沼「ないです。」
U-zhaan「まあ、バンド名がないんで、蓮沼執太&U-zhaanていうので出そうかなと。」
坂本「普通だねぇー。」
U-zhaan「とうとう、ASA-CHANG&巡礼に近づいた感じの名前。」
坂本「近づいてないと思うんだけど(笑)。」
ASA-CHANG「黙って聴いてたけどさ、なんでゲストで呼んでくんないの。」
U-zhaan「じゃあ、黙って聴いててくださいよ、そのまま(笑)。」
ASA-CHANG「すいません、分かりました、はい。」
坂本「あ!ほら、どんどん傷が広がっていく(笑)。」
ASA-CHANG「ペシッてやられたの分かります?ペシッて音、聴こえました?頭。ねぇ、聴こえましたよね、皆さん。」
一同「(笑)」
U-zhaan「もともとレディオ・サカモトに蓮沼がゲストで来て、教授が休んでるときに。で、二人で話すだけじゃあれだからセッションでもしようかって言って、レディオ・サカモト用にセッションをしたのがキッカケなんです。」
坂本「あ、あれが。じゃあ、あれも入る?」
U-zhaan「あれも入ります、編集し直したもの。「Radio S」ってタイトルで。」
坂本「ふふっ(笑)、分かりやすい。」
U-zhaanが今回選曲した楽曲はこちら。
U-zhaan「僕がシャソールってアーティストなんですけど、フィールドレコーディングしたものとかに音階を付けてく、みたいな。フランス人だっけ。」
小山田「この人、動画がおもしろいよ、ね。YouTubeにあるよ、たくさん。」
U-zhaan「動画みたことない。」
蓮沼「なんか、LIVEでやってるの。おもしろいよ。」
小山田「多分、フィールドレコーディング、映像といっしょに収録してたりするんだよね。その映像を使って、ミュージックビデオ作って。」
蓮沼「そうそうそう。それでLIVEすんの。こないだ来てたよ。」
U-zhaan「ぜんぜん俺よりふたりの方が詳しいね(笑)。」
一同「(笑)」
U-zhaan「俺が紹介した気持ちがゼロになってきちゃったんだけど。」
U-zhaan「ここからは、小山田圭吾さんのお話をしていきたいと思っています。去年、頭ぐらいに大野さんと、ASA-CHANGと小山田圭吾と僕の4人で、教授の「テクノポリス」をカバーしたことありますよ。LIVEで。」
坂本「本当?」
U-zhaan「全然1回目上手くいかなくて、もう1回やり直したっていう(笑)。」
坂本「それ聴けないの?」
U-zhaan「それ、ないですよねえ。音源とか録ってます?」
小山田「分かんないなあ、1回本番だったんだよね。」
ASA-CHANG「覚えてる。1回さ、全然ダメダメでさ、ちょっともう1回やろうって言って、2回やってなかったっけ?」
U-zhaan「ASA-CHANGがやり直そうって言って。」
小山田「二回目も大してよくなかった。」
ASA-CHANG「全然っ……本当にもう、グズグズ過ぎて。」
坂本「それ客前でしょ?」
ASA-CHANG「客前で。」
U-zhaan「あれでも、絶対悪いの小山田さんなんですけどね。」
小山田「あれ、僕のせい……。」
U-zhaan「小山田さんがメロディを吹かなきゃいけないところで、絶対カズー吹かないとダメなところで、吹かないから、ただの伴奏の人たちみたいになっちゃって。メロディが何にもないテクノポリスになっちゃって。」
坂本「カラオケになっちゃったんだ。」
ASA-CHANG「ちょっと、皆さんいい加減にしてくださいよ!って僕、怒っちゃって。」
坂本「でも、途中でやり直しちゃったの、こないだのボブ・ディランのパティ・スミス観た?ノーベル賞の。途中で歌えなくなっちゃって、感極まったのか。本人は「緊張しちゃって」って言ってて。「もう1度、今のサビからやり直して」って、やり直したんですよ。でも、逆に盛り上がったというか、その場にいた人たちはみんな感動してたけど。」
U-zhaan「僕らのやつは、感動を与えるやつじゃなかったですよ。失笑はあったよね。」
坂本「今度「ライディーン」をやってみれば?」
U-zhaan「ああ、「ライディーン」やってみます?」
ASA-CHANG「またカズーで。」
小山田「テクノポリスでも、哀愁感出ちゃうんだよね。アレがいい感じだよね。アレ好き。」
坂本「昭和歌謡的なところがあるからね。」
小山田「哀愁のテクノポリスいいよね。」
U-zhaan「なんか夕焼けになるんだよね。」
