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PROGRAM

ARCHIVE:180701

「坂本龍一です。2ヶ月に一度お届けしているレディオ・サカモト。皆さん、お元気でしたでしょうか。僕はつい先日まで、ドイツのカールステン・ニコライと、ヨーロッパでね、小さなツアーをしていまして、ツアーと言える程でもないのかもしれないんですけど。ニューヨークに戻ってきたばかりんですけど。今回はニューヨークのプライベートスタジオからお届けしています。」


<公開中の映画『天命の城』の音楽を手がけました。>

「先月ですね、僕が音楽を手がけた映画、韓国映画ですけども……『天命の城』という邦題。オリジナルタイトルではですね、南の漢の山の城と書いて、ナムハンサンソンていうんですけど。英語では "Fortress" というね、"砦" ですね。そういう映画、日本でも6月22日からロードショーをやっているんですね。監督はファン・ドンヒョクさん。出演しているのが、イ・ビョンホン。有名ですね、韓国の俳優の中では一番有名かもしれない。アメリカの映画にもたくさん出ているし、イ・ビョンホンさん。そして、キム・ユンソクさん、パク・ヘイルさん、コ・スさん。キム・ユンソクさんて、日本ではイ・ビョンホンほどは、海外で知られていないかもしれないけど、僕はものすごく韓国映画をこのところよく観ているので、キム・ユンソクさんはたくさん出ていて、とても個性的で、強い役柄が多くてですね……名優ですね。もう一人のパク・ヘイルさんというのは、なんていうのかな、恋愛映画とかに割と長い間出ていて、最近、多分40を越して、少し渋い役も増えてきたと思うんですけども、今回はこの、難しい決断に迫られる王様役でね。えーまぁ、いい顔してるし、とてもいい演技してますね。監督のファン・ドンヒョクさんから聞いたんですけども、この難しい役の王様役は、もうパク・ヘイルしかいないということで、何度も頼んだんですけど、何度も断られて、3度目に朝の4時までソジュを飲んで、やっと口説き落としたと言っていましたけども、なんでそんなにパクさんが断ったのか。……実は『天命の城』、これ実話ですけど、お隣の中国が、明という清に変わる頃のお話で、明と仲が良かった韓国の清が攻めてきちゃうんですね。で、明と手を切って、「俺の味方、子分になれ」というわけなんですよね。それでもう十何万人という大群で攻めてくる。迎え討つ韓国側は一万人ちょっとしかいない、ということでですね。結局はその享受の意を示して、清の皇帝に頭を下げるんですけども、頭を下げて非常な屈辱を受ける訳ですね、この王様も。それから韓国人たちもね。なので、未だに300年経っても、韓国で一番人気のない王様なんですって。まあそういう屈辱の歴史を刻印したという。多分、そのせいで、パク・ヘイルさんは断ったらしいんですよね。だけど監督は、パク・ヘイルさんのノーブルな気品のある顔じゃないと、この映画は作ってもしょうがない、とまで思ったそうです。」


<密かな願いとして、伝統音楽も実は取り入れています。>

「私は音楽監督として関わって全部の音楽を書いたわけですけど、ひとつ面白かったのは、僕は学生の頃から韓国の民族音楽を聴いてきましたし、民族音楽をやっているキム・ドクスさんというね……韓国の打楽器奏者とか30年以上の友達関係ですし、まあせっかく、生まれて初めて韓国の映画をやらせてもらうんで、どうしてもその韓国の伝統音楽を取り入れたいということで、非常に韓国的な音楽というのも考えていたんですが、デモを作って監督に聴かせたら、「ちょっと韓国的過ぎる。」と、言われちゃいまして(笑)。……もう少しモダンなものにしてくれと。まあね、韓国も、時代劇というか歴史物の映画というのはとても多いので、そういうものに韓国的な伝統的な音楽が付くというのはもう、多分、常套手段で聴き飽きているのかなぁと。もっとそうじゃない、新しい部分を、多分、監督は出したかったのでしょう。ということで慌てて方針転換をして、今のような形になったんですけども。でもね、僕の密かな願いとして、伝統音楽も、実は取り入れています。ほんとに慌てて、2、3日だけソウルに行って、キム・ドクスさんの指導の元、若い伝統音楽のミュージシャン……ほんとに学生とか大学院生ぐらいの、若い人たちと録音して、急遽、混ぜてます。」

