「坂本龍一です。皆さん、お元気でしたか。2ヶ月に一度お届けしているレディオ・サカモト、この間、日本は台風などの水害で大変なことになっていましたね。ほんとに毎週のように台風が来て、甚大な被害を及ぼしましたけども、被害を受けた方、近親で影響を受けた方など、ほんとになんと言っていいか……ニューヨークからいつも心配してニュースを見ていました。一日も早く元の生活に戻れることをほんとに願っています。」
「今から15年くらい前に、公開された映画で、『デイ・アフター・トゥモロー』っていうのがあったんですよね。『インデペンデンス・デイ』と同じ監督だったと思うんですけど(*監督はローランド・エメリッヒ)、それを観たとき、まあ映画ですから……でも気候変動、気候危機をエインターテイメントの映画にしているという、しちゃったというのがね(苦笑)、なかなかすごいなと思うんですけども。で、そこで描かれてたことは結構、実は科学的な下地があって、ただ、大きな地球全体の気候のことなので変化するのに何年もかかるところを、その映画の中では数日でばっと圧縮してやっていたので、そこは非現実的だったんですけども。まあでもね、そのようなことがもう……例えば、冒頭でインドで雪が降ったりするシーンがあったんですけれども、同じようなことがもう起きてるんですよねえ。実はその2000年ごろ、(エコロジーオンラインの)上岡さんなどと会ってですね、いろいろな科学的なデータに基づいて科学者が予測を立てたものを聞いたり読んだりしてたんですけども。だいたいその……このようなドラスティックな変化っていうのは、2050年ぐらいに起きるだろうと、なんとなくそういう予想だったんですけども、もう、ねえ。2020年を前にして、もう目の前で起きているっていうのはやっぱり……温暖化ガスの排出量がね、その頃の予想と違ってどんどん増えてきてしまったということなんでしょうね。えーとですね、この2ヶ月間、僕はずっとニューヨークの籠ってたんですよね、ほぼ。もちろん日本の皆さんのね、無事を祈りながら過ごしていたんですけども。」
「8月は日本に居たんですけども、帰ってきて9月、10月の1週目くらいまで、イタリア人の監督の映画なんですけど、『Born To Be Murdered』……直訳すると "殺されるために生まれた" みたいなことなんですけど、この映画の音楽制作に掛かりっきりだったんですね。まあ、よくあるというか、でもここまで、っていうのは今までもあまりなかったんですけど、実は7月に1ヶ月、この音楽制作をやっていて、そこでできたものを監督に送って、それで僕は8月に日本に行っていたんですね。それで9月前に帰ってきて作業を再開しようと思っていたんですが、日本に行っている間に、監督からメールが来てですね。自分が求めていたものとは全然違うと。かなりこう、パニックしてるんですね。で、こっちもほんとに困っちゃって、つまり……当然、音楽を作る前に監督とは2、3日いっしょに過ごしてですね、いろんな音楽を聴いて、こういう方向で行こうみたいなことを話していたわけですよね。だから僕はそのつもりで始めたんですけども、どうも全然違うと。いうことでですね(苦笑)、8月の終わりからもう全部作り直しで、ほぼ、1ヶ月ちょっとでやんなきゃいけなかったんですけども。ふだん、だいたい映画音楽の全体をやるのに2ヶ月ぐらいはかかってるんですけど、それを約半分ぐらいでやらなければいけなくて、かなりストレスも溜まってしまったんですけれども(笑)。それが終わって、今また違う映画の音楽をやってるんですけども、これはまだ、すいません、タイトルとかは言えないんですけれもども。まあほぼ、休みなく、1日、2日……間があったかなー、また次の映画に突入していて、で、これを終わらせて、今度は12月に日本に行ってまたいろいろ、チャリティとかいろんなことをしなきゃいけないというね。まあもう、今年もう終わりましたね、僕的には、ふふふふ(笑)。」