坂本「じゃ、ちょっと、哀愁のテクノポリスっていうコンセプトでトラック作ろうか(笑)。」
U-zhaan「いいですね!セルフカバーで哀愁がずっと漂ってるヤツとか聴いてみたいですね、教授の。」
坂本「ちょっとクサそうかもしれない。」
U-zhaan「全然否定されちゃった。」
U-zhaan「小山田さんは、あれですよね。コーネリアスの新作を。」
坂本「もう2年越し?」
小山田「いや、2年後しどころか、10年くらいやってるんですけど。メタも落ち着いたんで、ちょっとまとめに入ってて、そろそろ出来る感じです。」
坂本「何トラックくらいあるの?」
小山田「10曲くらいですかね。」
坂本「おお!じゃあ、今年出るかな?」
小山田「出るといいなって言う(笑)。絶対、今年出ると思います。
坂本「楽しみ〜。いつでるかいつでるか、ずっと待ってたもんね。」
坂本「METAFIVEは一段落?」
小山田「METAFIVEはとりあえず、一段落で。でもまたやると思うんですけど。」
坂本「METAFIVE楽しい?」
小山田「楽しいですね。」
坂本「YMOとどっちが楽しい?こっそり!こっそり聞かせて!」
小山田「いや、楽しさが別かな。」
坂本「あー、うまいうまい(笑)」
小山田「同級生が多いんで。」
坂本「あーそうだね。YMOは、おっさん達の中だもんね。」
小山田「YMOはやっぱり先輩・・・それはそれで凄い楽しいですけど。」
坂本「でも、実際は、今、YMOのリーダーですからね。」
U-zhaan「あ、小山田さんが?(笑)」
坂本「次世代YMOを任してあるから!」
U-zhaan「次世代YMOを任されてるんですね、小山田さん。」
ASA-CHANG「もう裏番組とか裏リーダーとかではないね、公式リーダーなんだね。」
坂本「もう、そういうことになってるから。これから、どうするかも小山田くん次第で……。」
小山田「おも。」
坂本「重いよね〜(笑)」
U-zhaan「じゃ、小山田さんが「YMOやりましょう」って言ったら、皆やってくれるんですかね。」
坂本「なんか、小山田くんがとあるインタビューで「歌が上手かったら、R&Bをやっていたかも」と言ってるみたいなんですけど。」
小山田「歌が上手かったら、思う存分歌ってみたいなって思いますけどね。」
U-zhaan「どのへんのR&Bなんですか?」
小山田「いや、なんかこう……歌い上げる歌とかやってみたいな、と。」
坂本「誰が好きなの?マーヴィン・ゲイとか?」
小山田「マーヴィン・ゲイ大好きですよ。」
坂本「やっぱしね。僕も大好きなんですよ。じゃあやっぱり、JBとかも好き?」
小山田「大好きですよ。身体能力がないとか、いろいろな理由で今の音楽になってるなぁって。逆に言えばね。」
坂本「結構なんか、自分を見つめてる感がありますね、発言に。」
ASA-CHANG「R&Bやろうよ、YMOで!YMOでR&B調の……違うね、違うよね!」
一同「(笑)」
坂本「でもね、実はYMOをやり始める時に、裏テーマとしては「ディスコバンド」としてやろうよ、っていうのはあったんですよ。やっぱりね、細野さんのチャック・レイニーベースは日本一じゃないですか。」
ASA-CHANG「そうですね……全部入ってたなぁ、て思いました、今。」
坂本「小山田くんが持ってきてくれた曲を聴きましょうか。」
小山田「「夏の妹」っていうやつ、出してもらえますか。」
坂本「大島渚!? えぇ!」
小山田「サントラです。」
坂本「ええ、これ、オリジナルのサントラ?なんかサウンドが新しいよね。」
小山田「そうですね。変わってるんですけど。」
坂本「これどういう録音してるんだろうな。でも同時だよねこれ、絶対。」
小山田「このハイハットが異常なんですよね。」
坂本「分離が異様にいいよね。これは面白い録音だなあ。……なんかミュージシャンの会話になっちゃってるね。」
長嶋「ずっとぽかーんとしちゃいました。」
一同「(笑)」
U-zhaan「長嶋さんは、ちょっと自己紹介してもらってもいいですか。」
長嶋「(笑) はい、グラフィック(・デザイナー)をやっています。いまはU-zhaanと蓮沼くんのCDジャケットをやらせていただいてます。以前は、YMOのNO NUKESのCDジャケットだったり。」
坂本「3年前の札幌国際芸術祭のアートディクションをやってもらったりとかね。」