■ 映画『天命の城』公式サイト

http://tenmeinoshiro.com

<韓国・ソウルで初の展覧会も開催>

「韓国映画の話をしたばっかりなんですけども、5月は韓国に行ってました。映画の仕事は去年やってたので、去年の7月だったかな、8月かな。夏だったと思うんだけど、ソウルに行って録音をして、ニューヨークで完成させてということだったんですけど。今回、5月に韓国に行ってたのはですね……去年の12月に実はオファーを受けまして、ソウルのある場所でビルをひとつ全部使って、私の……何ていうのかな、展示をしたいと、いう若いアート関係の会社を始めたばかりらしい方から、そういう申し出があってですね。でも去年の12月、で、そのビルをオープンするのが5月なんで、そのオープニングでどうしてもやりたいと。で、足掛け5ヶ月くらいしかない……ですよ。でこのビルは、地上3階、地下2階かな。だから5階分あるんですけど、そこを全部使うんだと。それはどう考えても無理でしょうということで(苦笑)、1年先延ばしにしましょうよ。と言ったけど、どうしてもオープニングで、やってもらいたいということで。うーん、迷った末にそれならということで、熱意に負けてやることになったんですけど、もちろんたくさんのね、今までいろいろなインスタレーションなどを、一緒に製作してきた高谷史郎さんとか、皆に本当にたくさん協力してもらったんですけども。えー、ほんとにオープニングを迎えることができてですね、ま、1週間前くらいから僕ら行っていて、もう細かいところまで、いろいろな設置、音の調整とかですね、やっていました。……インスタレーション、この2000年くらいからね、いくつか作っているんですけども、今回展示しているのは、『LIFE - fluid, invisible, inaudible …』という高谷さんとやったやつとですね、それから『water state 1』という、やはりこれも高谷史郎さんとやった、両方とも山口県のYCAMというメディアアートセンターで作ったインスタレーションですけども、これを展示しています。場所の制限があるので、このYCAMバージョンとは違う、今回の少し小さいバージョンですけども、とてもいいものです。それからあの、去年、日本のワタリウムという青山の美術館でやっていた、設置音楽といいますか、『async』のインスタレーションがありますね。で、その時も高谷さんに映像を作ってもらって、それから Zakkubalan というユニットが作り、そしてタイのアピチャッポンが映像を作ってくれて、これらも展示しています。他に、僕の40年ですか(笑)の、長いキャリアのいろいろな映画音楽とかですね、それから韓国ゆかりのナム・ジュン・パイクさんと以前作ったビデオとかですね、そういうものも展示しています。だから、僕のキャリア、+アート・インスタレーションといいますかね、そっちの方の展示ということで、全館使ってやってるんですけども。なんとかね、間に合いまして。ソウルに行った事がある方ならば、南大門ていうのは分かると思うんですけど……南の大きな門ですね。東大門とか南大門とかありますけども。南大門は、明洞と並んで非常にこう賑やか繁華街というか、市場がありますね。で……これはね、本当にこう、今はなくなって久しい日本の昭和の市場みたいで、東京の下町とか、大阪の市場のようでね、とっても活気があって、おばちゃんたちがいて。そういう市場のわりと比較的そばの古いビルを改装した "piknic" というアート空間が作られまして、そこでやってるんですけども。その市場にね通って、今、話題の平壌冷麺を2回も食べてきました(笑)、美味しかったです。あと、真っ赤なビビン麺も食べました。これはさすがにね、完食できなかったですね、僕。辛いもの好きなんですけど。本当にソウル近いですからね、もし行ってみようという方は、ぜひ行ってみてください。10月までやっています。」