「その10月18日に、LAに3日だけ飛んで行ってですね、THE ACE HOTELのホテルチェーンがあるんですけど……割と若年層向きの。僕のようなおじいさんにはちょっと部屋が暗くて(笑)、居住環境があまり年寄り向きではないんですけど、まあ今どきのホテルですね。部屋にターンテーブルがあったりですね、アナログ盤が置いてあったりとか、そういうほんとに今的なホテルを、最初に始めたのがエースホテルですかね。その20周年のお祝いというイベントに出てくれということで行ってきました。LAには、今年の6月にも2、3日行ったのだけど、その時はフライング・ロータスと2人っきりで、彼の家でレコーディングしてたんですけど。まあだから、このエースにもフライローもきてくれたりとか、フライローの親友であるサンダーキャットも来てくれたり、その音楽仲間であるディアントニ・パークスっていうね……この人おもしろくて、ドラマーなんですけど、いろいろなサンプルとか音をいじって自分でライブでトラックも作りながらドラムも叩くというすごい人なんですけども、彼も来てくれたりとかですね。古い友達、新しい友達、たくさん来てもらって、それはとっても楽しかったですけどね。でも全然ゆっくりする暇もなく、またニューヨークに飛んで帰ってきて、映画音楽の制作の続きをやっています、いまちょうど。」
「そうですね、このまま11月……12月のあたままでこれが続いてですね、それを終わらせて、今度は日本に12月中旬ごろ行くんですけど、11月に入ると後半に、野暮用でというかシンガポールとイタリアという、かなり遠いところに続けて行かなきゃいけなくて……ニューヨークからシンガポール、シンガポールからローマに行くというね。シンガポールはアートビエンナーレ(SINGAPORE BIENNALE 2019)に、僕の『async』に関係する展示で来てくれということで行きます。イタリアはローマともうひとつ、レッジョ・エミリアというとこなんですけど、アルヴァ・ノトとふたりで「TWO」というコンサートのシリーズを演るというかたちです。長く接してきたベルナルド・ベルトルッチが去年亡くなって、それ以来もうイタリアに行けてないので、今回ローマに行くときに、ぜひお参りしてきたいと思ってるんですけども。」
「12月に日本に行くとですね、あのー、これクリスマスの日ですね(笑) ……12月25日、熊本城ホールという……熊本城が地震で被害を受けましたよね。それで熊本城ホールというのができまして、その開業記念公演というのをやることになりました。僕の提案で、やはり被害を受けた東北の子どもたちのオーケストラ……東北ユースオーケストラを熊本に連れて行って、熊本ユースオーケストラといっしょにできないかということで、合同でコンサートをやることにしました。その部分と、吉永小百合さんの朗読も吉永さんに来ていただいてやると。それから久しぶりに僕のピアノ・ソロの部分とか、これもほんとに久しぶりなんですが、ピアノ・トリオの部分……ふつうピアノ・トリオっていうと、ヴァイオリンとチェロとピアノなんだけど……今回は僕の希望で、チェロの藤原真理さん、ヴィオラの安達真理さんという形で演ります。それで年をあけてですね、2020年1月5日に、那覇で吉永小百合さんの、いつもの朗読のコンサートっていうんですかね、朗読会ですね。今まで何回か、ピアノで伴奏で参加させてもらっていますけど、それを吉永さんメインですからね、これは……僕のコンサートじゃないですから(笑)、伴奏をしようと思ってます。せっかく沖縄ですから、古い誼の古謝美佐子さんに来ていただいてですね、いっしょにピアノと歌で何かやりたいと思います。そんな感じで年が明けてしまうという、感じですけども。」
「最近あのー、ま、僕が注目してる映画ってたくさんあるんですけど、その中のひとつですね。実は去年の2月にベルリン映画祭でこれは上映されているんですけど、『象は静かに座っている』ですね。実は昨日から、11月2日土曜日から渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開されています。ぜひ観に行ってください。4時間近いんですね、でも、たぶん飽きさせないと思うんですね。静かなしずかな、だけど深い映画です。これを作ったフー・ボーという中国の監督は、なんと29歳。彼は小説も書いていますけども、これがまあ処女作ですね。とても才能がある監督なんですけど、この映画を作ったあとに、自分で命を絶ってしまった。まあ驚きなんですけどね……。内容は中国北部の満州の方に近い地方都市に暮らす4人の……3人の若者と、1人の老人の登場人物たちの1日ですね、それを4時間かけて描いて。去年のベルリン映画祭のフォーラム部門で上映されて「国際批評家連盟賞」を受賞してるんです。去年11月の台湾の金馬奨では最高の賞を獲ってます。ところがこの映画が出来てから長く、中国本土では上映されなくて、ただ、もうされてるのか、今やっとされるのか、という話は聴いています。ぜひね、世界中のたくさんの人に観てもらいたいと、まあ僕は勝手に思ってるだけですけど(苦笑)、そういう映画なんですよね。」