U-zhaan「長嶋さんのアート……というのの原体験は、クリストのアンブレラ・プロジェクトだということですが、これ執太とこないだ(水戸芸術館現代美術ギャラリーの企画展「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国 1984-91」を)観たよね。」
長嶋「私、小学生のときに、あれを近所でやってて、よくあの下でご飯食べたりとかして。」
U-zhaan「あそうなんだ、ほんとに立ってたんだ、あれが。」
長嶋「最初は全然なんだかわかんなくて。」
坂本「クリストさんは、ものを包むので有名で、建築とか橋とか。」
ASA-CHANG「村ごと包んだりとかね。」
U-zhaan「そういうクリストがやってた、傘をいっぱい立てていくっていうプロジェクトを、茨城……長嶋さんの出身地でやってることによって、アートに興味を持ったということですか?」
長嶋「いや、そんときは全然、もちろん持ってないですけどね。なんかこう、でかい異物が自然の中にあってちょっとやだな、ぐらいの。最初わかんないんで、そぐわないものがここにあるなっていうような感覚だったんですけど、年を逐うごとに、そのプロジェクトがどういう思想でやられてたってのが、だんだんわかってきて。そうするとこう響き方が変わってくるじゃないですか。」
坂本「残っちゃってるんだねえ。」
長嶋「だからブルーの傘のが何だったのかが、すごい時間をかけて自分の中に入ってくる感じっていうのは、そのスピード感がおもしろいなと思って。大人になってから、やっとこう響いてきたみたいな。」
坂本「いいですね、それはね。そういうのがあるってのはいいね。」
長嶋「ううん。」
坂本「……ある?U-zhaan。」
U-zhaan「全然ないすね。」
坂本「ないの?あるでしょ何か。」
ASA-CHANG「あるでしょ。」
U-zhaan「あるかな……」
ASA-CHANG「あるよ!」
坂本「あるよって、あはは(笑)。」
ASA-CHANG「分かんないけど、あるよ絶対。」
U-zhaan「…………。」
ASA-CHANG「……(笑) お前は俺の何を知ってんだみたいな目、しないでほんとに(笑)。」
U-zhaan「いやいやいや(笑)、そんな被害妄想ですよ。頼ってる目ですよ。強いて言えば、小さい頃に観た、タモリさんがテレビ東京でやってた番組で、タブラを特集してるときがあったんですよ。それがすごい記憶に残ってるっていうのがありますよね。」
坂本「すごいなあ。クリストとは随分違うけどね。」
U-zhaan「そうですね。そこでクイズの答えが、"打面にベビーパウダーを付けて叩く" っていう回答だったんですよね。それがすごい覚えてるのが、ちょっと繋がってるのかなっていう。」
坂本「そのタブラを叩いてたのは誰なんだろう?」
U-zhaan・ASA-CHANG「若林さん。」
坂本「あっ、若林(忠宏)さん。」
U-zhaan「なんでいま、ハモったんですか、いま(笑)。」
U-zhaan「今日……みんな……ミュージシャンが集まって曲を流すっていうので、自分の選曲を持ってくるの、やだって、ずっと言ってたじゃないですか。」
長嶋「そう……(笑)。今日はえーと、鹿児島の、しょうぶ学園のCDを、LIVE音源を持ってきました。知ってますか。」
坂本「いいじゃないですか。かっこいいよね。」
ASA-CHANG「知ってます!分かったこれ、ミュージシャンをぜんぶ、完敗させようとしてますね。」
坂本「一人勝ち!」
ASA-CHANG「お前ら、これ聴けって思ってますね。長嶋さん。」
一同「(笑)」
ASA-CHANG「でも、ほんとにね、なんか自分たちの即興性とかって、なんだろうなと思っちゃいますよね。」
坂本「考えさせられるね。」
長嶋「知的障がい者の方たちと、スタッフの方たちがいっしょに、いろんなグループホームみたいな所なんですけど、そのスタッフの人たちと、施設利用者の関係性が、協働するって感じなんですよ。全ての事柄が。いっしょにいつも何かをやって、サービスを与えるひとと利用するひとじゃなくて、お互いの得意をそれぞれに協働してプロジェクトをやってる、って感じの施設で。だから、洋服を作るってなっても、ひたすら縫うのが好きなひとがいるから、その人の縫い方の特徴を生かしたデザインにする、とか。ファシリテートもちょっとはするんだけど、そのやり取りがセッションみたいな感じなんだと思うんですけど。」