■피크닉 piknic - Seoul, Korea | Facebook

https://www.facebook.com/piknic.kr/

<6月はカールステンとのヨーロッパツアー>

「それからですね、6月に入って比較的すぐ、そう韓国から帰ってきてわりとすぐ今度はヨーロッパに行かなくてはいけなくてですね。……小さなツアーといいましたけども、ベルリン、バルセロナ、ロンドンでカールステン・ニコライとコンサートを演りました。まずベルリンに1週間くらい滞在して、機材の設置からリハーサル、そして本番。で、それを全て持って今度はバルセロナに移動して、今度はロンドンに、という風になったわけなんですけど。そのベルリンなんですけど、ベルリンの中心から車で20分ぐらい行ったとこに……わりと工業地帯ですね。に、打ち捨てられた広大な土地と建物がありまして。これはですね、以前、東ドイツ中央ラジオ局だったんですね。これが、東ドイツが崩壊してから随分長いこと、そのままだったんですけども、数年前にどなたかが購入して、これがアートセンターになってるんですけども、昔の社会主義時代の建築ですからもう、なんていうのかな、素晴らしいっていうか、その、うーん……ある意味、僕らがこっち側の西側の人間が知らなかった美学っていうのかな、があって物凄くかっこいいんですよね。ここを使ったアート作品もいくつかありますし、もうこの施設自体がアートのようなんですけども、その中でたっぷり1週間、施設を自由に使っていいということでね、リハーサルと本番をしました。それで広大な敷地に大きな建物が何棟もあってですね、その中に昔のスタジオやホールがあるんですけども、わりと有名なアーティストたちも借りて使ってるみたいですね。あの、Nils Frahmなんかも、スタジオ持ってるって話を聴いて、会いに行こうかなぁと思ったんですけども、なんとなくやめちゃいましたけど。環境としては素晴らしいなぁと思いますねえ。日本にもあったらいいですね、そういうところがね……まぁ廃校とかをね、使ってそういうことをやってるところも増えてきましたけども。うーん、とにかく建物の何ていうんですかね、オーラというか、美しさが半端ないですね。そこで演りまして。」

「そのあとバルセロナに移動したんですけども、このバルセロナっていうのは、皆さんも聞いたことあるかもしれませんけど、ソナーフェスティバルという、エレクトロニカ系、電子音楽系の、音楽フェスとして初めて始まりまして、今年が25周年だったんですね。で、そのクロージングということで、日曜日、6月17日に演りました。以前もカールステン・ニコライと同じ場所で演ったんですけど、野外円形劇場がありまして、そこで演りました。ソナーていうのは、ほんとに大規模な音楽フェスなんで、東京でいうと幕張のような大きな会場でやってるんですけども、そこではなくて、別のもうちょっとクラシカルな野外劇場でやったんですけど、テアトルGREC というんですけど。美しいですねえ、場所が。さっきのベルリンのフンク・ハウスという昔のラジオ局……DDRというんですけども、ラジオ局もそうですけど、まぁ、僕たちというのかな、僕もカールステンも、場所から……インスピレーションを受けるっていうことは、よくありますね。今年だったかな。『Glass』という、二人の名義で、Alva NotoとRyuichi Sakamotoで出した『Glass』というレコードがありますけども、これはですね、2年前にアメリカ東部のコネチカット州にあるGlass Houseという場所……そのまんまですね、ほんとにGlass Houseですね。という場所で二人で演った即興をレコード化したものですけども、ここもね、ほんとにその時は、完全に即興で100パーセント、なんの曲もなくて、いきなり音を出し始めて、完全にGlass Houseという建物と、それからその周りの環境……自然ですね、にインスパイアされて演った即興なんですね。そのときの記憶もとても素晴らしくて、だから今回の3回でしたけど、カールステン・ニコライと演った、この小さなツアーもですね……半分くらいが即興で、今までの曲もやるんですけど、曲と曲の間も即興で繋いでいく、みたいな、大きな一つの全体が流れていくというか、そういう形にしました。」