「今回はこの映画の劇場鑑賞券を3組6名の方にプレゼントします。興味のある方は応募してください。この映画のパンフレットには、僕の語り下ろしの原稿って言ったらいいんですかね、も掲載されています。まあぜひね、映画館で観ていただきたい映画です。その中の音楽、サウンドトラックがすごくいい、僕は好きですね。中国のロックバンド、ホァルン(花伦)が担当していて、全編こう歪んだギターが出てくる……これもこう映画の、歪んだ社会とかですね、ひりひりした痛みみたいなものをとってもよく現しているなあと思ってとっても関心したんですけれども。去年12月に、16年ぶりに中国に行ったときに、バンドのみんなにも会いまして交流しました。とても好きなサントラなんですけど。」
■映画『象は静かに座っている』の劇場観賞券をプレゼント!
今回は、教授おすすめの映画『象は静かに座っている』の劇場観賞券を3組6名の方にプレゼントします。
番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください(教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます)。
当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。
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<坂本龍一 「この2ヶ月で聴いた曲から紹介」プレイリスト>
「ここからは僕が僕が、ふだん聴いている曲のプレイリストを紹介していきましょうね。」
「(今回のデモテープ)オーディションのときに、少し触れたんですけど、武満徹さんの「さくら」という合唱曲ね。有名なあの曲をアレンジしているんですけど、とっても綺麗なんできいてみましょうね。」
- さくら / 岩城宏之 - 東京混声合唱団(武満徹全集2 合唱曲 STZ23)
「次はね、いきなり変わってですね、ラヴィ・コルトレーン。 サクソフォン・プレイヤーです、あのジョン・コルトレーンの息子さんですね。でもそういう言われ方をするのはどうなんでしょうね。人によっては嫌がるかも知れないけど。ジャズなので長い曲が多いんですけど、短いのを選んだので聴いてみましょう。」
- The Message - Part 1 / Ravi Coltrane
「次はですね、映画ですね……『if beale street could tallk』という映画があったんですが、そのサントラですね。ニコラス・ブリテルっていう割と若い人がやってるんですが、その曲をかけてみます。」
- philia / nicholas britell (if beale street could talk)
「現代音楽の作曲家のジョン・ケージっていう、皆さんもよく知ってますよね。まあ、だいぶ前に亡くなられたんですけど、一度お会いしたことありますけど、ジョン・ケージのですね、割と初期の作品……「amores」と「amores II」、これを続けて聴いてみます。」
- amores / john cage john cage (john cage: will you give me to tell you)
- amores II / john cage john cage (john cage: will you give me to tell you)
「僕はニューヨークに来て、比較的すぐ知り合いになったインディ・バンドがありまして、ブロンド・レッドヘッド(Blonde Redhead)っていうんですけど、そこの女性の日本人シンガーがKAZUという人なんですけど、30年近い付き合いになるんですが、そのKAZUがですね、バンドではなく自分のソロ・アルバムを初めて作りまして、僕も半分ぐらい手伝ったんですけど、『adult baby』というアルバムタイトルで、その中から聴いてみましょう。」