坂本「で、まあ、ある時からこの音楽をやってみようって、始めたわけじゃない?相当、音楽のこと知ってないと、こういう風には持ってけないんじゃない。」
長嶋「だから、福森館長がすごいんですよ。あとそのご兄弟の方が、確かドラムをされていて。」
坂本「すごい見識だよねえ。」
ASA-CHANG「一音も駄目な音がない。」
坂本「負けた。反省の日々だね、今年は。はい。」
U-zhaan「じゃ、最後に蓮沼執太くんの話題にいきたいですけどね。教授とは、ニューヨークでやっぱり執太に会ったのが一番最初ですか?」
蓮沼「いや、日本ですね。どっかで初めましてって言った気がしますね。」
U-zhaan「ニューヨークでは、仲良くしてたんですか?教授と。」
坂本「してたよね。」
蓮沼「ご飯食べにね、はい。」
U-zhaan「またニューヨーク行くんでしょ?3月から。」
蓮沼「僕は3月から、はい。」
坂本「半年?」
蓮沼「もうちょっといるかもしれないですね。」
U-zhaan「今回は何しに行くの?」
蓮沼「今回は、アルバムとか作りたいなぁって思ってました。」
U-zhaan「向こうで、自分のソロアルバムを作りたい?」
蓮沼「ゆっくり、なんか作りたいなぁと思って。」
坂本「それは、何をしてもいいの?」
蓮沼「何をしてもいいです。アルバムとか作って、展示とかもしたいなぁって思って。」
坂本「どこに住むの、今回は。」
蓮沼「いや〜悩んでるんですよね。ブルックリンか、グリーンポイントかなと思ってますけどね。」
U-zhaan「3月から行って、俺とアルバム出すの2月の最後ぐらいじゃない。」
坂本「全然プロモーションは出来ないね。」
U-zhaan「僕、2月のその時期くらいまで、インドにいるから……。二人まとめて何したらいいんでしょうかね。計画性がない二人に、寂しそうな顔をしてくださってありがとうございます。」
坂本「commmons的にはねえ、いないとね。」
ASA-CHANG「俺がやる、俺が!」
坂本「じゃ、そいうことで(笑)」
U-zhaan・蓮沼「……………。」
ASA-CHANG「ノーコメントですよ!ここでみんな。」
坂本「黙っちゃった。」
U-zhaan「なんかさ、これだけアルバムの話したんだから、1曲くらいかけられるのないの?」
坂本「そうだよ、そうだよ。」
蓮沼「じゃあ、デヴェンドラ・バンハートさんをフィーチャリングした曲で、「A Kind of Love Song」というのをかけようかな。デヴェンドラ・バンハートって知ってます?教授。」
坂本「全然聴いたことない。」
蓮沼「なんすかね、フォークシンガーなんですかね。」
U-zhaan「フリーフォークの人で、アメリカの人ですけどね。」
坂本「知り合いなの?」
蓮沼「直接は知り合いじゃなかったんですけどね。友達が知り合いで。ちょうどレコーディングした日が、エレクションの日で、USの。で、Nonesuchのスタッフと、デヴェンドラも凄いナーバスで。」
坂本「みんなだって、泣いてるよ。」
U-zhaan「もう本当、そんな感じで。終わったらご飯食べ行こうって言ってたんですけど、「もうダメだ、帰るわ……」って言って。」
蓮沼「帰って一人で泣くって言って帰って行ったよね。」
坂本「本当に真剣に泣いてる人多いよ。」
U-zhaan「本当そんな日で、レコーディングが。」
- 「A Kind of Love Song feat. Devendra Banhart」蓮沼執太+U-zhaan
ASA-CHANG「ちょっとごめん。これ、すっごくグッときますね。なんか……」
坂本「いいじゃない、これ。これは何?ファイルで送ってきたの?」
U-zhaan「あの、その、日本に来日してて、彼のアルバムの時に。で、レコーディング代官山で入って。で、デモ作って、その場で歌ってもらうみたいな感じでした。」
坂本「ローマ字で?」
U-zhaan「歌詞は本人が書いてきて、それをこっちで日本語訳して、歌詞を指導しながら歌ってもらう、っていう。」
坂本「日本語にしようって言ったのは、どっちのアイディアだったの?」
U-zhaan「日本語で歌ってもらえたらいいよね、でも、そんなの頼めないよねって執太と話してたら、デヴェンドラから、日本語で歌いたいって言うメールがきて。なんて良い人なんだと思いましたね。」
坂本「以心伝心だったんだね。」
小山田「外人の日本語で歌う歌、すごい好きなんです……僕も前のアルバムで、ノルウェーの人に日本語で歌ってもらって。」