「3ヶ所目がロンドンのバービカン・センターですね、バービカン。ここも大きなアートセンターでホールもあり、とてもロンドンでは名高いホールですね。なかなかいい建物ではあるんですけども、Glass Houseやフンク・ハウスから得たようなインスピレーションは残念ながらありませんでしたけども(笑)、流石に3回目ということで、僕たち二人のパフォーマンスの内容はよかったですね。うまくきちんとまとまって、とてもうまくいきました。同時にこの時期に、ロンドンベースのイベント集団って呼んでいいんですかね、本当に若い……アートと音楽をやっている、そのなんていうのかな、グループというのかな、自分たちはクリエーターじゃないんだけど、そういう企画するグループというかに頼まれて……MODEというキューレーションをね、音楽とアートのキューレーションをしてくれっていうんですよ、僕に。それも同時にやっていました。で、そのキューレーションの一環として、坂本も音を出してくれっていうんで、ついこないだ、24日、僕とイギリス人の古い知り合いのデイヴィッド・トゥープという、これは素晴らしい音楽評論家であるとともに、自身も即興する音楽家でもあるんですけれども、二人で演りました。これもう完全即興です。小一時間やりましたけども。僕は彼のこと35年ぐらい知っているんだけども、何度も交流はしているんですけども、いっしょに音を出すのは今回初めてで(笑)、ま、お互いの……そのどういうことをやるかっていう手の内は大体分かってはいたんですけど、なかなかおもしろかったです。カールステンとやったものとは、もちろん随分内容も異なって。ここのやった場所ですね、シルバービルディングという……これまた廃墟ですね。さっきのベルリンのフンク・ハウスみたいな。打ち捨てられた工業地帯の中にポツンとある廃墟でやったんです。多分、この廃墟を使って、何かイベントをやるというのは、これで最初で最後になるかもしれないと言っていました、というのも、何かやはり、ここを買って、リノベートしようとしているらしい訳なんです。で、この僕はキューレーションを頼まれたモードというイベントの繋がりですね、いろいろな。アートあり音楽ありなんですけども、……僕がとても好きな例えば日本のバンド、空間現代とかですね、GOATというバンドとか、に来てもらってやったりとか、ロンドンだけではなくていろんな場所でやりましたけども。あとは、その僕の友達でもあって、若いアーティストですけど、力がある、毛利悠子さんの展示とかですね。いろいろあります。ぜひ "MODE 2018" で検索してみてください。7月の1週目ぐらいまでやっています。ロンドンにいる方、行く方はぜひチェックしてみてください。そんなことをやってまあ、いろいろ忙しく(笑)動いて、気がついたら1年の半分が終わっていたということですねえ。」

■ MODE CURATED BY RYUICHI SAKAMOTO WITH 33-33
19 JUNE - 08 JULY 2018
http://33-33.co/mode/

「えー、そんなことやってました。いろいろね、話したいことも見せたいこともあるんだけど、まあインスタ…僕の公式のインスタの方でね、いくつかその設置の様子とか見せてますので、随時フォローしてみてください。」

■ 教授のインスタグラム "skmtgram"

https://www.instagram.com/skmtgram/

<テイ・トウワさんからメッセージが届きました。>

「レディオ・サカモトをお聴きの皆さん、こんばんは。テイ・トウワです。えー教授、お元気でしょうか?ご無沙汰しておりますが、お元気のことと思います。映画などで拝見しております。私、テイ・トウワはですね、この度、Sweet Robots Against The Machine という3人組の新バンドでアルバムを作りました。これはバカリズムさんと、METAFIVEでも一緒の砂原良徳くんと、3人で作ったものなんですけれども。もともとは僕が一人でやってたものなんですが、3枚目ということで3人組になってみようかなぁという感じでやってみました。で、そうですね。普段は何もコンセプトがなく曲を作って、なんとなく10曲ぐらいクラスターとして集まったら出してたりするんですけども、今回は、詩の朗読に曲を付けるところから始まりまして、なので比較的、自分のソロに比べては、コンセプチュアルなアルバムというか、ポエトリー・リーディングならぬ、テクノ・リーディングというか。スポークン・ワードならぬ、スポークン・テクノ……という感じに仕上がったと思いますけれども、いかがでしょうか。やってることはですね、高校生のときに作ったデモテープを教授のとこに送ったことと何ら変わりないような気もするんですけれども、よかったぜひ、聴いてみてください。それでは1曲。Sweet Robots Against The Machine『3(さん)』の中から「ダキタイム(Dakitime)」。テイ・トウワでした。」