- salty / KAZU (adult baby)
「このような、いつものように、ばらばらの音楽を聴いています。また紹介するのが楽しみですけど。」
- While Sleeping / Marcus Fischer (On Falling)
<オーディション総評>
坂本「久しぶり、4ヶ月ぶりですね、デモテープオーディション。今回は間が長かったですから、300近くの作品が集まりまして。ありがとうございます。」
今回は、東京のJ-WAVEのスタジオにU-zhaanさん、長嶋りかこさん。スカイプで教授が参加して行いました。そして、U-zhaanさんの近況を伺って、1曲オンエアしました。
U-zhaan「僕がいま、というか11月にはもう終わってるのかな、10月の「おかあさんといっしょ」の、月の歌(2019年10月のうた)っていうのを作曲していて、作詞がいとうせいこうさんなんですけど、その Eテレの番組の曲を流させてくださるということで、かけたいと思います。で、今日テレビで観たんでしょ?」
長嶋「そう。きょう、たまたまおかあさんといっしょ付けてたら、(笑)たまたま流れて。」
坂本「かかった?U-zhaanの曲だと分かった?」
長嶋「息子がぴたって、止まって。すごい集中してなんか、あれってなってましたよ。」
坂本「だけどこの、歌のおにいさんとおねえさん、こんな難しいリズムが歌えるんだね。」
U-zhaan「そうですね、微妙なリズム感っていうのは何度も歌ってもらって。手は入れてないんですけど。」
坂本「いやいや素晴らしい。とても参考になりまーす。今後の参考にいたしまーす。」
U-zhaan「参考になるわけないじゃないですか(笑)。」
RADIO SAKAMOTOオーディションに、インターネットから作品を応募できるフォームができました。作品はファイルのアップロードのほか、YouTubeのURLを指定しての投稿も受け付けます。
詳しくは、エントリーフォーム内の応募要項をお読みください。
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RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。 |
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<エコ・レポート>
坂本「エコロジーオンラインの上岡さんとはほんとに長くて、もう20年近く、友人なんですけども、2000年ぐらいに会ったのかな。上岡さんはもともと音楽業界に居た人で、音楽にもとても詳しいんですけど、まあそういうこともあって話が合って。当時は音楽関係者で温暖化などの環境問題に関心を持ってる人は少なかったので、ほんとに数人……その中で知り合ったんですね。それが約20年してみると、当時、上岡さんや僕が心配していた温暖化による被害っていうのが、毎年、どんどん加速していてる感じがあるんですが、今年ほど、すごく目の前で温暖化による被害の影響のすごさっていうのを目の当たりにした年はなかったと思うんですけども。今後このまま温暖化が進めば被害も大きくなっていくので、ほんとに心配です。」
「エコロジーオンライン、上岡裕がお送りします。台風19号で、エコロジーオンラインの地元、(栃木県)佐野市が被災をしたということで、多くの方から励ましのお言葉とかメールをいただきました。いろいろな方が思いを馳せてくれたことに関して、とても感謝しています。ありがとうございます。今日の番組でも坂本さんが気候変動の怖さについて、いろいろと語ってくれていますが、我々はもう20年、ずっとこの気候変動の問題とかに関わってきて、気候変動がほんとに形になっていろんな被害を与えるよと言い始めた土地で、実際に自分らが住む地域が被災したということで、誰の所にも被害は起こることなんだなと、思いを新たにしたところです。」