U-zhaan「なんか、返って伝わってきますよね、言葉が。」
坂本「でも普通、テレビとかで海外の人が日本語を喋ってるのって「ワタシハ〜」とかみたいな、そういう感じになるじゃん。全然ないね。凄く自然だね。」
U-zhaan「結構、メロディを日本語に聞こえるように工夫したんですよね、レコーディングの時に。」
坂本「彼が?」
U-zhaan「いや、こっちで。あ、こういう風にすると日本語に聞こえないんだったら、こっちの音に下げてみようとか。」
坂本「ああ。その場でね。ああ、へええ。じゃ、最初にやった時は、「ワタシハ〜」みたいなのもあった?」
U-zhaan「やっぱりそうでしたね。」
坂本「そういう工夫があったんだ、すごく自然だね。」
U-zhaan「執太が持ってきた曲も聴いてみようよ。」
坂本「何を持ってきたの?」
蓮沼「僕ね、2つ持ってきたんですよ。一個が沖縄にある久高島のイザイホーの録音のリマスタリングが出たんですよ。」
坂本「僕も持ってる。この儀式自体が、もう30年ぐらいだっけ、やられてないんですよね。いなくなっちゃって。」
蓮沼「生粋の女性のトップの人が産まれないというか、見合う人がいないから出来ない……沖縄の久高島っていう島があって、本島から南の方なんですけど、船で10分〜15分ぐらいですかね。実際に行ったんですけど。で、そういう儀式があって……」
ASA-CHANG「途絶えた儀式を録音してた人がいたってことだね。」
蓮沼「40年くらい途絶えてしまって。」
坂本「凄く貴重な記録なんですこれは。」
坂本「(曲を聴きながら) ハーモニーつけたくなっちゃうよね。」
蓮沼「そして、これはこのままループなんですよ。この曲はずっと、エーファイエーファイ言ってるんです。」
ASA-CHANG「アイヌの歌唱にも似てる感じがするよね。僕は、蓮沼くんがこういう音源を、選んだのが凄く不思議な感じ。イメージと違ったんだよね。なんで?」
蓮沼「実際に久高島に行った時に、1時間ぐらい滞在したんですけど、ほとんど何もない島だったんですけど。男性が入れるスペースがほとんどないんですよ。」
ASA-CHANG「あ、女の儀式なんだ。」
蓮沼「昔、岡本太郎さんとかが入っちゃって、写真を撮って週刊誌に載っちゃって大変だった、みたいな事もあるくらい、厳しい場所なんですけど。で、これがあるのは知ってたんですよ。音源がなかなかなくて、それを大城真さんのレーベルから出てるんですけど。ちなみにもう1曲持ってきたんですけど、これはポップなんですけど、Jameszooって言うアメリカ人なんですけど。」
蓮沼「(曲を聴きながら) ポップスって言ったら、この音だから。」
坂本「これはポップなの?」
蓮沼「ポップなのかな?けど、これおもしろいですよね。」
坂本「これのベースって誰だっけ?」
蓮沼「Thundercatかな?」
坂本「そうそう。Thundercatって、僕の曲をカバーしてるの。それも、僕のバルセロナオリンピックで書いた曲を、それを彼がカバーして、ベースと一緒に歌ったりしてるの。変わってるよねえ。」
蓮沼「聴きたいっすね。」
坂本「むちゃくちゃ、耳がいいよね。」
蓮沼「それこそ、身体性が凄い高いっていうか。」
坂本「この人たち、みんな高いよねえ。」
ASA-CHANG「これをリアルタイムで演奏する時代なんだってことなんだよね。」
坂本「プログラムしなくても肉体でできちゃうってのが、凄いねえ 。」
ASA-CHANG「でも日本でも結構ね、似たことを普通にやっちゃうやんちゃな若者たくさん出てきたってのがありますよね。」
坂本「そうなの?日本にもいるの?」
ASA-CHANG「いると思います。」
<エコロジーオンライン 上岡裕さん>
そしてもう一組のゲストは、エコロジーオンライン上岡裕さん。昨年から、このレディオ・サカモトでエコレポートというコーナーを担当してくださっていますが、今回は教授との『新春放談』です。
坂本「あの、トランプにvoteした人たちはさ、ヒラリーが……まぁなんていうの、そのいわゆる態勢っていうかエスタブリッシュメントというかウォールストリートの、代弁者みたいなことで批判してた訳よね。それでトランプは、 "そうじゃないんだ、お金なんだ" みたいな幻想で、応援した人が多い訳よねわりと。蓋を開けてみたら、何の事はない、トランプの方がもうどっぷり、あんなど真ん中で閣僚に指名してるのも、みんなそういうね、全ての信用とか石油業界のドンそのものですよね。それと軍の中でも非常に高い、そしてまぁ年末のニュースでもうロシアもアメリカも景気を刷新していくみたいなね、ことなんて、非常によくない事になってしまいましたね。」