「はい、テイくんありがとう。うーん……Sweet Robots Against The Machine、SRATMというユニットなんですね。テイ・トウワくんからのメッセージでしたけども。なるほど、このテイくん以外の2人は何をしているんでしょうかね。まりん……砂原くんね、まりんと言えば、幸宏もやっているMETAFIVEにも参加していますけど、テイくんと一緒に。ええと、まりんくんあの、METAFIVEではベースをやっているんですよね。まりんくんの弾くベースのリズム感がとても良いんですよ、凄いなぁと思って。上手いんじゃない?鍵盤、キーボードを弾くのが。ちゃんと弾けるんだね〜と思って(笑)、すいません、あまりよく知らないので失礼なことを言ってしまいました。えーと、テイくんは自分でも言ってましたけども、変わらないですねぇ、ほんとに。音のセンスとか、もう高校や大学の時から一貫したものがありますね。これはまぁ、自然にそうなっているんでしょう。僕はほんとに恐ろしくいろいろ変わってしまうので……羨ましいですね、変わらない人のことが。」

■ Sweet Robots Against The Machine | 日本コロムビアオフィシャルサイト

http://columbia.jp/SRATM/

<坂本龍一 「この2ヶ月で聴いた曲から紹介」プレイリスト>

「さて、ここからは、僕が普段聴いている音楽のプレイリストを紹介しますね。えー、何からいこうかな。まず最初は、とても短いんですけど、touch 25 というユニット名なんですけど、全然僕は分かりません、その素性は。情報がないですね。アルバムも『touch 25』ということで。」

  • chorale / touch 25

「はい。これだけですね。もう素晴らしいですね。何も浮かない一音ですよ、一音。もっと長くやってくれてもよかったと思いますけども。でもねえ、なんかこう、音に陰りがあるというか、素敵ですねぇ、……はい。これ冗談じゃないですよ(笑)、あの本当に素敵だと思っています。」

「次ですけども、あの、以前にもかけたことがあると思うんですけど、ドイツのアーティストで、Jan Jelinekという人ですけども。この人の「Straight Life」という曲ですけども。これは、『Improvisation and Edits, Tokyo 26.09.2001』というアルバムからなんですね。えー……察するに、出たのは今年のようなんですよ、2018年。でも察するに、2001年9月26日に東京のどこかでやった演奏をエディットしたんだと、思うんですね。聴いてみましょう。2001年頃はこんな音だったんですね。なんかエレクトロニカ・ジャズみたいな感じになってますね。」

  • Straight Life / Jan Jelinek & Computer Soup

「えーと、次ですけども。全然雰囲気は変わりまして、今年……韓国行く前だったかな、4月かな。ニューヨークでテレビを偶然見ていて知った、韓国の凄く若いインディーバンドで、Se So Neon ていうんですね。新世代かな……という意味らしいんですけども。女の子のボーカルとギターで、男の子のベースと、もう一人の男の子のドラム。トリオなんですけど。凄くいいバンドだと、僕、思いました。もう、いっぺんでファンになっちゃって(笑)、このバンドの。検索したけど、インディーバンドでそんなにまだ情報がなかったんですけど、分かって。それからまだ2、3ヶ月なのに、あれよあれよという間にどんどん、なんかこう、よく名前を目にするようになってきて。で、6月だったかな、日本にも行って初のLIVEをやってきたみたいですね。えー、ヨーロッパ行ったりもしてるみたいで。ニューヨークにも来てくれたらいいなと思うんですけど。この女の子が、多分曲も書いて、で歌も歌ってギターも弾いてると思うんですけども、凄く才能があって、かっこいいです。ギターがかなりうまいです。ま、僕はあんまり韓国のポップスやロックは詳しくないですけど、でも聴いた感じ、見た感じ、ほんとに新世代ていう感じで、うーん……かっこいいっすねえ。素晴らしいと思います。」

  • The Wave / Se So Neon

「えーと、どこにいこうかなぁ。えーとですね、じゃあっと……OPNね。Oneohtrix Point Never というひとりのユニットがいますけども、新譜が出ましたね、『Age Of』というやつで。たくさん曲入ってますけども、この一番最後に収録されている曲が僕は一番好きで、ちょっとかけてみましょうか。」