「翌日は台風が去り、もう青空が見えるような状況だったんですけど、実際に午前中、被災がどのような状況だったのかということで、一番シビアに被災したエリアは歩いて10分くらいのところで、いつもよく散歩をするようなエリアだったので、私の家は被災しなかったので、徐々に友達の家の被災であるとか、自分が取締役をやっている農業生産法人が浸水被害を受けて、ビニルハウスが壊れてしまったとか泥水がかぶってしまったことが分かったり。災害ゴミも、いったん水を浴びてしまうと様々なものがゴミになってしまうというのを目の当たりにして、どれだけ環境を守る取り組み……ゴミを出さないリサイクルとかリユースとかやってても、物質に溢れた暮らしの中で、いざ何かが起こったときにはこれだけのゴミが出てしまうということを痛感しました。我々の住む佐野市も災害ゴミの処理だけで2年間かかるというようにも言われていて、災害ゴミを担当するのは環境政策課という、僕らがふだんから地球温暖化の取り組みをいっしょにしている人たちが、恐らく、ここから先はゴミの処理に追われていくということで、僕らの地域での活動は大きく様変わりをしなきゃいけない。というようなことを感じています。」
「今回すごく感じたことがもうひとつありまして、最近、「就労支援センター風の丘」さんという、精神的な生きづらさをかかえているような人たちが仕事を見つけたり続けるために訓練を受けているセンターさんが、エコロジーオンラインの会員になってくれて、協力してくれてるんですけど、その利用者さんたち……ずっと引きこもってた若い子とか、適応障害があって会社に馴染めない人たちとかと、いっしょにボランティアに行って、泥かきやゴミの整理をしてるんですけど、その障害者の人たちがこういう気候変動が、台風の被害が、毎週のように起こるような時代に入って、ただでさえ不安定な精神状況がどうなっていくのかということが不安だと、いうようなことをセンター長さんが言われていて、このような状況でどうやって地域社会が支えていけるのかというシンポジウムをやったらどうだとか、地域の行政に、障害者の人が落ち着いて仕事したり暮らしを営めるような形で、その人たちが例えば、避難所の整備であるとか、早めに避難することを社会が認めるような仕組み作りであるとかができないであろうかというようなことがあって、地元の市議会の皆さんと動き始めたところです。」
「やっぱり行政がしばらくはストップしてしまうので、僕らが動くことがすぐ形になるかどうかは分からないですけど、気候変動で、台風の数は減っても巨大化するということが科学者の皆さんから警告が出てますし、日本でも台風の進路が変わったり、首都圏を直撃したり台風の規模が大きくなることで、多くの被害が出ることは分かっていますので、そういう状況の中で、障害を持った人たちた高齢者や子どもたちがどうやって、落ち着いた暮らしをしていけるのかについてもエコロジーオンラインとしては関わってみたいというふうに思っております。」
「我々が住む地域は、坂本さんも尊敬しているという田中正造という人が、明治期に活動して足尾鉱毒被害について訴えた地域でもあるわけですけど、今回、年配の先輩の方に被害を聞いたところ、そこの集落は古くからある集落で、もう洪水があることを想定して高くしてあるんだと、いうようなことを言われていました。で、やっぱり被害を受けてしまったのは、低い地域に作られた新しい家なんじゃないかなあと、その人はおっしゃっていたんですけど、田中正造の頃の足尾銅山鉱から流れ出てくる化学物質とか、現代文明が川を犯す前の川は、洪水があると、山の豊富なミネラル分とか栄養分を洪水が押し流してきて、田畑が豊かになって実りが多くなる。洪水を生かしながら生きていくというような文明を日本人は持っていたというようなことを農家の方が言われていました。田中正造は、物質文明だけに頼るのではなく、天然、自然、そういう声を聞きながら、精神的な豊かさを積み上げていくというような文明を我々はもとめなければいけない。そんなことを100年も前に言っております。ほんとに気候変動が激しくなった今、もう一度、田中正造の声を聞きながら活動を見直す時期にはいったのかなと思っています。」
「来年は坂本さんと出会って20年。エコロジーオンラインも20周年になります。いろんなことが周りで起きるような時代になりました。のんびりと気候変動を語れるような時代ではなくなったことは、すごく悲しいことですが、この問題について、グレタ・トゥンベリさんのような、ほんとに一生懸命になって活動する若い人たちも出てきていますので、僕らも負けないように頑張っていきたいと、いうふうに思っています。」
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