上岡「カリフォルニアがね、ブリクジットじゃないけど、じゃ、そのアメリカから独立するかみたいな話とかね、またそのコミュニティっていうか地域単位の、温暖化なんかは地域単位の動きがかなりトランプはあるけど、俺達は負けないみたいな感じで出来てるんでそこら辺はね。」
坂本「州やね。それからあの、大きな都市の市町連合が、その温暖化防止の推進を進めてますけどね。あともちろん、企業の中にもそういう事に芯な企業も増えてきてますけど。ということで改めて、上岡裕さんにお越しいただいて、コーナーを担当していただいて、まぁ自然というか、エコロジー・環境問題中心でわりとゆったりしたというか、話題を教えていただいたんですけど、年頭にあたって、上岡さんと少し話してみたいと思うんですけど。もともとはね、音楽業界にいたんですよね。」
上岡:そうです。ソニーミュージックで、エピックソニーというレーベルで、宣伝の担当をしてたんですけど。」
坂本「ねー。アメリカに留学してたんだっけ。」
上岡「そうですね。あの〜、31までソニーミュージックにいて、その後1年半くらいアメリカに行って。」
坂本「それは何の勉強をしに行ったの?」
上岡「もともと僕が育った栃木県ていうのは、田中正造っていう、明治時代に足尾鉱毒被害を止めようと頑張った政治家の方が……」
坂本「足尾銅山ですね。この名前、もしかしたら、小学生も習うのかな。最近でも。田中って言う人は、もともと議員さんですよね。」
上岡「そうですね。議員であり、栃木でいうと下野新聞って言う新聞を作ったひとであり、という人だったんですけどね。」
坂本:「その村人に同情してというか、惨状を物語にして、天皇陛下がやってくる馬車の前に身を乗り出して、直訴状を手渡すんですよね。」
上岡「手渡そうとしたんだけど、手渡せなかったんだけど、今の天皇陛下が田中正造の展示を見に来てくれて、っていう、もうだから100年という時代を経て、評価されたという人が活動したという地域なんですね。」
坂本「明治天皇のお孫さんである今上天皇が、ご覧になったと。」
上岡「そういう意味では、環境保護をやった大先輩がいて……」
坂本「そういうと、今と同じみたいですね。今起こってることと変わんないような。」
上岡「そうですね。福島の原発事故の時には……」
坂本「企業と国の利益の為に、民が犠牲になるっていうのは……」
上岡「東京新聞なんかには、当時と今の時代が凄く似ていてっていう特集なんかをやったりとかね。」
坂本「まぁ、あの〜、日本以外に目を向けて、そのような事は世界中で起きていてね。経済優先とか企業とか国の利益優先。」
上岡「そうですね。」
坂本「で、その下で犠牲になっていく人が世界中にいる訳ですけど。まぁ、そら環境問題だけじゃなくて、さっき話していたような、その軍事的なことでもね、被害・犠牲になっている訳ですけども。シリアも酷いね、ことになってる。あれも内戦というのも、各国の思惑が錯綜してね、そこにはきっと武器を売る人たちの思惑とかですね、いろんな利害が絡んで。」
上岡「そうですね。僕らでいうと温暖化で、特にシリアは、ここしばらく干ばつが酷くて、そうすると農家で農民が食えないんで、都市に流入して、そうするとこう・・国の中が不安定になり、そこにISみたいなのが入り……」
坂本「まぁ、失業率がね、高くなってね。目的のない若者たちが増えると。なんか努力すればね、明日明後日がよくなっていく器量があるというような、安定した社会ならば、真面目に仕事をしていれば、なんとかなるという展望が持てるんですけど、持てない人たちが色んな国に増えてるということなんですね。あの、フランスでも1年前テロがありましたよね。ベルリンでも、最近ありましたけども。ああいう人たちも、例えばフランス生まれのフランス人なのに、北アフリカ系の移民の娘・息子だというので、フランス社会で就職が飛ばされたりとかですね、真面目に働いていても、その……なんていうんですかね、明らかに白人のフランス人とは年収が違ったりとか、なかなか希望が持てない状況にいる人が多いんですね。そういう人が絶望して、若者が絶望していると。そこにテロリストの勧誘のね、組織がうまいこと言って入ってくる構図。」