  • Last Known Image of a Song / Oneohtrix Point Never

「あともう、この間の話題と言えば、あのJohn Coltraneの、もう50年くらい前ですか、亡くなった。……まあ、あのジャズの巨人ですけども、Coltraneの未発表テイクが、未発表の音楽があったという、それが出てきた、今頃になって。タイトルが「Untitled Original 11383」というやつなんですけど。ジャズをかけるのは珍しいですね、ここでね。」

  • Untitled Original 11383 / John Coltrane

「はい。じゃあもう1曲。イギリス人のアーティストで Actress という人がいますけども、まあ "女優" って意味ですけどこれは男性ひとりのユニットですね。の、新譜で『LAGEOS』……このActres、僕はこの数年来、好きで聴いていますけど、久々の新譜で、なかなかいいですね。アルバム全体が。」

  • Audio Track 5 / Actress

<『エコレポート』── エコロジーオンライン 上岡 裕>

「エコロジーオンラインの上岡裕です。エコロジーオンラインは今年、トヨタ自動車の環境活動助成を受けて、マダガスカルの人々に自然を破壊しないエネルギーを学んでもらうお手伝いをしています。つい最近、その仕事でマダガスカルを訪れました。マダガスカルのような途上国では貧しい人たちは電気や石油といった質の良いエネルギーを買うことができません。そのかわりに近くにある山から切り出した薪や炭をつかって調理をします。おかげで山はハゲ山となり、ラバカという土砂崩れが頻発し、砂漠になる一歩手前のような状態になってしまいました。マダガスカルの人によると8割あった森林が7%を切るまでに破壊が進んだと言います。森が豊かであれば人間の暮らしから生まれるCO2を吸収することができます。しかし、森を失うとCO2の吸収もできないし、薪や炭などの身近なエネルギー源が枯渇し、価格が高騰し、貧しい人たちの暮らしをさらに悪化させます。
そうしないためには代替エネルギーが必要になるわけですが、そこでエコロジーオンラインが目をつけたのがオガクズ、モミガラ、家畜の糞尿など捨てられた農業廃棄物です。ここに太陽の熱を加え、どこにでも手に入る里山エネルギーとして、その活用の仕方をマダガスカルの人たちに学んでもらうのです。今回の訪問では、昨年から始めたこのプロジェクトに強い味方が現れました。帯広畜産大学で学び、バイオガスで博士号をとった、マダガスカル人研究者のフェトラ(・ジュール)博士の参加です。マダガスカルの環境をよく知り、現地の農業関係者とつながりが深い彼はこの事業にうってつけ。マダガスカル各地を一緒にまわってみるとあちこちに知り合いがいて、バイオガス導入の話がおもしろいようにまとまっていきます。農務省のトップクラスの人からは、バイオガスの人材育成をマダガスカル全土で展開したいとの相談をいただき、収穫の大きさにこちらもビックリするほどでした。里山エネルギーとしての活動を約束した、サカイという町のロバソア小学校にも、牛や豚の糞尿を活用したバイオガスの導入が決まり、子どもたちから様々な歓迎を受けました。この小学校で飼っている牛や豚の糞尿をつかってバイオガスを生み出し、調理の燃料として活用し、さらに残った糞尿を肥料に使って、ロバソア小学校に緑を増やしていきます。
砂漠化する自然のなかで、子どもたちが緑を再生していく。そうした環境で育った子どもたちこそ、マダガスカルの未来の希望の種となる気がします。次の訪問は11月。今回の訪問で得た情報やネットワークを生かして、少しでも緑が増える協力をしていきたいと思っています。日本ではそんなマダガスカルの状況を伝える活動を始めますが、マダガスカルから日本に赴任している大使がピアニストであることを知りました。ひょっとしたら教授のことをご存知かもしれません。教授の曲が入ったCDでも持って、マダガスカル大使館にうかがってみようかと思っています。反応についてはまたご報告しますね。」

■エコロジーオンライン

https://www.eco-online.org

<デモテープオーディション総評>

今回は、150を越える応募作品が届きました。ありがとうございました。引き続き、デモ作品の応募は受け付けております。

「今回もいい曲が多かったですよ。残念ながら僕は東京にいなくて、旅先だったので、U-zhaanと長嶋りかこさん、お二人に出演してもらいました。デモテープのオーディション……もうテープじゃないけど "デモテープ" って言うんだよね。デモファイルと言うのはちょっと味気ないしね、デモテープ……なんか、今となっては可愛い感じですけどねぇ。テープ見たことない人も多くなってきたかもしれないですね。昔はほぼ、99%送ってきてくれるメディアがカセットテープ。で、デモテープと言ってた訳ですけど。」