上岡「知り合いがセキュリティの事業に関わっていて、ブラックハッカーっていう言われる人たちは、その貧困にある若い人手、パソコンを与えて、どんどんハッキングしろみたいなかたちで、大手企業をハッキングして、成功すると「お前、優秀だな」て言ってリクルートしたりとか。そこの貧困に入り込むという犯罪が実際に起きていますしね。」
坂本「さっきも話題にしていた、今回のアメリカ大統領選で、トランプ勝利の為に、大きく貢献したと言われているのが、偽のニュース・嘘のニュースを、FacebookとかTwitterでどんどん流すと、トランプ信者たちがそれに飛びつくと、そしてあっという間に拡散された。一説によると、アルベニアとかロシアとか、わりと貧しい若者たち、でもコンピュータに詳しい若者たちが、あたかもニュースサイトのようなものを作って、拡散されやすいように嘘を並べて出すと。で、一つ多くなるんで儲かると。これもやはり、一瞬の経済格差になる。彼らなりの苦肉の策なんだけど、記事も読んだんですけど、政治的な意図はなく、儲かりたいからやっているという、とにかくたくさん拡散されれば、それが力になってしまうというね、これはもう、ジャーナリズムの根幹を脅かす自体になっていて、それによって、でも、世界で一番強い国の大統領が決まってしまうというね、ものすごい影響力を持ってるんで、今、トランプ勝利の後の、この時代のことを「ポスト・トゥルースの時代」って、「真実の後」。本当かどうかはどうでもいいんだ、たくさん拡散されたということが力を持ってしまうという。そういう恐ろしい時代なんですよね。」
上岡「まぁ、僕らが関わる温暖化で言うと、温暖化は中国のでっち上げだって言って、さっき坂本さんがおっしゃったように、温暖化会議論者達が政府をこう糧作っていく、石炭産業も含め、そこに規制を緩和していって、CO2を出しても、アメリカ・ファーストですから、そういう国にするんだって話で、だからオバマの時代に比べると、大きくアメリカは変わるっていう、ねえ。」
坂本「で、その……上岡さんがアメリカに行ったのは、何を?」
上岡「さっき言っていた田中正造の話に戻るんですけど、高校くらいまでに、高校の先生とかそういう人たちが既に環境問題について語る、ある種環境教育みたいなものがあり……」
坂本「佐野っていう地域は、やはり強いんですね。」
上岡「音楽業界に入る前に、実はそういうのがあって、音楽業界に入るときも、なるべく重厚長大なところじゃなくて、音楽も好きだったんで、入ろうと思って入り、そしたらちょうどチェルノブイリが起きて、それからバブルがあって、湾岸戦争が起きるっていうのはその時期だったんですが。一方で音楽業界でいうと、ホコ天とかっていうバンドがあって、凄いブームっていうか90年代の黄金期を迎えるんですけど、でもなんとくなくこう……今の時代と同じでギャップがあると。片方では湾岸戦争があったり、油まみれの海鳥がテレビで紹介されたり、そこが自分の子供の頃とか学生時代に、なんとなく、やり残したことに火が着いたというか、もう一度だから、音楽を31まで働かせてもらったんですけど、環境のことをもう一度勉強してみたいと思ったんですね。」
坂本「えーっと、2017年の年頭に当たって、上岡さんが考える日本と世界の問題っていうのは、環境問題っていうのはどういうところですか。何を僕達がしたらいいですかね。」
上岡「僕ら、あまりに問題が大きすぎるので、どこからやるかっていうのはいつも悩むんですけど、パリ協定っていうのが、一昨年決まり、その横で国連 SDGsっていう、貧困の問題であるとか、ジェンダーの問題であるとか、環境問題であるとか、っていう、持続可能であるために、こういうゴールを設定しようっていうのを持って、そこがボトムのところで繋がっていて、貧困が進んでしまうと戦争であるとか、そうことにも繋がりやすいし、気候変動が進むと、貧困も進んでしまうかもしれないしって、ここは切っても切り離せないというところになってきていて、エネルギーをベースにして、大っきくエネルギー転換するのもあるんですけど、やっぱりどちらかというと、大きくインフラを整えることも大切だけど、携帯電話がインフラなしで広がったように、再生可能エネルギーってインフラを持たず、独立型で、グリッド、マイクログリッド、ミニグリッドみたい形で広げることも出来るので、そこを貧困対策も含めて、温暖化を凌ぐ為にエネルギーに一回チャレンジしたいな、と思ってるんですけどね。僕らが作った小さな発電機……太陽光の発電機をマサイの戦士が日本に来た時に、秋葉原で「小さなソーラーパネルを買いたいんだ」って探したんだけどなくて、僕らイベントで出してたら、日本のマサイの戦士のお仕事してる人が、これいんじゃないのって……」
坂本「マサイの戦士の仕事があるんだ(笑)」
上岡「あるんですよ(笑)遊園地とかで、マサイの戦士の人が……やるんですよ、それで来たマサイの戦士が、結局、携帯を持ってるんですよ。もともとは戦士の仕事と共に牧畜みたいなのもやって、牛とか連れていくじゃないですか。でも携帯持って行って、携帯の電池が切れちゃうから、また2時間かけて戻ってきて充電するとかやるらしく、そのフィールドに持っていきたいんだよねえっていう話があって、それで「こりゃいいや!」ってことで買っていってくれて。」
坂本「あれはどう?テスラがさ、家庭用の蓄電池……」
上岡「パワーウォールですね。あれもいいんじゃないですか。」
坂本「あれはいいんですか。性能としては。」
上岡「もともとパナソニックが関わってやっていて……」
坂本「そうするとその、そういう古い産業で働いてる既得権を持ってる人たちが、自分の存在価値がなくなっちゃうから、なるべく古いエネルギーに固執しようという……」
上岡「そうですね……まさにそういう……。」
坂本「それが今のトランプのより戻しなんですけど。石油業界のね、利益代表みたいになっちゃっててね。」
上岡「世界的に見てると、太陽光が凄く安くなったんで、石炭よりも太陽光が安いというような、まぁ自然エネルギーが進んできてるんで、勝負はついたんじゃないのっていう声もありますけどね。」
坂本「トランプさん自身はですね、多分お金しか興味がない人なんで。」
上岡「そうでしょうね(笑)」
坂本「ただ、逆にその政治の一種、素人ですから、周りが取り込みやすいんじゃないかって、僕は想像してるのね。取り込まれちゃってるんだけど、だけど、こっそり囁いてね「エコの方が儲かりまっせ」と言えば、「おお、そうか!」って絶対になると思うんですよね。」
上岡「そういう風に言う人多いですよね。」
坂本「ええ、彼自身は、多分そういう人だと思うんで。あのディカプリオがなんかね、囁きに行ったんだってね。偉いねえ、あの彼は。あの人、本気だからね。あの彼が作ったドキュメンタリーもいいもんね。」
上岡「そうです、いいですよね。トランプさんの一面だけ見てるとね、そういう風に映るんだけど、ビジネスマンとして考えると中国はかなり温暖化すると、中国で一番成長している臨海部って言うんですか、上海とか天津とか、香港とかが沈んじゃって、中国に凄い痛手があるんじゃないかっていうのが、凄く本気になってるっていう話もあって、そうすると中国が自然エネルギーについてドーンとくるとかっていう、やっぱ世界のこう……」
坂本「まあ、中国はそうですね……ちょっとフォーカルポイントっていうか、その臨海部のエネルギーを供給するために、どっと原発にいってしまうのか、自然エネルギーにいくのか、多分、ゴビ砂漠で巨大な太陽光を建設するっていうのもあるし。サハラ砂漠もやってるけども、今、そのせめぎ合いで、中国のトップの政治家とそれににじり寄ってくる産業界のせめぎ合いですよね。」
上岡「過渡期……せめぎ合いで・・・。で、どっちに転ぶか分からないですけど、でも、昔ほど自然エネルギーに弱いか、って言われるとそうでもなくて、かなりいい戦いをするんじゃいかなって感じしますね。」
坂本「まぁ、原子力ムラの強い日本でさえ、原子力はもう高いエネルギーだっていうのが新聞にも堂々と出て来る時代にやっとなりましたから、福島の犠牲を払って認知されているという状況ですよね。うーん。」
坂本「年頭に当たってですね、エコロジーオンラインの上岡 裕さんにも、好きな曲をね、持ってきて頂いたんですけど……」
上岡「昨年の映画で言うと、コトリンゴさんの、映画『この世界の片隅に』の「悲しくてやりきれない」が。」
坂本「弟子……弟子じゃないけど、愛弟子。」
上岡「今回はだから、コトリンゴさんがカバーしたこの曲がいいなって思って。」
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