<今回、このコーナーを担当してくれたお二人の近況について。>

U-zhaan「長嶋さんは最近、何をしていたのかという近況でも聞こうかなと。」
長嶋「そうですねえ、最近はですね、今ちょっとね、文章を書いていますよ(笑)。」
U-zhaan「文章を書いてる。」
長嶋「あの、ほら、妊娠したじゃないですか。」
U-zhaan「はい。おめでとうございます。」
長嶋「ありがとうございます。それで、いろいろね、変化があるのでね。ちょっと今、書いておりまして。」
U-zhaan「書いているというのは、発表するものとして。」
長嶋「あ、そうなんですそうなんです。」
U-zhaan「へえー。どこにそういう形で。」
長嶋「あの『MilK』っていう、フランスの子育て雑誌みたいなやつがあって、それの『MilK JAPON』っていうのがあって、そこのWEBでなんか連載を月1くらいで、そう。」
U-zhaan「そうなんですか。もう連載中なんですか。」
長嶋「えっとね、7月10日って言ってたかな。」
U-zhaan「あ、じゃあ、もうそろそろ始まる。」
長嶋「うん。」
U-zhaan「それを何回か分、もう書いたっていう感じで。」
長嶋「うん。書いて、そうそう。とか。で、一応グラフィックもちょっと添えたりとかして。」
U-zhaan「まぁ、そうなるでしょうね(笑)。」
長嶋「そう。それをしないと(笑)。」
U-zhaan「それを人に頼んでたら、なんかちょっとアイデンティティを見失ってくる可能性が。」
長嶋「そうそうそう。クライスしちゃうので。U-zhaanは……」
U-zhaan「いや、まあ、僕はさておき、教授もあれですよね、ヨーロッパで最近あの、細野さんと高橋幸宏さんと一緒に演奏したっていう、話を。」
長嶋「そう。しかも、なんか突然入って、いきなりYMO、みたいな感じだったんですよね。」
U-zhaan「なんだったんでしょうね。ちょっと状況はよく分からないんですけど。」
長嶋「あたしも。」
U-zhaan「お客さんで行ってたんですかね、二人。」
長嶋「なんですかねえ。」
U-zhaan「そんなことあるんですか。他のツアーで行ってたのかな。」
長嶋「たまたま同じ……ロンドンでしたっけ、たまたまロンドンでそれぞれがやってたのかな。」
U-zhaan「長嶋さんは、7月17日から8月26日まで何かやってるんですかね。」 
長嶋「なんか、すいません。あの、私がやってるっていうよりは、私がお手伝いでグラフィックで入っているんですけど、伊勢型紙・江戸小紋というね、伝統工芸があるんですが、それを現代にもう一度、こう解釈し直すみたいな展示をですね、建築家の長坂常さんが、コンセプトから空間まで作って展示をするっていうのがあるんですけど。伝統工芸ってやっぱり、ニーズもどんどんなくなってきちゃうし、だけど職人さんは残ってたりするので、技術としてはあるんですけど。なんかそれを、次のステップにやっぱり更新していかないといけないんじゃないか、みたいなこともあるので、長坂さんに入って頂いて、伝統工芸の在り方というか、江戸小紋と伊勢型紙の新しい見え方というか、伝統工芸のこれからを問いかけるみたいな、そういう展覧会をやります。で、私はグラフィックでお手伝いしてるって感じですね。」
U-zhaan「どこでやるんですか。」
長嶋「えーと、表参道の GYRE っていうビルの中にある "EYE OF GYRE" というギャラリーでやります。」
U-zhaan「8月26日までということなので、よかったら皆さん観に行ってみたらどうでしょうか。」
長嶋「ありがとうございます。」

■ 亜空間として形成する伊勢型紙・江戸小紋の世界 ―廣瀬染工場創業100周年記念― 長坂常(建築家) × 廣瀬雄一(江戸小紋職人)

https://gyre-omotesando.com/artandgallery/edokomon/

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